第157回日商簿記3級 予想問題「簿記ナビ模試」第1問(仕訳問題)の解説

第1問 仕訳を制する者が簿記3級を制する!本試験では20点満点を狙いましょう。

 簿記3級の第1問では毎回、仕訳が5問出題されます。

 過去に出題された問題の類似問題がよく出題されるため、過去問対策が非常に効果的です。簿記検定ナビの仕訳対策教材や市販の仕訳教材・アプリなどを使って万全の対策をしておきましょう。

簿記ナビ模試3級の「各問題の難度」と「解答時間の目安」
準備 第1問 第2問 第3問 第4問 第5問 見直し
普通 やや難しい やや難しい 普通 やや難しい
5分 10分 20分 30分 15分 30分 10分


簿記3級の出題予想のご案内

 簿記検定ナビでは、2021年2月28日に行われる第157回日商簿記3級の出題予想を公開しています。

 過去の出題状況や最近の出題傾向を独自の視点で分析し、大問ごとの予想はもちろんのこと、各論点の重要ポイントや絶対に押さえておくべき過去問などもあわせてご紹介しています。

第1問(仕訳問題)の解説

問1 仕入取引・消費税

重要度:★★★ 難度:★☆☆

模範解答
(借)仕入 2,000,000
(借)仮払消費税 200,000 ※1
 (貸)買掛金 2,200,000 ※2

※1 2,000,000円×10%=200,000円

※2 2,000,000円+200,000円=2,200,000円(貸借差額)

 仕入取引・消費税に関する問題です。

 本問は、取引を【掛けによる仕入取引】と【消費税に関する取引】の2つに分けて考えましょう。

掛けによる仕入取引

 問題文の「販売用の中古車 ¥ 2,000,000 を仕入れ、代金は~掛けとした」「当社は中古車販売業を営んでいる」から、商品として販売する車を仕入れたことが分かるので、仕入買掛金で処理します。

 うっかり車両運搬具未払金で処理しないように気をつけましょう。

解答①:掛けによる仕入取引
(借)仕入 2,000,000
 (貸)買掛金 2,000,000

消費税に関する取引

 問題文に「消費税~を含めて」とあるので、商品代金の10%を計算して仮払消費税で処理します。

仮払消費税:2,000,000円×10%=200,000円

解答②:消費税に関する取引
(借)仮払消費税 200,000
 (貸)買掛金 200,000

 以上、①②の仕訳をまとめると解答仕訳になります。

管理人

営業用の中古車を購入した場合は、車両運搬具未払金で処理します。問題を解くさいは「販売用」なのか「営業用」なのかを必ず確認しましょう。

問2 固定資産の購入

重要度:★★★ 難度:★★☆

模範解答
(借)土地 110,000
 (貸)現金 110,000

 固定資産の購入に関する問題です。

 登記費用や仲介手数料など、固定資産を購入するさいに発生する費用(付随費用)は取得原価に含めて処理します。

固定資産の取得原価=購入代価+付随費用

 本試験では、購入代価と付随費用を同時に支払う問題がよく出題されますが、本問のように支払う時期がズレるケースもあります。

 ただ、時期がズレたとしても付随費用であることに変わりはないので、同時に支払う場合と同様に取得原価に含めて処理します。うっかり支払手数料で処理しないように気をつけましょう。

 本問は、問題文に「先日購入した土地の仲介手数料 ¥ 110,000 を、不動産仲介業者に現金で支払った」とあるので、仲介手数料110,000円を土地の増加および現金の減少として処理します。

管理人

土地の整地費用や登記費用、機械装置の設置費用なども付随費用に該当します。あわせて押さえておきましょう。

問3 債権の貸倒れ

重要度:★★☆ 難度:★☆☆

模範解答
(借)貸倒損失 300,000
 (貸)売掛金 300,000

 債権の貸倒れに関する問題です。

 債権の貸倒れは、債権の発生時期(前期以前or当期)によって処理が異なります。仕訳を考えるさいは、貸倒れた債権がいつ発生したのかを必ず確認しましょう。

  • 前期以前に発生した債権の貸倒れ:前期の決算を通過しているので貸倒引当金の設定対象になっています。よって、この債権が貸倒れた場合は貸倒引当金を取り崩して処理し、不足分があれば貸倒損失で処理します。
  • 当期に発生した債権の貸倒れ:前期の決算を通過していないので貸倒引当金の設定対象になっていません。よって、この債権が貸倒れた場合は全額を貸倒損失で処理します。

 本問は、問題文の「当期中に発生した売掛金 ¥ 300,000 が貸し倒れた」から、当期に発生した債権が貸倒れたことが分かるので、全額を貸倒損失で処理します。

  • 前期以前に発生した債権
    • 貸倒れた金額<貸倒引当金:全額を貸倒引当金で処理
    • 貸倒れた金額>貸倒引当金:貸倒引当金を全額取り崩し、不足分を貸倒損失で処理
  • 当期に発生した債権
    • 全額を貸倒損失で処理(本問)

 なお、問題文の「貸倒引当金の残高は ¥ 220,000 である」は、解答に関係のないダミーデータです。うっかり貸倒引当金を取り崩さないように気をつけましょう。

管理人

債権の貸倒れに関する処理は、第1問だけでなく第2問以降でもよく問われます。上記の3つの処理方法を完ぺきに押さえておきましょう。

問4 貯蔵品の再振替仕訳

重要度:★★☆ 難度:★☆☆

模範解答
(借)通信費 14,500 ※3
 (貸)貯蔵品 14,500

※3 6,300円+8,200円=14,500円

 貯蔵品の再振替仕訳に関する問題です。

 いきなり再振替仕訳の内容を考えるが難しい方は、時系列に沿って「購入時の仕訳前期末の決算整理仕訳当期首の再振替仕訳」の順番で考えると分かりやすいです。

 郵便はがき・郵便切手を購入した場合は、購入代金の全額を通信費で処理します。

参考:購入時の仕訳
(借)通信費 ×××
 (貸)現金など ×××

 決算において 郵便はがき・郵便切手の未使用分がある場合には、未使用分だけ通信費を貯蔵品に振り替えます。

 本問は、問題文に「郵便はがき ¥ 6,300 と郵便切手 ¥ 8,200 が未使用のまま残っていることが判明した」とあるので、未使用分の合計額14,500円を通信費から貯蔵品に振り替えます。

