仕訳対策教材「重要仕訳TOP100」

簿記2級 重要仕訳TOP100「固定資産の滅失(未決算の計上②)」

仕訳問題

難度:・中・低

重要度:A・B

×2年1月31日、建物(取得原価:¥ 9,000,000、前期末の減価償却累計額:¥ 1,650,000 )が火災で焼失した。この建物には火災保険 ¥ 7,000,000 が掛けられていたので、当期の減価償却費を月割りで計上するとともに、ただちに保険会社に保険金の支払いを請求した。なお、建物の減価償却は定額法(耐用年数:30年、残存価額:ゼロ、記帳方法:間接法)により行っており、決算日は3月31日(会計期間は1年)である。

勘定科目は次の中から最も適当なものを選びなさい。
現金 当座預金 普通預金 未収入金
建物 建物減価償却累計額 未払金 保険差益
減価償却費 保険料 火災損失 未決算

解答仕訳

借方科目 金額 貸方科目 金額
減価償却費 250,000 ※1 建物 9,000,000
建物減価償却累計額 1,650,000
未決算 7,000,000
火災損失 100,000 ※2

※1 9,000,000円×10か月/360か月=250,000円
※2 (9,000,000円-250,000円-1,650,000円)-7,000,000円=100,000円




解説

固定資産の滅失(未決算の計上②)に関する問題です。

保険をかけている資産が滅失した場合、帳簿価額を未決算または火災未決算に振り替えます。

本問は、問題文の「建物(取得原価:¥ 9,000,000、前期末の減価償却累計額:¥ 1,650,000 )が火災で焼失した」から、建物が火災で滅失したことが分かるので、焼失時の帳簿価額を未決算に振り替えます。

店舗の焼失に関する仕訳

固定資産の焼失時の帳簿価額は「取得原価-焼失時の減価償却累計額」という計算式で表すことができるので、取得原価(建物)および焼失時の建物減価償却累計額火災未決算に振り替えます。

ただ、本問の焼失時の減価償却累計額は不明のため、先に当期の減価償却費を計算して「当期の減価償却費+前期末の減価償却累計額」という計算式で焼失時の減価償却累計額を求めましょう。

減価償却費の計算
  • 取得原価:9,000,000円
  • 耐用年数:30年(360か月)
  • 残存価額:ゼロ
  • 当期の減価償却期間:10か月(×1年4月1日~×2年1月31日)
  • 当期の減価償却費:9,000,000円×10か月/360か月=250,000円
減価償却累計額の計算
  • 前期末の減価償却累計額:1,650,000円
  • 焼失時の減価償却累計額:250,000円+1,650,000円=1,900,000円
解答①:当期の減価償却に関する仕訳
(借)減価償却費 250,000
 (貸)建物減価償却累計額 250,000
解答②:建物の焼失に関する仕訳
(借)建物減価償却累計額 1,900,000
 (貸)未決算 1,900,000
(借)未決算 9,000,000
 (貸)建物 9,000,000

以上、①②の仕訳をまとめると解答仕訳になります…と言いたいところですが、念のため最後に火災未決算の金額と保険金額を比較しましょう。

金額の大小チェック
  • 未決算の金額:9,000,000円-1,900,000円=7,100,000円
  • 保険金額:7,000,000円

仮に保険金額よりも未決算の金額のほうが大きい場合、保険金が満額支払われたとしても未決算の全額を回収することができません。

つまり、資産が焼失した時点で差額分の損失が確定するため、保守主義の観点から保険金の金額確定を待たずに差額分を火災損失で処理します。

必要な処理
  • 保険金額>未決算の金額:追加の処理は不要
  • 保険金額<未決算の金額:差額分を火災損失で処理

本問は、保険金額(7,000,000円)よりも未決算の金額(7,100,000円)のほうが大きいので、差額分の100,000円を火災損失で処理します。

解答③:火災損失に関する仕訳
(借)火災損失 100,000
 (貸)未決算 100,000

まとめ

以上、①②③の仕訳をまとめると解答仕訳になります。

田口先生1
田口先生
「保険金額<未決算の金額」のケースの問題は、過去の本試験でも出題されています。このケースの問題が出題される可能性は高くないですが、念のために金額をチェックするクセを付けておきましょう。
なお、「保険金額>未決算の金額」のケースの仕訳は、固定資産の滅失(未決算の計上①)で出題しています。本問とあわせてご確認ください。

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1.商品売買(全11問)
2.債権・債務(全12問)
3.外貨建取引(全4問)
4.有価証券(全9問)
5.固定資産(全22問)
7.社会保険・税金(全8問)
8.純資産(全10問)
9.本支店会計(全3問)
10.その他(全5問)
11.工業簿記(全10問)
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