第156回日商簿記2級 予想問題「簿記ナビ模試」第4問(費目別計算)の解説

第4問 費目別計算の問題は「勘定連絡図」をイメージしながら解答しましょう!

 費目別計算に関する製造原価報告書および損益計算書の作成問題です。

 本問は、勘定の流れ(材料費・労務費・経費→製造間接費・配賦差異→仕掛品→製品→売上原価→月次損益)を常に意識しながら問題を解きましょう。

 なお、費目別計算は序盤の費用の分類作業でケアレスミスをすると、芋づる式に失点してしまう可能性が高くなります。費用の分類・金額の集計は特に慎重に行いましょう。

簿記ナビ模試2級の「各問題の難度」と「解答時間の目安」
準備 第1問 第2問 第3問 第4問 第5問 見直し
簡単 普通 難しい 普通 普通
5分 10分 25分 35分 20分 15分 10分


簿記2級の出題予想のご案内

 簿記検定ナビでは、2020年11月15日に行われる第156回日商簿記2級の出題予想を公開しています。

 過去の出題状況や最近の出題傾向を独自の視点で分析し、大問ごとの予想はもちろんのこと、各論点の重要ポイントや絶対に押さえておくべき過去問などもあわせてご紹介しています。

第4問(費目別計算)の解説

A.材料費

材料費

 主要材料は直接材料費として処理します。

 一方、補助材料費・工場消耗品費(ex.作業服や軍手など)・消耗工具器具備品費(ex.ドリルやレンチなど)の3つは間接材料費として処理します。

 補助材料の当月消費高は主要材料と同様に「月初有高+当月仕入高-月末有高」で計算しますが、重要性の低い工場消耗品費や消耗工具器具備品費は「購入額=消費額」とみなして処理します。

  • 主要材料
    • 月初有高:95,000千円
    • 当月仕入高:560,000千円
    • 月末有高:98,000千円
    • 当月消費高:557,000千円(=95,000千円+560,000千円-98,000千円)
    • 直接材料費として仕掛品勘定
  • 補助材料
    • 月初有高:9,300千円
    • 当月仕入高:91,000千円
    • 月末有高:8,700千円
    • 当月消費高:91,600千円(=9,300千円+91,000千円-8,700千円)
    • 間接材料費として製造間接費勘定
  • その他
    • 資料6:工場消耗品費500千円間接材料費として製造間接費勘定
    • 資料7:消耗工具器具備品費400千円間接材料費として製造間接費勘定

 なお、本問では問われていませんが「特許権使用料→直接経費」「法定福利費→間接労務費」「棚卸減耗損→間接経費」「福利厚生費→間接経費」の4つの分類は特に間違えやすいので、この機会に費用の分類について知識を整理しておきましょう。

  • 直接材料費
    • 主要材料費
    • 買入部品費
  • 間接材料費
    • 補助材料費
    • 工場消耗品費
    • 消耗工具器具備品費
  • 直接労務費
    • 直接工の直接作業時間にかかる賃金
  • 間接労務費
    • 直接工の間接作業時間・手待ち時間にかかる賃金
    • 間接工の間接作業時間にかかる賃金
    • 工場長や事務職員の給料
    • 賞与
    • 退職給付費用
    • 法定福利費(従業員の社会保険料の会社負担分)
  • 直接経費
    • 外注加工賃
    • 特許権使用料
  • 間接経費
    • 工場の機械・建物などの減価償却費
    • 工場の水道光熱費
    • 棚卸減耗損
    • 工場の土地・建物にかかる租税公課(固定資産税)
    • 工場事務用消耗品費
    • 工員募集費
    • 工員訓練費
    • 福利厚生費(レクリエーション費用など)
    • 福利施設負担額(工員用の社宅など)

B.労務費

労務費

 直接工賃金の当月消費高は直接労務費として処理します。

 一方、間接工賃金の当月消費高は間接労務費として処理します。

  • 直接工
    • 前月未払高:19,000千円
    • 当月支払高:60,000千円
    • 当月未払高:20,500千円
    • 当月消費高:61,500千円(=60,000千円+20,500千円-19,000千円)
    • 直接労務費として仕掛品勘定
  • 間接工
    • 前月未払高:6,100千円
    • 当月支払高:20,000千円
    • 当月未払高:5,800千円
    • 当月消費高:19,700千円(=20,000千円+5,800千円-6,100千円)
    • 間接労務費として製造間接費勘定

