仕訳問題(類題)
重要度:★★★ 難度:★★☆
長期にわたる取引関係を維持する目的で、中野サンロード株式会社が発行する普通社債(額面総額:¥ 5,000,000、発行日:平成28年4月1日、満期までの期間:5年、利払日:毎年9月と3月の末日、年利率:0.73%)を平成28年12月9日に額面 ¥ 100 につき ¥ 98.20 で購入し、前回の利払日の翌日から売買日までの端数利息(1年を365日とする日割計算で算出し、収益の勘定を用いて処理すること)とともに、当社の普通預金口座から指定された当座預金口座に振り込んだ。
勘定科目は、次の中から最も適当と思われるものを選びなさい。 | |||
---|---|---|---|
現金 | 当座預金 | 普通預金 | 売買目的有価証券 |
満期保有目的債券 | 関係会社株式 | その他有価証券 | 未収入金 |
未払金 | 前受金 | 有価証券利息 | 支払利息 |
解答仕訳
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | ||
---|---|---|---|---|---|
その他有価証券 有価証券利息 |
4,910,000 7,000 |
※1 ※2 |
普通預金 | 4,917,000 | ※3 |
※1 5,000,000円×@98.20/@100円=4,910,000円
※2 5,000,000円×0.73%×70日/365日=7,000円
※3 4,910,000円+7,000円=4,917,000円(貸借差額)
解説
有価証券の購入に関する問題です。
本問は、取引を【有価証券の購入に関する仕訳】と【利息の支払いに関する仕訳】の2つに分けて解答を考えましょう。
有価証券の購入に関する仕訳
社債を購入した場合、購入代価と付随費用(取得に伴い発生した費用)の合計額を取得原価として資産計上しますが、本問は付随費用が発生していないので、購入代価を計算するだけです。
取得原価=購入代価+付随費用=(5,000,000円×@98.20円/@100円)+0円=4,910,000円
なお、本問は問題文の「長期にわたる取引関係を維持する目的で」から、その他有価証券で処理します。
- 短期間で売買する目的で購入:売買目的有価証券で処理
- 満期まで保有する目的で購入:満期保有目的債券で処理
- その他の目的(長期保有など)で購入:その他有価証券で処理
(貸)普通預金 4,910,000
利息の支払いに関する仕訳
問題文に、「利払日:毎年9月と3月の末日、年利率:0.73%」とあり、購入日が12月9日なので、前回の利払日の翌日の10月1日から12月9日までの70日分(31日+30日+9日)の端数利息を計算します。
有価証券利息=5,000,000円×0.73%×70日/365日=7,000円
(貸)普通預金 7,000
以上、①②の仕訳をまとめると解答仕訳になります。
ところで、上記の仕訳について、なぜ社債購入時に「前回の利払日の翌日から購入日までの端数利息」を支払わなければいけないかはお分かりですか?
社債を購入すると次回の利払日(本問の場合は3月末日)に半年分の利息を受け取ることになりますが、購入時に「前回の利払日の翌日から購入日まで端数利息」を先に支払っておかないと、保有していなかった期間(10月1日から12月9日まで)の分まで余分にもらってしまうことになるからです。
- 購入日(12月9日):前回の利払日の翌日から購入日までの70日分の端数利息を支払う
- 利払日(3月31日):半年分の利息を受け取る
- 「半年分の利息-70日分の利息」で保有期間に見合った有価証券利息が計上される
質問掲示板でもよくお問い合わせいただく論点なので、上記の考え方・処理方法をきちんと押さえておきましょう。
有価証券の購入に関する問題は、第102回の問3や第124回の問4、第130回の問1、第140回の問4、第143回の問1、第144回の問5、第149回の問2でも出題されています。あわせてご確認ください。