第2問 9日の仕入戻しと21日の引取費用の処理がポイントです!
簿記3級の出題予想のご案内
第2問(商品有高帳)の解説
8月9日の仕訳(仕入)
8月13日の仕訳(仕入戻し)
8月15日の仕訳(売上)
8月21日の仕訳(仕入)
8月27日の仕訳(売上)
8月31日の仕訳(月末処理)
問2 8月の売上総利益(移動平均法)
参考問題のご案内
商品有高帳に関する帳簿記入の問題です。
問1では、問題資料から8月中の取引の仕訳を考えたうえで、9日の仕入戻しと21日の引取費用に注意して先入先出法による場合の商品有高帳を作成しましょう。
問2では、移動平均法による場合の商品有高帳を各自で下書きしたうえで、8月の売上高・売上原価・売上総利益を計算しましょう。
準備 | 第1問 | 第2問 | 第3問 | 第4問 | 第5問 | 見直し |
---|---|---|---|---|---|---|
- | 普通 | やや難しい | やや難しい | 普通 | やや難しい | - |
5分 | 10分 | 20分 | 30分 | 15分 | 30分 | 10分 |
簿記3級の出題予想のご案内
簿記検定ナビでは、2021年2月28日に行われる第157回日商簿記3級の出題予想を公開しています。
過去の出題状況や最近の出題傾向を独自の視点で分析し、大問ごとの予想はもちろんのこと、各論点の重要ポイントや絶対に押さえておくべき過去問などもあわせてご紹介しています。
第2問(商品有高帳)の解説
8月9日の仕訳(仕入)
(貸)買掛金など 352,000
※1 80個×@4,400円=352,000円
問題文に「商品の払出単価の決定方法は先入先出法を採用し、商品を受け入れたさいの残高欄には受け入れ直前の残高もあわせて記入すること」とあるので、残高欄の上段に「前月から繰り越されてきた分(20個)」を記入し、下段に「9日に仕入れた分(80個)」を記入します。
なお、先入先出法による場合で単価の異なる商品を2つ以上記入する場合は、模範解答のように数量の左側に波括弧(ナミカッコ)の「{ 」を付けるのが一般的です。
また、摘要欄に関しては、本問のように特別な指示がない場合は採点対象にならないためどのように記入しても構いません。「仕入」「仕入れ」「売上」「売り上げ」「仕入戻し」「仕入返品」など、どのような取引だったかひと目で分かるような語句を記入しましょう。
8月13日の仕訳(仕入戻し)
(貸)仕入 88,000
※2 20個×@4,400円=88,000円
問題文に「※9日仕入分の戻し」「仕入戻しの商品有高帳への記入は払出欄に行うこと」とあるので、指示通り9日の仕入単価(@4,400円)を払出欄に記入します。
なお、模範解答では払出欄の上段にに「返品した商品の数量・単価・金額」を記入していますが、上段ではなく下段に記入しても問題ありません。
8月15日の仕訳(売上)
(貸)売上 434,000
※3 70個×@6,200円=434,000円
本問は先入先出法を採用しているので、販売した70個のうち、20個は前月繰越分(@4,000円)、残りの50個は9日に仕入れた分(@4,400円)の払出単価を使います。
なお、模範解答では残高欄の下段に「残った商品の数量・単価・金額」を記入していますが、下段ではなく上段に記入しても問題ありません。
8月21日の仕訳(仕入)
(貸)買掛金など 405,000
(貸)現金 9,000
※4 90個×@4,500円+9,000円=414,000円
9日の仕入れと同様に、残高欄の上段に「15日から繰り越されてきた分(10個)」を記入し、下段に「21日に仕入れた分(90個)」を記入します。
なお、21日に仕入れた分に関しては、問題文に「上記資料の21日の仕入単価 @¥ 4,500には、当店負担の引取費用 ¥ 9,000は含まれていない」とあるので、引取費用を含めた仕入単価を各自で計算して商品有高帳に記入します。
- 仕入時の諸掛り(引取費用など)
- 当店負担の場合:仕入原価に含めて処理
- 仕入先負担の場合:立替金で処理or買掛金から差し引いて処理
- 売上時の諸掛り(発送費など)
- 当店負担の場合:発送費などで費用処理
- 得意先負担の場合:立替金で処理or売掛金に含めて処理
- 引取費用を含める前の仕入単価:@4,500円(問題資料より)
- 1個あたりの引取費用:9,000円÷90個=@100円
- 引取費用を含めた後の仕入単価:@4,500円+@100円=@4,600円
8月27日の仕訳(売上)
(貸)売上 396,000
(借)発送費 6,000
(貸)現金 6,000
※5 60個×@6,600円=396,000円
本問は先入先出法を採用しているので、販売した60個のうち、10個は15日から繰り越されてきた分(@4,400円)、残りの50個は21日に仕入れた分(@4,600円)の払出単価を使います。
15日の売り上げと同様に、模範解答では残高欄の下段に「残った商品の数量・単価・金額」を記入していますが、下段ではなく上段に記入しても問題ありません。
なお、問題資料に「当店負担の発送費 ¥ 6,000 は現金で支払った」とありますが、当店負担の発送費は商品有高帳の記入は関係ありませんし、売上高・売上原価・売上総利益の計算にも影響を及ぼさないため(※発送費は販売費及び一般管理費)、解答にあたって特別に考慮する必要はありません。
8月31日の処理(月末処理)
月末残高を31日の払出欄に記入して、商品有高帳を締め切ります。なお、一番下の合計欄は数量欄と金額欄のみを埋めましょう(※単価欄は空欄でOKです)。
なお、先入先出法による場合の売上高・売上原価・売上総利益は以下のとおりです。参考までに計算式・金額をご確認ください。
- 売上高:434,000円+396,000円=830,000円
- 売上原価:80,000円+220,000円+44,000円+230,000円=574,000円
- 売上総利益:830,000円-574,000円=256,000円
問2 8月の売上総利益(移動平均法)
問2では、移動平均法による場合の8月の売上高・売上原価・売上総利益の金額が問われています。上記のような商品有高帳を下書きしたうえで各金額を求めましょう。
まず、売上高は払出単価の決定方法とは無関係なので、移動平均法による場合も先入先出法による場合も同額(830,000円)です。
次に売上原価の金額を考えましょう。15日の70個分の売上原価は、ひとつ前の取引が行われた13日終了時点の平均単価(@4,300円)を使って計算します。
15日の70個分の売上原価=70個×@4,300円=301,000円
27日の60個分の売上原価は、ひとつ前の取引が行われた21日終了時点の平均単価(@4,570円)を使って計算します。
27日の60個分の売上原価=60個×@4,570円=274,200円
最後の売上総利益は、売上高から売上原価を差し引いて金額を求めましょう。
- 売上高:830,000円
- 売上原価:301,000円+274,200円=575,200円
- 売上総利益:830,000円-575,200円=254,800円
参考問題のご案内
移動平均法による場合の商品有高帳の答案用紙(PDF)をご用意いたしました。余裕のある方はこちらもあわせて解いてみてください。