仕訳問題(類題)
重要度:★★☆ 難度:★★☆
平成14年に購入した社用車(取得原価 ¥ 5,000,000 )を、当期末(平成20年3月31日)に ¥ 1,000,000 で売却し、代金については小切手で受け取り、ただちに当座預金に預け入れた。当該車両は生産高比例法で減価償却しており(総走行可能距離10万キロ、残存価額10%、記帳方法・間接法)、前期末(平成19年3月31日)時点の実際走行距離は8万キロ、当期の実際走行距離は1万キロである。決算に当たって当期の減価償却費を計上したうえで売却の処理を行うこと。
勘定科目は、次の中から最も適当と思われるものを選びなさい。 | |||
---|---|---|---|
現金 | 当座預金 | 受取手形 | 売掛金 |
前払金 | 貯蔵品 | 車両 | 車両減価償却累計額 |
前受金 | 固定資産売却益 | 減価償却費 | 固定資産売却損 |
解答仕訳
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | ||
---|---|---|---|---|---|
減価償却費 車両減価償却累計額 当座預金 |
450,000 3,600,000 1,000,000 |
※1 ※2 |
車両 固定資産売却益 |
5,000,000 50,000 |
※3 |
※1 5,000,000円×0.9×1万キロ/10万キロ=450,000円
※2 5,000,000円×0.9×8万キロ/10万キロ=3,600,000円
※3 450,000円+3,600,000円+1,000,000円-5,000,000円=50,000円(貸借差額)
または
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | ||
---|---|---|---|---|---|
減価償却費 車両減価償却累計額 当座預金 |
450,000 4,050,000 1,000,000 |
※4 ※5 |
車両減価償却累計額 車両 固定資産売却益 |
450,000 5,000,000 50,000 |
※6 |
※4 5,000,000円×0.9×1万キロ/10万キロ=450,000円
※5 5,000,000円×0.9×9万キロ/10万キロ=4,050,000円
※6 450,000円+4,050,000円+1,000,000円-450,000円-5,000,000円=50,000円(貸借差額)
解説
固定資産の売却に関する問題です。
本問はまず、当期の減価償却費を計算したうえで、売却時の帳簿価額を求めましょう。次に、売却時の帳簿価額と売却価額との差額を固定資産売却損益で処理しましょう。
- 解答手順
- 当期の減価償却費を計算する
- 売却時の帳簿価額を計算する
- 売却時の帳簿価額と売却価額との差額を売却損益で処理する
1.当期の減価償却費を計算する
問題文の「当該車両は生産高比例法で減価償却」「総走行可能距離10万キロ」「当期の実際走行距離は1万キロ」から、当期の減価償却費を計算しましょう。
- 取得原価:5,000,000円
- 当期の減価償却費:5,000,000円×90%×1万キロ/10万キロ=450,000円
(貸)車両減価償却累計額 450,000
2.売却時の帳簿価額を計算する
売却時の帳簿価額は、以下の計算式で求めましょう。
売却時の帳簿価額=取得原価-(前期末までの減価償却費+当期の減価償却費)
売却時の帳簿価額=取得原価-売却時の減価償却累計額
問題文の「前期末(平成19年3月31日)時点の実際走行距離は8万キロ」から、購入日から前期末までの減価償却費を計算しましょう。
- 購入日から前期末までの走行距離:8万キロ
- 購入日から前期末までの減価償却費:5,000,000円×90%×8万キロ/10万キロ=3,600,000円
- 売却時の減価償却累計額:3,600,000円+450,000円=4,050,000円
- 売却時の帳簿価額:5,000,000円-4,050,000円=950,000円
3.売却時の帳簿価額と売却価額との差額を売却損益で処理する
問題文の「当期末(平成20年3月31日)に ¥ 1,000,000 で売却」から売却価額が分かるので、2.で求めた売却時の帳簿価額との差額を売却損益で処理しましょう。
- 売却時の帳簿価額:950,000円
- 売却価額:1,000,000円
- 差額:1,000,000円-950,000円=50,000円(※売却益)
なお、本問は問題文に「代金については小切手で受け取り、ただちに当座預金に預け入れた」とあるので、当座預金の増加として処理します。
(借)当座預金 1,000,000
(貸)車両 5,000,000
(貸)固定資産売却益 50,000
以上、①②をまとめると解答仕訳になります。なお、借方・貸方の車両減価償却累計額はひとつにまとめても、まとめずにそのまま残してもどちらでも正解です。
固定資産の売却に関する問題は、第105回の問5や第113回の問5、第132回の問4、第144回の問2、第151回の問5でも出題されています。あわせてご確認ください。