第153回日商簿記検定2級・仕訳類題5(利益処分)

仕訳問題(類題)

重要度:★★☆ 難度:★★★

 株主総会を開催し、配当平均積立金 ¥ 1,000,000 を取り崩して繰越利益剰余金に振り替えたうえで、その他資本剰余金 ¥ 500,000 および繰越利益剰余金 ¥ 1,500,000 を財源として配当を実施することが可決された。

 株主総会直前の純資産は、資本金 ¥ 10,000,000、資本準備金 ¥ 2,000,000、その他資本剰余金 ¥ 900,000、利益準備金 ¥ 380,000、配当平均積立金 ¥ 1,000,000、繰越利益剰余金 ¥ 800,000 であった。配当にあたっては会社法に定める金額の準備金を積み立てる。

勘定科目は、次の中から最も適当と思われるものを選びなさい。
現金 当座預金 普通預金 未払配当金
資本金 資本準備金 その他資本剰余金 利益準備金
別途積立金 配当平均積立金 繰越利益剰余金 受取配当金

解答仕訳

借方科目 金額 貸方科目 金額
配当平均積立金
その他資本剰余金
繰越利益剰余金
1,000,000
530,000
1,590,000

※4
※5
繰越利益剰余金
未払配当金
資本準備金
利益準備金
1,000,000
2,000,000
30,000
90,000

※1
※2
※3

※1 500,000円+1,500,000円=2,000,000円

※2 120,000円×500,000円/2,000,000円=30,000円

※3 120,000円×1,500,000円/2,000,000円=90,000円

※4 500,000円+30,000円=530,000円

※5 1,500,000円+90,000円=1,590,000円

解説

 利益処分に関する問題です。

 本問は、取引を【株主資本の計数変動に関する取引】と【配当に関する取引】に分けて考えましょう。

 問題の指示に従って、配当平均積立金を繰越利益剰余金に振り替えます。

解答①(株主資本の計数変動に関する仕訳)
(借)配当平均積立金 1,000,000
 (貸)繰越利益剰余金 1,000,000

 問題文の「その他資本剰余金 ¥ 500,000 および繰越利益剰余金 ¥ 1,500,000 を財源として配当を実施する」から、その他資本剰余金と繰越利益剰余金の一部を配当することが分かります。

 配当にあたっては、会社法の規定(第445条の4項など)に従って一定額を準備金として積み立てる必要があります。

  1. 原則として配当額の10分の1を準備金として積み立てなければならない(10分の1規定
  2. ただし、資本準備金と利益準備金の合計額が資本金の4分の1に達した場合は、それ以上積み立てる必要はない(4分の1規定

 よって、「配当額の10分の1(10分の1規定の金額)」または「資本金の4分の1から資本準備金と利益準備金の合計額を差し引いた残額(4分の1規定の金額)」のうち、どちらか小さいほうの金額だけ準備金を積み立てることになります。

  • 配当額:500,000円+1,500,000円=2,000,000円
  • 10分の1規定の金額:2,000,000円÷10=200,000円
  • 4分の1規定の金額:10,000,000円÷4-(2,000,000円+380,000円)=120,000円
  • 準備金要積立額:200,000円>120,000円 → 120,000円

 なお、配当にあたって積み立てる準備金は「配当の原資」によって異なります。

 本問は、その他資本剰余金と繰越利益剰余金を配当の原資としているので、配当割合に応じて資本準備金利益準備金を積み立てます。

  • 配当の原資が繰越利益剰余金:利益準備金を積み立てる
  • 配当の原資がその他資本剰余金:資本準備金を積み立てる
  • 配当の原資が繰越利益剰余金とその他資本剰余金:利益準備金と資本準備金を積み立てる(本問)

資本準備金の積立額=120,000円×500,000円/2,000,000円=30,000円

利益準備金の積立額=120,000円×1,500,000円/2,000,000円=90,000円

解答②(配当に関する仕訳)
(借)その他資本剰余金 530,000
(借)繰越利益剰余金 1,590,000
 (貸)未払配当金 2,000,000
 (貸)資本準備金 30,000
 (貸)利益準備金 90,000

 以上、①②の仕訳をまとめると解答仕訳になります。

参考:利益準備金が200,000円の場合

 利益準備金が380,000円ではなく200,000円の場合、4分の1規定の金額よりも10分の1規定の金額のほうが小さくなります。

 なお、配当割合に応じて資本準備金と利益準備金を積み立てる点は変わりません。参考までに計算式および仕訳をご確認ください。

  • 配当額:500,000円+1,500,000円=2,000,000円
  • 10分の1規定の金額:2,000,000円÷10=200,000円
  • 4分の1規定の金額:10,000,000円÷4-(2,000,000円+200,000円)=300,000円
  • 準備金要積立額:200,000円<300,000円 → 200,000円

資本準備金の積立額=200,000円×500,000円/2,000,000円=50,000円

利益準備金の積立額=200,000円×1,500,000円/2,000,000円=150,000円

参考:配当承認時の仕訳
(借)その他資本剰余金 550,000
(借)繰越利益剰余金 1,650,000
 (貸)未払配当金 2,000,000
 (貸)資本準備金 50,000
 (貸)利益準備金 150,000

 利益処分に関する問題は、第103回の問3第106回の問2第112回の問5第121回の問3第129回の問2第135回の問5第143回の問4でも出題されています。あわせてご確認ください。

管理人

その他資本剰余金と繰越利益剰余金を配当の原資とする場合は、準備金要積立額を配当割合に応じて資本準備金と利益準備金に按分するのがポイントです。



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