第154回日商簿記3級 予想問題「簿記ナビ模試」第3問(合計試算表)の解説

第3問 ボリュームが大きい合計試算表の作成問題。諸掛りの処理がポイントです!

 合計残高試算表の作成問題です。

 本問は、仕入諸掛り・売上諸掛りの処理がポイントです。4つのパターンを完ぺきに押さえておきましょう。

 また、本ページではT勘定を使った解答方法を紹介しています。マスターすれば大きな武器になりますので、積極的に取り組んでください。

簿記ナビ模試3級の「各問題の難度」と「解答時間の目安」
準備 第1問 第2問 第3問 第4問 第5問 見直し
普通 普通 難しい 簡単 普通
5分 15分 15分 40分 5分 30分 10分

簿記3級の出題予想のご案内

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第3問(合計試算表)の解説

 合計試算表の作成問題です。

 二重取引を考慮する必要のない試算表の解答方法は、「取引の仕訳を全て下書きしたうえで金額を集計する方法」と「仕訳を書かずにT勘定を使って解く方法」の2つがありますが、本問のように処理すべき量が多い問題は後者の「T勘定を使って解く方法」をおすすめします。

  • T勘定を使って解く方法のメリット
    • マスターすれば早く解ける
    • 集計もれが減る(ケアレスミスが減る)
    • なんかカッコいい(意外と大事)
  • T勘定を使って解く方法のデメリット
    • 慣れるまでは逆に時間がかかる

 頭の中で仕訳を考えて各T勘定に金額を入れていく形になるので、慣れるまでは時間がかかってしまいますが、一度マスターすれば大きな武器になります。本問を使って「仕訳を書かずにT勘定を使って解く方法」をマスターしてください。

※「取引の仕訳を全て下書きしたうえで金額を集計する方法」で解いた方、「仕訳を書かずにT勘定を使って解く方法」に興味がない方は、参考:×5年3月中の仕訳一覧にお進みください。

T勘定を使って解く方法の解答手順

 頻出する9勘定(現金・普通預金・当座預金・受取手形・売掛金・支払手形・買掛金・仕入・売上)についてT勘定を設定して集計しましょう。その他の勘定科目は「その他」勘定に記入・集計します。

 まず、下書用紙に9つの勘定+その他勘定を書きます。

第3問の下書き1
第3問の下書き1(PDF版

 次に、前月末(×5年2月28日)時点の各勘定の金額を記入します。答案用紙の合計試算表から金額をひっぱってきましょう。

第3問の下書き2
第3問の下書き2(PDF版

 【資料:×5年3月中の取引】の各日の取引を頭の中で仕訳して、9つの勘定に記入していきます。

 なお、本問は売掛金と買掛金の明細表を作成する必要があるので、T勘定の売掛金・買掛金に金額を書き込むさいにはどの商店の増減なのかひと目で分かるようにしておくのがポイントです。

  • 売掛金
    • :石崎商店
    • :高杉商店
  • 買掛金
    • :井沢商店
    • :来生商店

 また、「その他」勘定に記入するさいは、勘定科目を可能なかぎり省略してスピードアップを図りましょう。簿記検定ナビでは、勘定科目の省略パターン一覧表ページで勘定科目の短縮例などをまとめています。興味のある方は一度ご確認ください。

第3問の下書き3
第3問の下書き3(PDF版

 最後に9つの勘定を締め切ります。なお、本問は合計試算表を作成する問題なので、各勘定を締め切るさいには借方・貸方の合計額を求めましょう。

第3問の下書き4
第3問の下書き4(PDF版

 なお、「その他」勘定は締め切り不要です。答案用紙の2月28日現在の金額に、「その他」勘定に計上した金額を反映させて、3月31日現在の金額を求めましょう。

残高試算表・合計残高試算表の場合の下書きの締め切り方

 仮に、本問の解答要求が残高試算表・合計残高試算表の場合は、以下のように締め切ると分かりやすいです。上で紹介している合計試算表の締め切り方とあわせて押さえておきましょう。

