第157回日商簿記3級 予想問題「簿記ナビ模試」第3問(合計残高試算表)の解説

第3問 難度の高い合計残高試算表の作成問題。諸口の処理がポイントです。

 合計残高試算表の作成問題です。

 本問は、現金・普通預金の諸口の処理が難しいので、1回目は思うように点数が取れなくても気にする必要はありません。他の受験生も同じです。2回目で満点が取れるように、間違えたところはテキスト等に戻って復習しておきましょう。

 また、本試験では(本問のような)答案用紙に解答のヒントがある問題もたまに出題されます。問題を解き始める前に、問題用紙だけでなく答案用紙もチェックするクセをつけておきましょう。

簿記ナビ模試3級の「各問題の難度」と「解答時間の目安」
準備 第1問 第2問 第3問 第4問 第5問 見直し
普通 やや難しい やや難しい 普通 やや難しい
5分 10分 20分 30分 15分 30分 10分


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第3問(合計残高試算表)の解説

 合計残高試算表の作成問題です。

 問題資料Aの「9月1日時点の残高試算表」に、問題資料Bの「9月中の取引」を反映させて、9月末時点の合計残高試算表を作成します。

 試算表作成問題の解き方は「下書用紙に全取引の仕訳を書いて、集計時にひと工夫する方法」と「下書用紙にT勘定を設定する方法」の2つがあります。

 本問のように二重取引を考慮する必要がある問題は、前者の「下書用紙に全取引の仕訳を書いて、集計時にひと工夫する方法」で解くことをおすすめします。

 なお、具体的な解答手順は以下のような流れになります。

  1. 問題資料Bの取引記録から仕訳を推定し、下書用紙に仕訳を書く。
  2. 二重取引に気をつけて、問題資料Bの(1)~(6)の6つの勘定の金額を先に集計する。
  3. 残りの勘定の金額を集計する。

1.問題資料Bの取引記録から仕訳を推定し、下書用紙に仕訳を書く。

 問題資料Bの取引記録から9月中の取引の仕訳を考えます。

 現金勘定と普通預金勘定の「諸口」の処理は、答案用紙の合計残高試算表に予め記入されている金額がポイントになります。

 まずは現金勘定の「諸口」から考えましょう。

 問題資料Bの「※諸口は土地の売却にかかるものである」と「諸口 ¥ 510,000」から、土地の売却により現金510,000円を受け取ったことが分かります。

 また、答案用紙の貸方合計欄の「土地 500,000」から、土地の帳簿価額が500,000円減っていることが分かります。

 上記の2点から、帳簿価額500,000円の土地を売却して510,000円の現金を受け取ったことが分かるので、貸借差額の10,000円を固定資産売却益で処理します。

現金の諸口510,000円に関する仕訳
(借)現金 510,000
 (貸)土地 500,000
 (貸)固定資産売却益 10,000

 次に、普通預金勘定の「諸口」を考えましょう。

 問題資料Bの「※諸口は利息を含めた貸付金の回収にかかるものである」と「諸口 ¥ 370,000」から、貸付金の回収&利息の受け取りによって普通預金が370,000円増えたことが分かります。

 また、答案用紙の貸方残高欄の「受取利息 103,000」と問題資料Aの「受取利息 83,000」から、9月中に20,000円の利息を受け取ったことが分かります。

 上記の2点から、貸付金350,000円(=370,000円-20,000円)の回収利息20,000円の受け取りにより、普通預金が370,000円増えたことが分かります。

普通預金の諸口370,000円に関する仕訳
(借)普通預金 370,000
 (貸)貸付金 350,000
 (貸)受取利息 20,000

 また、問題資料Aの消耗品費と水道光熱費の金額が「?」になっていますが、こちらはまず水道光熱費の金額を算定し、借方の合計金額との差額で消耗品費の金額を算定します。

 水道光熱費は、9月中に18,000円増えて(※問題資料Bの(2)を参照)、9月末の残高が108,000円になっているので(※答案用紙の借方の残高欄を参照)、差額で9月1日時点の金額(=問題資料Aの残高試算表の金額)を算定します。

  • 9月1日の残高試算表の水道光熱費の金額=108,000円-18,000円=90,000円
  • 9月1日の残高試算表の消耗品費の金額=借方の合計金額-消耗品費以外の合計金額=15,434,000円-15,404,000円=30,000円

 (7)①の「債権の貸倒れ」に関しては、110,000円のうち82,000円は貸倒引当金を充当し、残りの不足分28,000円(=110,000円-82,000円)は貸倒損失で処理します。

効率のよい下書きの書き方

 二重取引を考慮する必要がある問題の下書きは、勘定ごとに分けて書くのがポイントです。

 本問の場合、問題資料Bで与えられている情報にもとづいて「現金」「普通預金」「売上」「仕入」「受取手形」「支払手形」「その他」の7つに分けましょう。

 また、実際に問題を解くさいは、解答時間を短縮するために勘定科目・金額をなるべく省略した形で書きましょう。

 例えば、現金は「ゲ」、売掛金は「う×」、受取手形は「うて」、売上は「S(Salesの頭文字)」、減価償却費は「Dep(Depreciationの省略形)」、水道光熱費は「水ヒ」、100,000は100,-(最後の000を横棒で書く)…といった感じで省略します。