参考:前期末の決算整理仕訳
(借)貯蔵品 14,500
 (貸)通信費 14,500

 前期末の決算整理仕訳で通信費から貯蔵品に振り替えた場合、当期首において再振替仕訳(貯蔵品から通信費に再度振り替える仕訳)を行います。

解答:当期首の再振替仕訳
(借)通信費 14,500
 (貸)貯蔵品 14,500
管理人

再振替仕訳は「前期末の決算整理仕訳の貸借をひっくり返すだけ」です。各勘定の金額は変わりません。

問5 現金過不足

重要度:★★☆ 難度:★★☆

模範解答
(借)租税公課 2,400
(借)雑損 600 ※4
 (貸)現金過不足 2,000
 (貸)受取手数料 1,000

※4 2,000円+1,000円-2,400円=600円(貸借差額)

 現金過不足に関する問題です。

 期中に計上した現金過不足のうち、決算において原因が判明したものについては適切な勘定科目に振り替えます。一方、原因が判明しなかった残り(貸借差額)については雑損または雑益で処理します。

 仕訳は以下の3ステップで考えると分かりやすいです。

  1. 現金過不足の残高をゼロにする
  2. 原因が判明したものを正しく処理する
  3. 貸借差額を雑損または雑益で処理する

 問題文の「現金過不足(不足額)¥ 2,000 」から、現金過不足が2,000円の借方残になっていることが分かるので、まずは現金過不足の残高をゼロにするために同額を貸方に計上します。

 なお、現金過不足が借方・貸方のどっちに計上されていたのか判断できない場合は、「不足額2,000円→実際有高が帳簿残高よりも2,000円不足していた→実際有高に合わせるため帳簿残高を2,000円減らした→貸方に現金を計上した→借方に現金過不足を計上した」という流れで考えましょう。

参考:期中に現金過不足を計上したときの仕訳
(借)現金過不足 2,000
 (貸)現金 2,000
ステップ1:現金過不足の残高をゼロにする
 (貸)現金過不足 2,000

 問題文に「収入印紙の購入額 ¥ 2,400(※期中に全て使用済み)、手数料の受取額 ¥ 1,000 の記入漏れが判明した」とあるので、記入漏れが判明したものを適切に処理します。

  • 収入印紙の購入額:租税公課(費用)で処理
  • 手数料の受取額:受取手数料(収益)で処理
ステップ2:原因が判明したものを正しく処理する
(借)租税公課 2,400
 (貸)現金過不足 2,000
 (貸)受取手数料 1,000

 貸借差額を雑損で処理します。

ステップ3:貸借差額を雑損または雑益で処理する
(借)租税公課 2,400
(借)雑損 600
 (貸)現金過不足 2,000
 (貸)受取手数料 1,000
管理人

現金過不足は、現金の実際有高と帳簿残高のズレを一時的に調整する勘定科目です。決算整理後の残高は必ずゼロになります。



簿記3級の仕訳問題に関するQ&A

自分の解答と模範解答の勘定科目の上下が逆になっていました。不正解になりますか?
 仕訳は上下が逆になっていても正解です。

 例えば、問1の模範解答では借方が「仕入・仮払消費税」の順番に並んでいますが、勘定科目の上下が入れ替わっても構いません。その他の問題も同様です。
勘定科目の漢字を間違えた場合、部分点はもらえますか?
 部分点はもらえません。

 勘定科目の漢字を間違えた場合は金額があっていても不正解になります。また、問題に列挙されていない勘定科目を使って解答した場合も不正解になります。問題に列挙されている勘定科目を使って解答しましょう。
金額にカンマ(コンマ)を付けないと不正解になりますか?
 不正解にはなりません。

■日商簿記:カンマを付けなくても採点してもらえる
■全経簿記:カンマがないと採点してもらえない(→不正解扱い)

 ただ、実務においてカンマを付けるのは当たり前のことですし、省略したからといって解答時間の短縮にはなりません。むしろ、見直しの時に見にくいだけです。

 このようにカンマを付けないデメリットはあってもメリットはありませんので、金額には必ずカンマを付けましょう。
管理人さんの仕訳問題の解き方を教えてください。
 私はまず、問題に列挙されている勘定科目群に線を入れて「資産」「負債」「純資産」「収益」「費用」「その他」などに分けて見やすくします。

 そのさいに気になる勘定科目があったらマルで囲んで目立たせておきます。

 次に、問題文を読んで解答のカギになりそうなところにアンダーラインを引きます。問1なら「販売用」「税抜方式」、問2なら「土地の仲介手数料」、問3なら「当期に発生」、問4なら「再振替仕訳」、問5なら「不足額」「※期中に全て使用済み」などです。

 このような準備をしたうえで解答仕訳を考えますが、答案用紙に勘定科目を書くさいには、問題に列挙されている勘定科目を毎回必ずチェックして打ち消し線を引くことを徹底しましょう。

 ひと手間を加えるだけで「指定されていない勘定科目で解答してしまう」という非常にもったいないケアレスミスをなくすことができます。

ページの先頭へ