残高試算表のT勘定の締め切り方
残高試算表のT勘定の締め切り方(PDF版
合計残高試算表のT勘定の締め切り方
合計残高試算表のT勘定の締め切り方(PDF版

参考:×5年3月中の仕訳一覧

×5年3月1日の仕訳
(借)普通預金 80,000
 (貸)受取手形 80,000
×5年3月5日の仕訳
(借)通信費 4,100
(借)租税公課 2,000
 (貸)現金 6,100
×5年3月7日の仕訳
(借)当座預金 294,000
(借)支払利息 6,000 ※1
 (貸)借入金 300,000

※1 300,000円×4%×6か月/12か月=6,000円

×5年3月11日の仕訳
(借)仕入 100,000 ※2
 (貸)支払手形 79,000
 (貸)買掛金・来生 20,000
 (貸)現金 1,000

※2 購入代価99,000円+引取運賃1,000円=100,000円

 仕入諸掛りの処理がポイントです。本問のように特に指示がない場合は当店負担と考えて、仕入原価に含めて処理しましょう。

  • 仕入時の諸掛り
    • 当店負担:仕入原価に含めて処理
    • 仕入先負担:立替金で処理or買掛金から差し引いて処理
  • 売上時の諸掛り
    • 当店負担:発送費などで費用処理
    • 得意先負担:立替金で処理or売掛金に含めて処理
×5年3月12日の仕訳
(借)仕入 92,000
 (貸)前払金 22,000
 (貸)買掛金・井沢 70,000 ※3

※3 92,000円-22,000円=70,000円

×5年3月14日の仕訳
(借)買掛金・来生 40,000
 (貸)現金 40,000

 通貨代用証券のひとつである「郵便為替証書」の受取時には現金の増加として処理しているので、手放す時には現金の減少として処理します。

  • 通貨代用証券(帳簿上は現金で処理)
    • 郵便為替証書
    • 他人振出小切手
    • 送金小切手
×5年3月15日の仕訳
(借)旅費交通費 8,000
 (貸)現金過不足 8,000
×5年3月17日の仕訳
(借)支払手形 65,000
 (貸)当座預金 65,000
×5年3月18日の仕訳
(借)受取手形 88,000
(借)売掛金・石崎 94,000
 (貸)売上 182,000
(借)発送費 3,000
 (貸)現金 3,000

 売上諸掛りの処理がポイントです。当店負担の場合は、発送費で費用処理します。

  • 仕入時の諸掛り
    • 当店負担:仕入原価に含めて処理
    • 仕入先負担:立替金で処理or買掛金から差し引いて処理
  • 売上時の諸掛り
    • 当店負担:発送費などで費用処理
    • 得意先負担:立替金で処理or売掛金に含めて処理
×5年3月20日の仕訳
(借)前受金 80,000
(借)売掛金・高杉 74,000 ※4
 (貸)売上 150,000
 (貸)現金 4,000

※4 70,000円+4,000円=74,000円

 売上諸掛りの処理がポイントです。

 先方(得意先)負担の場合は、立替金もしくは売掛金で処理しますが、問題文に「掛け代金に含めて処理した」という指示があるので、売掛金に含めて処理しましょう。

  • 仕入時の諸掛り
    • 当店負担:仕入原価に含めて処理
    • 仕入先負担:立替金で処理or買掛金から差し引いて処理
  • 売上時の諸掛り
    • 当店負担:発送費などで費用処理
    • 得意先負担:立替金で処理or売掛金に含めて処理
×5年3月21日の仕訳
(借)仕入 47,000 ※5
 (貸)買掛金・来生 45,000
 (貸)現金 2,000

※5 購入代価45,000円+引取運賃2,000円=47,000円

 仕入諸掛りの処理がポイントです。本問のように特に指示がない場合は当店負担と考えて、仕入原価に含めて処理しましょう。

×5年3月22日の仕訳
(借)売上 6,000
 (貸)売掛金・高杉 6,000

 売上戻りです。問題文に「同店に対する売掛金と相殺した」とあるので、売上と売掛金を相殺しましょう。

×5年3月24日の仕訳
(借)支払手形 80,000
(借)売掛金・石崎 85,000
 (貸)売上 165,000
(借)発送費 2,500
 (貸)現金 2,500