 勘定科目・金額の具体的な省略方法に関しては、簿記検定ナビの勘定科目の省略パターン一覧表ページで詳しく紹介しています。興味のある方は一度ご覧ください。

通常の下書き
通常の下書き(PDF版
省略した下書き
省略した下書き(PDF版

2.二重取引に気をつけて、6つの勘定の金額を先に集計する。

 下書用紙に仕訳を書いたら、まず、現金・普通預金・売上・仕入・受取手形・支払手形勘定の6つの勘定の金額を先に集計しますが、この6つの勘定については一部の取引が二重計上されているという点に気をつけてください。

 よって、そのまますべてを集計すると重複分だけ金額が過大になってしまうので、これらの6つの勘定については下書用紙の各欄に計上されている金額のみを集計してください。

 例えば、現金勘定は9月1日の残高897,000円に、下書用紙の現金欄の借方合計金額680,000円と貸方合計金額35,000円だけを加減して、9月末の残高1,542,000円を算定します。他の欄の現金の増減を無視することによって二重計上を回避します。

 普通預金・売上・仕入・受取手形・支払手形勘定も考え方は同じです。他の欄の増減を無視することによって、二重計上を回避しましょう。

  • 現金勘定の9月末の借方合計額:1,577,000円(=897,000円+680,000円)
  • 現金勘定の9月末の貸方合計額:35,000円
    • 9月末の残高(借方):1,577,000円-35,000円=1,542,000円
  • 普通預金勘定の9月末の借方合計額:2,457,000円(=633,000円+1,824,000円)
  • 普通預金勘定の9月末の貸方合計額:1,793,000円
    • 9月末の残高(借方):2,457,000円-1,793,000円=664,000円
  • 売上勘定の9月末の借方合計額:198,000円
  • 売上勘定の9月末の貸方合計額:7,770,000円(=5,977,000円+1,793,000円)
    • 9月末の残高(貸方):7,770,000円-198,000円=7,572,000円
  • 仕入勘定の9月末の借方合計額:5,303,000円(=4,128,000円+1,175,000円)
  • 仕入勘定の9月末の貸方合計額:124,000円
    • 9月末の残高(借方):5,303,000円-124,000円=5,179,000円
  • 受取手形勘定の9月末の借方合計額:1,412,000円(=616,000円+796,000円)
  • 受取手形勘定の9月末の貸方合計額:639,000円
    • 9月末の残高(借方):1,412,000円-639,000円=773,000円
  • 支払手形勘定の9月末の借方合計額:958,000円
  • 支払手形勘定の9月末の貸方合計額:1,593,000円(=629,000円+964,000円)
    • 9月末の残高(貸方):1,593,000円-958,000円=635,000円

 6つの勘定の金額を記入し終えたら、仕訳を書いた下書用紙に戻ってください。

 すでに6つの勘定の集計は終わっているので、残りの勘定の集計の邪魔にならないようにこれらの勘定には打ち消し線を引きましょう。

通常の下書き
通常の下書き(PDF版
省略した下書き
省略した下書き(PDF版

3.残りの勘定の金額を集計する。

 最後に、残りの勘定の金額を集計します。答案用紙の合計欄の金額を埋めるさいは、問題資料Aの残高試算表の金額を足し忘れないように注意してください。

 なお、9月中の取引の結果、貸倒引当金の残高はゼロになります。答案用紙の残高欄は空欄にしておきましょう(※0を記入する必要はありません。)

参考:×1年9月中の仕訳一覧

(1) 現金勘定の仕訳
(借)現金 680,000
 (貸)普通預金 156,000
 (貸)受取手数料 14,000
 (貸)土地 500,000
 (貸)固定資産売却益 10,000
(借)消耗品費 35,000
 (貸)現金 35,000
(2) 普通預金勘定の仕訳
(借)普通預金 1,824,000
 (貸)売上 513,000
 (貸)受取手形 639,000
 (貸)売掛金 302,000
 (貸)貸付金 350,000
 (貸)受取利息 20,000
(借)仕入 231,000
(借)支払手形 958,000
(借)買掛金 180,000
(借)現金 156,000
(借)給料 250,000
(借)水道光熱費 18,000
 (貸)普通預金 1,793,000
(3) 受取手形勘定の仕訳
(借)受取手形 796,000
 (貸)売上 422,000
 (貸)売掛金 374,000
(借)普通預金 639,000
 (貸)受取手形 639,000
(4) 支払手形勘定の仕訳
(借)支払手形 958,000
 (貸)普通預金 958,000
(借)仕入 724,000
(借)買掛金 240,000
 (貸)支払手形 964,000
(5) 売上勘定の仕訳
(借)売上 198,000
 (貸)売掛金 198,000
(借)普通預金 513,000
(借)受取手形 422,000
(借)売掛金 858,000
 (貸)売上 1,793,000
(6) 仕入勘定の仕訳
(借)仕入 1,175,000
 (貸)普通預金 231,000
 (貸)支払手形 724,000
 (貸)買掛金 220,000
(借)買掛金 124,000
 (貸)仕入 124,000
(7) その他の仕訳
(借)貸倒引当金 82,000
(借)貸倒損失 28,000
 (貸)売掛金 110,000
(借)減価償却費 5,000
 (貸)建物減価償却累計額 5,000


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