仕訳問題(類題)
重要度:★★★ 難度:★★☆
平成23年8月1日に取得した業務用コピー機(取得原価:¥ 300,000、残存価額:ゼロ、耐用年数:5年、減価償却の計算方法:定額法、記帳方法:間接法)を、平成26年5月31日に ¥ 100,000 で売却し、売却代金は現金で受け取った。なお、当店の決算日は3月31日であり、取得年度および売却年度の減価償却費については月割計算による。
勘定科目は、次の中から最も適当と思われるものを選びなさい。 | |||
---|---|---|---|
現金 | 当座預金 | 消耗品 | 備品 |
備品減価償却累計額 | 固定資産売却益 | 減価償却費 | 固定資産売却損 |
解答仕訳
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | ||
---|---|---|---|---|---|
減価償却費 備品減価償却累計額 現金 固定資産売却損 |
10,000 160,000 100,000 30,000 |
※1 ※2 ※3 |
備品 | 300,000 |
※1 300,000円×2か月/60か月=10,000円
※2 300,000円×32か月/60か月=160,000円
※3 300,000円-10,000円-160,000円-100,000円=30,000円(貸借差額)
または
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | ||
---|---|---|---|---|---|
減価償却費 備品減価償却累計額 現金 固定資産売却損 |
10,000 170,000 100,000 30,000 |
※4 ※5 ※6 |
備品減価償却累計額 備品 |
10,000 300,000 |
※4 300,000円×2か月/60か月=10,000円
※5 300,000円×34か月/60か月=170,000円
※6 10,000円+300,000円-10,000円-170,000円-100,000円=30,000円(貸借差額)
解説
固定資産の売却に関する問題です。
固定資産は期首に売却する場合と、期中(または期末)に売却する場合とで処理が異なるので、まず問題がどちらに該当するのか確認しましょう。
期首に固定資産を売却する場合
当期の減価償却費はゼロなので、取得原価から期首備品減価償却累計額を差し引いて売却時の帳簿価額を計算し、さらに売却価額との差額で売却損益を計算します。
売却時の帳簿価額=取得原価-期首備品減価償却累計額
期中(または期末)に固定資産を売却する場合
当期の減価償却の処理に関する指示が入るので、それに従って当期の減価償却費を(月割で)計算します。そのうえで、取得原価から期首備品減価償却累計額&当期の減価償却費を差し引いて売却時の帳簿価額を計算し、さらに売却価額との差額で売却損益を計算します。
売却時の帳簿価額=取得原価-期首備品減価償却累計額-当期の減価償却費
本問は、問題文の「平成26年5月31日に ¥ 100,000 で売却」「当店の決算日は3月31日」から期中に売却したことが分かります。
また、問題文に「取得年度および売却年度の減価償却費については月割計算による」という指示があるので、まず当期の減価償却費を計算します。
なお、当期の減価償却費は、12か月分ではなく2か月分(平成26年4月1日~平成26年5月31日)なので間違えないように気をつけてください。
300,000円÷60か月(5年)=5,000円/月
5,000円/月×2か月=10,000円
次に、期首備品減価償却累計額を計算しますが、平成23年度については12か月分ではなく8か月分(平成23年8月1日~平成24年3月31日)なので間違えないように気をつけてください。
- 平成23年度:8か月(平成23年8月1日~平成24年3月31日)
- 平成24年度:12か月(平成24年4月1日~平成25年3月31日)
- 平成25年度:12か月(平成25年4月1日~平成26年3月31日)
300,000円÷60か月(5年)=5,000円/月
5,000円/月×32か月=160,000円
当期の減価償却費と期首備品減価償却累計額の金額を計算したら、取得原価からこれらを差し引いて売却時の帳簿価額を計算します。
取得原価300,000円-期首備品減価償却累計額160,000円-当期の減価償却費10,000円=売却時の帳簿価額130,000円
最後に、売却時の帳簿価額と売却価額との差額で売却損益を計算します。
- 売却時の帳簿価額=130,000円
- 売却価額=100,000円
- 差額=30,000円(帳簿価額>売却価額…売却損)
(借)備品減価償却累計額 160,000
(借)現金 100,000
(借)固定資産売却損 30,000
(貸)備品 300,000
なお、上記の仕訳は、「当期の減価償却の処理」と「売却の処理」を1本の仕訳にまとめていますが、まとめずに別々に処理しても構いません。その場合、借方と貸方の備品減価償却累計額の金額が変わります。
(貸)備品減価償却累計額 10,000
(借)備品減価償却累計額 170,000
(借)現金 100,000
(借)固定資産売却損 30,000
(貸)備品 300,000
固定資産の売却に関する問題は、第102回の問2や第105回の問2、第108回の問1、第115回の問4、第119回の問5、第120回の問3、第122回の問5、第132回の問2、第134回の問1、第135回の問3、第136回の問2、第137回の問3、第142回の問1、第146回の問2、第149回の問5、第154回の問4でも出題されています。あわせてご確認ください。