 売上諸掛りの処理がポイントです。当店負担の場合は、発送費で費用処理します。

 また、当店振り出しの約束手形を回収することにより手形代金の支払義務が消滅するので、支払手形の減少として処理します。

  • 他店振り出しの約束手形を受取 → 手形代金の受取権利が発生 → 受取手形の増加
  • 当店振り出しの約束手形を回収 → 手形代金の支払義務が消滅 → 支払手形の減少
×5年3月25日の仕訳
(借)給料 200,000
 (貸)従業員立替金 25,000
 (貸)所得税預り金 5,000
 (貸)普通預金 170,000
×5年3月26日の仕訳
(借)買掛金・来生 3,000
 (貸)仕入 3,000

 仕入戻しです。問題文に「同店に対する買掛金と相殺することとした」とあるので、仕入と買掛金を相殺しましょう。

×5年3月27日の仕訳
(借)買掛金・井沢 51,000
 (貸)当座預金 51,000
×5年3月28日の仕訳
(借)現金 80,000
 (貸)売掛金・石崎 80,000

売掛金明細表と買掛金明細表

答案用紙の売掛金明細表と買掛金明細表
答案用紙の売掛金明細表と買掛金明細表

 空欄になっている「2月28日時点の売掛金の合計額」は、合計試算表の2月28日時点の「2,661,600 売掛金 2,350,800」から、借方残310,800円(=2,661,600円-2,350,800円)を求めましょう。

 また、空欄になっている「2月28日時点の石崎商店に対する売掛金の金額」は、上述の合計額310,800円から高杉商店に対する売掛金210,800円を差し引いて求めましょう。

  • 石崎商店:310,800円-210,800円=100,000円
  • 高杉商店:210,800円
    • 売掛金の合計額:310,800円(合計試算表の2月28日時点の借方残)

 空欄になっている「2月28日時点の買掛金の合計額」は、合計試算表の2月28日時点の「991,800 買掛金 1,351,200」から、貸方残359,400円(=1,351,200円-991,800円)を求めましょう。

 また、空欄になっている「2月28日時点の来生商店に対する買掛金の金額」は、上述の合計額359,400円から井沢商店に対する売掛金150,000円を差し引いて求めましょう。

  • 井沢商店:150,000円
  • 来生商店:359,400円-150,000円=209,400円
    • 買掛金の合計額:359,400円(合計試算表の2月28日時点の貸方残)
解答用紙の売掛金明細表と買掛金明細表
解答用紙の売掛金明細表と買掛金明細表

 2月28日時点の金額に3月中に動いた金額を加減して、3月31日時点の金額を求めましょう。

  • 石崎商店:100,000円+94,000円+85,000円-80,000円=199,000円
  • 高杉商店:210,800円+74,000円-6,000円=278,800円
    • 売掛金の合計額:199,000円+278,800円=477,800円
  • 井沢商店:150,000円+70,000円-51,000円=169,000円
  • 来生商店:209,400円+20,000円+45,000円-40,000円-3,000円=231,400円
    • 買掛金の合計額:169,000円+231,400円=400,400円

 なお、3月31日時点の売掛金の合計額(477,800円)・買掛金の合計額(400,400円)は、合計試算表の3月31日時点の売掛金の借方残477,800円・買掛金の貸方残400,400円と一致します。

  • 合計試算表の3月31日時点の売掛金の借方残:477,800円(=2,914,600円-2,436,800円)
  • 合計試算表の3月31日時点の買掛金の貸方残:400,400円(=1,486,200円-1,085,800円)

 本問のように売掛金明細表・買掛金明細表を作成する場合は、最後に必ず試算表の金額と一致するか検算しましょう。

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