仕訳問題
難度:高・中・低
重要度:A・B
商品 ¥ 330,000(消費税込み)を販売し、このうち ¥ 110,000(消費税込み)は以前に当社が振り出した約束手形を受け取り、残額はクレジット払いとした。また、信販会社へのクレジット手数料(クレジットによる販売代金の4%)もあわせて計上した。なお、消費税の税率は10%とし、税抜方式で処理するが、クレジット手数料に消費税は課税されない。
勘定科目は、次の中から最も適当と思われるものを選びなさい。 | |||
---|---|---|---|
受取手形 | クレジット売掛金 | 未収入金 | 仮払消費税 |
支払手形 | 買掛金 | 仮受消費税 | 未払消費税 |
売上 | 仕入 | 支払手数料 | 租税公課 |
解答仕訳
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | ||
---|---|---|---|---|---|
支払手形 支払手数料 クレジット売掛金 |
110,000 8,000 212,000 |
※1 ※2 ※3 |
売上 仮受消費税 |
300,000 30,000 |
※4 ※5 |
※1 100,000円+10,000円=110,000円
※2 200,000円×4%=8,000円
※3 192,000円+20,000円=212,000円
※4 330,000円÷1.1=300,000円
※5 300,000円×0.1=30,000円
解説
売上取引(消費税)に関する問題です。
本問は、取引を【クレジット販売に関する取引】と【消費税に関する取引】に分けて考えましょう。
クレジット販売に関する取引
まずは、消費税を抜いたクレジット販売の仕訳を考えます。
問題文の「このうち ¥ 110,000(消費税込み)は以前に当社が振り出した約束手形を受け取り」から、販売代金の一部を自己振出手形で受け取っていることが分かります。
この約束手形の回収により手形代金の支払義務が消滅するため、支払手形の減少として処理します。うっかり受取手形で処理しないように気をつけましょう。
また、問題文に「信販会社へのクレジット手数料(クレジットによる販売代金の4%)もあわせて計上した」とあるので、クレジット販売代金に4%を乗じて手数料の金額を求めます。
- 売上高(税抜):330,000円÷1.1=300,000円
- 手形売上代金(税抜):110,000円÷1.1=100,000円
- クレジット販売代金(税抜):300,000円-100,000円=200,000円
- クレジット手数料:200,000円×4%=8,000円
- クレジット売掛金:200,000円-8,000円=192,000円
(借)支払手数料 8,000
(借)クレジット売掛金 192,000円
(貸)売上 300,000
消費税に関する取引
問題文の「商品 ¥ 330,000(消費税込み)を販売」から仮受消費税の金額を計算し、手形売上代金の消費税部分との差額をクレジット売掛金で処理します。
なお、クレジット手数料にかかる消費税は、問題文に「クレジット手数料に消費税は課税されない」とあるので考慮する必要はありません。
- 仮受消費税:330,000円-300,000円=30,000円
- 手形売上代金(消費税部分):110,000円-100,000円=10,000円
- クレジット売掛金:30,000円-10,000円=20,000円
(借)クレジット売掛金 20,000
(貸)仮受消費税 30,000
以上、①②の仕訳をまとめると解答仕訳になります。
参考:消費税の処理方法が税込方式の場合の仕訳
消費税の処理方法が税込方式の場合は、仮受消費税30,000円を売上に含めて処理します。参考までに仕訳をご確認ください。
(借)支払手数料 8,000
(借)クレジット売掛金 212,000
(貸)売上 330,000

クレジット手数料は原則、非課税です(→国税庁の回答要旨)
ただし、信販会社との間に代理店を挟む場合は課税の対象になるケースがあるため、(課税される問題が出題される可能性はかなり低いですが)問題を解くさいには念のため課税・非課税をチェックしましょう。
Q&A
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解説では、支払手形代金を1.1で割り引いていますがこの意味がよくわかりません。 以前に当社が振り出した支払手形は「借)仕入 100,000 借)仮払消費税等 10,000 貸)支払手形 110,000」のように、すでに消費税の処理は済んでいますよね。額面金額110,000の支払手形を受け取ったさいにまた消費税の処理が行われる理由が分かりません。 問題の解釈が間違っていますでしょうか?ご教示頂けましたら幸いです。(チアゴさん) |
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回収した支払手形の代金を1.1で割るのは、税抜のクレジット販売代金を求めるために税抜の手形売上代金を求める必要があるからです。 本問は、問題文に「信販会社へのクレジット手数料(クレジットによる販売代金の4%)もあわせて計上した」とあるので、クレジットによる販売代金を求めたうえで、それに4%を乗じてクレジット手数料を計算する必要があります。 この「クレジットによる販売代金」には消費税は含まれない(=税抜の金額になる)ため、税抜の売上高(300,000円)から税抜の手形売上代金(100,000円)を差し引いて計算します。 解答仕訳で減少する手形の金額(税込110,000円)と他の計算に必要な手形売上代金(税抜100,000円)を混同しないように気をつけましょう。 |
回答日:2020年1月23日 |
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上記解説の「参考:消費税の処理方法が税込方式の場合の仕訳」で支払手数料8000となっていますが、税込会計でも「税抜額に対して手数料4%を計算する」必要があるということでしょうか。また、問題文に消費税についての記載が無い場合には、手数料8800となるのでしょうか。(そういちろうさん) |
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問題文「信販会社へのクレジット手数料(クレジットによる販売代金の4%)」に出てくる「販売代金」は、文字どおり販売した商品の対価として受け取ったお金を意味します。 また、販売時に受け取った消費税は、販売した商品の対価ではなく(後でまとめて納付するために)一時的に預かっているお金なので、上記の「販売代金」には含まれません。 よって、本問のように「クレジット手数料(クレジットによる販売代金の4%)」という指示がある場合は、消費税の処理方法にかかわらず消費税を含まない金額(税抜額)に対して手数料4%を計算します。 2つ目の質問の「仮に消費税の記載がない場合」のクレジット手数料は8,800円になります。以下の計算式をご確認ください。 ・売上高:330,000円 ・手形売上代金:110,000円 ・クレジット販売代金:330,000円-110,000円=220,000円 ・クレジット手数料:220,000円×4%=8,800円 |
回答日:2020年7月21日 |
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支払手形(税込)110,000を充当する際に、以前の取引で仕訳したと思われる仮払消費税10,000については、考慮(仮払消費税の取消仕訳)しないでいいのでしょうか。仮払消費税10,000が返還されているように感じたので、質問させていただきました。(しゅうさん) |
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期中の消費税に関しては、(それまでの支払額・受取額に関係なく)支払った分を仮払消費税、受け取った分を仮受消費税で機械的に処理します。 その後、決算期末において消費税の支払額と受取額を相殺し、「受取>支払」の場合は貸借差額を未払消費税で処理し、「受取<支払」の場合は貸借差額を未収還付消費税で処理します。 消費税を相殺するタイミングは期中ではなく期末!と押さえておきましょう。 ~例題~ 【期中】 (借)仕入 10,000 (借)仮払消費税 1,000 (貸)現金など 11,000 (借)現金など 33,000 (貸)売上 30,000 (貸)仮受消費税 3,000 ※売上時に受け取った消費税3,000は、仕入時に計上した仮払消費税1,000と相殺せずに、受け取った全額を仮受消費税で処理しましょう。 【決算】 (借)仮受消費税 3,000 (貸)仮払消費税 1,000 (貸)未払消費税 2,000 |
回答日:2020年9月2日 |
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