仕訳問題(類題)
重要度:★★☆ 難度:★☆☆
株主総会の決議により、資本準備金 ¥ 300,000 および利益準備金 ¥ 200,000 を減少して資本金に組み入れた。
勘定科目は、次の中から最も適当と思われるものを選びなさい。 | |||
---|---|---|---|
現金 | 当座預金 | 普通預金 | 資本金 |
資本準備金 | その他資本剰余金 | 利益準備金 | 繰越利益剰余金 |
仕入割引 | 負ののれん発生益 | 売上割引 | 為替差損益 |
解答仕訳
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | ||
---|---|---|---|---|---|
資本準備金 利益準備金 |
300,000 200,000 |
資本金 | 500,000 | ※1 |
※1 300,000円+200,000円=500,000円(貸借差額)
解説
株主資本の計数変動に関する問題です。
株主資本の計数変動の概要
- ①資本金
- ②資本剰余金(③資本準備金、④その他資本剰余金)
- ⑤利益剰余金(⑥利益準備金、⑦任意積立金、⑧繰越利益剰余金)
株主総会の決議があれば、②資本剰余金内(③⇔④)や⑤利益剰余金内(⑥⇔⑦や⑥⇔⑧など)で自由に振り替えることができます。
また、②資本剰余金は、資本金に振り替えたり(②→①)、逆に資本金から振り替えることも可能です(①→②)。
⑤利益剰余金は、資本金に振り替えることはできます(⑤→①)が、資本金や資本剰余金から繰越利益剰余金に振り替えることができるのは、繰越利益剰余金がマイナスのときに限定されています(①→⑧、②→⑧)。
株主資本の計数変動の仕訳の考え方
上記のように文章にするとなにやら難しく感じるかもしれませんが、問題の指示に従って金額を振り替えるだけなので仕訳は簡単です。本問の場合は、資本準備金と利益準備金を資本金に振り替えます。
なお、配当にあたっては各準備金の積み立てが(会社法により)強制されるため、準備金要積立額の計算が別途必要になりますが、株主資本の計数変動は純資産の内訳が変わるだけで、お金が社外に流出するわけではありません。よって、そのような積み立て・計算は不要です。
類題
Q. 株主総会の決議により、その他資本剰余金 ¥ 30,000 および繰越利益剰余金 ¥ 20,000 を減少して各準備金に組み入れた。
(貸)資本準備金 30,000
(借)繰越利益剰余金 20,000
(貸)利益準備金 20,000
本類題では、資本剰余金内の振り替え(④→③)と、利益剰余金内の振り替え(⑧→⑥)の処理が問われているので、その他資本剰余金を資本準備金に、繰越利益剰余金を利益準備金に振り替えます。
株主資本の計数変動に関する問題は、第150回の問5でも出題されています。あわせてご確認ください。