仕訳問題(類題)
重要度:★★★ 難度:★★☆
平成20年10月31日に、不用となった冷暖房機(購入日:平成15年11月1日、取得原価:¥ 400,000、減価償却方法:定額法、耐用年数:6年、残存価額:取得原価の10%、記帳方法:間接法、決算日:年1回・10月31日)を ¥ 20,000 で売却し、代金は先方振出しの小切手で受け取った。なお、当期分の減価償却費の計上もあわせて記入すること。
勘定科目は、次の中から最も適当と思われるものを選びなさい。 | |||
---|---|---|---|
当座預金 | 未収入金 | 減価償却費 | 備品減価償却累計額 |
固定資産売却損 | 固定資産売却益 | 現金 | 備品 |
解答仕訳
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | ||
---|---|---|---|---|---|
減価償却費 備品減価償却累計額 現金 固定資産売却損 |
60,000 240,000 20,000 80,000 |
※1 ※2 ※3 |
備品 | 400,000 |
※1 400,000円×0.9×1年/6年=60,000円
※2 400,000円×0.9×4年/6年=240,000円
※3 400,000円-60,000円-240,000円-20,000円=80,000円(貸借差額)
または
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | ||
---|---|---|---|---|---|
減価償却費 備品減価償却累計額 現金 固定資産売却損 |
60,000 300,000 20,000 80,000 |
※4 ※5 ※6 |
備品減価償却累計額 備品 |
60,000 400,000 |
※4 400,000円×0.9×1年/6年=60,000円
※5 400,000円×0.9×5年/6年=300,000円
※6 60,000円+400,000円-60,000円-300,000円-20,000円=80,000円(貸借差額)
解説
固定資産の売却に関する問題です。
固定資産は期首に売却する場合と、期中(または期末)に売却する場合とで処理が異なるので、まず問題がどちらに該当するのか確認しましょう。
期首に固定資産を売却する場合
当期の減価償却費はゼロなので、取得原価から期首備品減価償却累計額を差し引いて売却時の帳簿価額を計算し、さらに売却価額との差額で売却損益を計算します。
売却時の帳簿価額=取得原価-期首備品減価償却累計額
期中(または期末)に固定資産を売却する場合
当期の減価償却の処理に関する指示が入るので、それに従って当期の減価償却費を(月割で)計算します。そのうえで、取得原価から期首備品減価償却累計額&当期の減価償却費を差し引いて売却時の帳簿価額を計算し、さらに売却価額との差額で売却損益を計算します。
売却時の帳簿価額=取得原価-期首備品減価償却累計額-当期の減価償却費
本問は、問題文の「平成20年10月31日に、不用となった冷暖房機~を ¥ 20,000 で売却し」「決算日:年1回・10月31日」から期末に売却したことが分かります。
また、問題文に「当期分の減価償却費の計上もあわせて記入すること」という指示があるので、まず当期の減価償却費を計算します。
400,000円×90%÷6年=60,000円
次に、期首備品減価償却累計額を計算します。具体的には…購入日の平成15年11月1日から前期末日の平成19年10月31日までの4年間分の減価償却費の金額になります。
400,000円×90%÷6年=60,000円/年
60,000円/年×4年=240,000円
当期の減価償却費と期首備品減価償却累計額の金額を計算したら、取得原価からこれらを差し引いて売却時の帳簿価額を計算します。
取得原価400,000円-期首備品減価償却累計額240,000円-当期の減価償却費60,000円=売却時の帳簿価額100,000円
最後に、売却時の帳簿価額と売却価額との差額で売却損益を計算します。売却価額20,000円は先方振出しの小切手で受け取っているので、現金で処理します。
- 売却時の帳簿価額=100,000円
- 売却価額=20,000円
- 差額=80,000円(帳簿価額>売却価額…売却損)
(借)備品減価償却累計額 240,000
(借)現金 20,000
(借)固定資産売却損 80,000
(貸)備品 400,000
なお、上記の仕訳は、「当期の減価償却の処理」と「売却の処理」を1本の仕訳にまとめていますが、まとめずに別々に処理しても構いません。その場合、借方と貸方の備品減価償却累計額の金額が変わります。
(借)備品減価償却累計額 300,000
(借)現金 20,000
(借)固定資産売却損 80,000
(貸)備品減価償却累計額 60,000
(貸)備品 400,000
固定資産の売却に関する問題は、第105回の問2や第108回の問1、第115回の問4、第119回の問5、第120回の問3、第122回の問5、第132回の問2、第134回の問1、第135回の問3、第136回の問2、第137回の問3、第138回の問2、第142回の問1、第146回の問2、第149回の問5、第154回の問4でも出題されています。あわせてご確認ください。