第4問 工程別総合原価計算で半製品が出てきたら…按分計算を追加しましょう!
第4問(仕訳問題&工程別総合原価計算)の解説
(1) 仕訳問題
問1 材料副費
問2 労務費
問3 本社工場会計
(2) 工程別総合原価計算
第1工程の計算
第2工程振替高および製品Z(半製品)の計算
第2工程の計算
(1)は工業簿記の仕訳問題、(2)は工程別総合原価計算に関する計算問題です。
(1)の工業簿記の仕訳問題では、工業簿記の様々な場面の仕訳が3問出題されます。第1問の仕訳問題と同様に勘定科目を記号で解答しましょう。
(2)の工程別総合原価計算の計算問題は、「材料の途中投入の処理」「仕損の処理」「半製品がある場合の追加処理」の3点がポイントです。
準備 | 第1問 | 第2問 | 第3問 | 第4問 | 第5問 | 見直し |
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- | 普通 | やや簡単 | 普通 | 普通 | 簡単 | - |
3分 | 10分 | 15分 | 25分 | 20分 | 15分 | 2分 |
第4問(仕訳問題&工程別総合原価計算)の解説
(1) 仕訳問題
問1 材料副費
重要度:★★☆ 難度:★★☆
(貸)材料副費 5,000
※1 1,000,000円×5%-55,000円=▲5,000円(借方差異)
材料副費に関する問題です。
本問はまず、問題文に「当社では、素材の購入時に購入代価の5%を材料副費として予定配賦している」とあるので、当月の材料副費の予定配賦額を計算しましょう。
予定配賦額:購入代価合計1,000,000円×5%=50,000円
当月の予定配賦額を計算したら、問題文の「材料副費の予定配賦額と実際発生額との差額を材料副費配賦差異勘定に振り替える」という指示に従って、差額を材料副費配賦差異に振り替えます。
- 予定配賦額:50,000円
- 実際発生額:55,000円
- 差異:50,000円-55,000円=▲5,000円(借方差異)
(貸)買掛金など 1,000,000
(貸)材料副費 50,000
(貸)現金など 55,000
(貸)材料副費 5,000
問2 労務費
重要度:★★★ 難度:★☆☆
(借)製造間接費 740,000 ※3
(貸)賃金・給料 2,340,000 ※4
※2 @2,000円×800時間=1,600,000円
※3 @2,000円×120時間+(480,000円+140,000円-120,000円)=740,000円
※4 1,620,000円+740,000円=2,340,000円(貸借差額)
労務費に関する問題です。
本問は、取引を【直接工に関する取引】【間接工に関する取引】の2つに分けて考えましょう。
直接工に関する取引
直接工の直接作業時間にかかる実際消費額は賃金・給料から仕掛品に振り替え、間接作業時間にかかる実際消費額は賃金・給料から製造間接費に振り替えます。
- 直接作業時間にかかる実際消費額:@2,000円×800時間=1,600,000円
- 間接作業時間にかかる実際消費額:@2,000円×120時間=240,000円
(借)製造間接費 240,000
(貸)賃金・給料 1,840,000
間接工に関する取引
間接工の当月消費額は賃金・給料から製造間接費に振り替えます。
- 当月賃金支払額:480,000円
- 前月未払額:120,000円
- 当月未払額:140,000円
- 当月消費額:480,000円+140,000円-120,000円=500,000円
(貸)賃金・給料 500,000
以上、①②の仕訳をまとめると解答仕訳になります。
問3 本社工場会計
重要度:★★★ 難度:★☆☆
(貸)製造間接費 3,500,000
本社工場会計に関する問題です。
製造間接費を予定配賦するさいの工場側の仕訳が問われていますが、この取引は本社に関係ないので製造間接費を仕掛品に振り替えるだけです。
無理やり「本社」や「工場」といった勘定科目を使わないように気をつけましょう。
(2) 工程別総合原価計算
第1工程の計算
仕損の処理については「完成品のみに負担させる(完成品のみ負担)」と「完成品と月末仕掛品の両者に負担させる(両者負担)」の2パターンがあります。
本問のように仕損の発生点が途中・不明の場合、加工費の仕損の完成品換算量を計算することができないので、完成品のみ負担ではなく両者負担で処理すると判断します。
- 原料費
- 月末仕掛品原価:4,606,800円×200個/660個=1,396,000円
- 完成品総合原価:2,512,600円+4,606,800円-1,396,000円=5,723,400円
- 加工費
- 月末仕掛品原価:2,540,800円×100個/800個=317,600円
- 完成品総合原価:185,400円+2,540,800円-317,600円=2,408,600円
第2工程振替高および製品Z(半製品)の計算
問題資料5に「第1工程の完成品の一部は、製品Z(半製品)として外部に販売するために別途保管している」とあるので、第2工程の計算の前に第2工程振替高および製品Z(半製品)の金額を計算しましょう。
- 第1工程完成品総合原価の按分
- 第2工程振替高:8,132,000円×600個/760個=6,420,000円
- 製品Z(半製品):8,132,000円×160個/760個=1,712,000円
第2工程の計算
原料Bは第2工程の加工進捗度60%の時点で投入されますが、月初仕掛品の加工進捗度は0.3(30%)なので、月初仕掛品には原料Bは投入されていません。よって、原料Bの月初仕掛品の個数・金額はゼロです。
なお、第2工程の仕損は終点で発生しているので、完成品のみに負担させます。
- 前工程費
- 月末仕掛品原価:(2,104,000円+6,420,000円)×100個/800個=1,065,500円
- 完成品総合原価:(2,104,000円+6,420,000円)×700個/800個=7,458,500円
- 原料費
- 月末仕掛品原価:(0円+851,200円)×100個/800個=106,400円
- 完成品総合原価:(0円+851,200円)×700個/800個=744,800円
- 加工費
- 月末仕掛品原価:(453,600円+4,304,400円)×80個/780個=488,000円
- 完成品総合原価:(453,600円+4,304,400円)×700個/780個=4,270,000円