C.経費

 工場の使用にともない発生するコストは間接経費として処理します。

  • 資料3:工場の機械の減価償却費8,000千円
  • 資料3:工場の建物の減価償却費5,000千円
  • 資料3:工場の建物にかかる租税公課4,200千円
  • 資料4:工場の水道光熱費3,000千円
    • 合計:20,200千円間接経費として製造間接費勘定

 なお、本社の建物にかかる減価償却費(3,000千円)や租税公課(2,800千円)、本社の水道光熱費(200千円)は一般管理費になるため、間接経費に含めないように気をつけましょう。

D.製造間接費

製造間接費
  • 間接材料費:補助材料91,600千円+工場消耗品費500千円+消耗工具器具備品費400千円=92,500千円
  • 間接労務費:間接工賃金19,700千円
  • 間接経費:減価償却費や租税公課など合計20,200千円
    • 実際発生額の合計:132,400千円

 製造間接費の配賦に関しては、問題文に「製造間接費は直接労務費の200%を予定配賦しており」とあるので、直接労務費の200%を仕掛品勘定へ振り替えるとともに、実際発生額と予定配賦額との差額を製造間接費配賦差異勘定に振り替えます。

  • 実際発生額:132,400千円
  • 予定配賦額:61,500千円×200%=123,000千円 → 仕掛品勘定
  • 貸借差額:132,400千円-123,000千円=9,400千円(不利差異)製造間接費配賦差異勘定

E.販売費及び一般管理費

 販売費は「製品を販売するためにかかる費用」で、一般管理費は「企業全体を管理・運営・維持するためにかかる費用」です。

 本問は、販売費と一般管理費の合計額29,500千円(=17,500千円+12,000千円)を、損益計算書の販売費及び一般管理費に計上します。

  • 販売費
    • 資料9:販売員給料2,500千円
    • 資料11:広告宣伝費15,000千円
      • 合計:17,500千円
  • 一般管理費
    • 資料3:本社の建物の減価償却費3,000千円
    • 資料3:本社の建物に係る租税公課2,800千円
    • 資料5:本社の水道光熱費200千円
    • 資料8:本社役員報酬4,000千円
    • 資料10:本社事務員給料2,000千円
      • 合計:12,000千円

勘定連絡図(勘定の流れ)

勘定連絡図

 仕掛品・製品・売上原価・月次損益の勘定連絡図(勘定の流れ)は上のような形になります。参考までに各勘定の内容をご確認ください。

原価差異の取扱い

 問題文に「配賦差異は売上原価に賦課する」という指示があるので、損益計算書にて製造間接費配賦差異9,400円(不利差異)を売上原価にプラスします。

売上原価からプラスするのかマイナスするのかを判断する方法

 配賦差異を売上原価にプラスするのかマイナスするのか迷ってしまった方(または間違えてしまった方)は、以下の2ステップで考えると分かりやすいです。

 まず、「不利差異→借方差異」「有利差異→貸方差異」なので、本問のように不利差異が発生した場合は借方製造間接費配賦差異を計上します。

  • 実際発生額:132,400千円
  • 予定配賦額:123,000千円
  • 製造間接費配賦差異:9,400千円(不利差異)
  • 予定配賦額<実際発生額:不利差異(借方差異)←本問はこっち
  • 予定配賦額>実際発生額:有利差異(貸方差異)
ステップ1:配賦差異を把握した時の仕訳
(借)製造間接費配賦差異 9,400
 (貸)製造間接費 9,400

 問題文の「配賦差異は売上原価に賦課する」というのは、簡単に言いかえると「配賦差異を売上原価に含めて処理する」ということになるので、ステップ1で借方に計上した製造間接費配賦差異を売上原価に振り替えます。

ステップ2:売上原価に賦課した時の仕訳
(借)売上原価 9,400
 (貸)製造間接費配賦差異 9,400

 なお、売上原価は通常、借方に計上される勘定科目なので、上記のステップ2の仕訳のように借方に計上する場合は売上原価のプラスとして処理します。

  • 予定<実際 → 不利差異が発生 → 不利差異は借方差異 → 製造間接費配賦差異を借方に計上 → 製造間接費配賦差異を売上原価に振り替える → 売上原価を借方に計上 → 売上原価のプラスとして処理
  • 予定>実際 → 有利差異が発生 → 有利差異は貸方差異 → 製造間接費配賦差異を貸方に計上 → 製造間接費配賦差異を売上原価に振り替える → 売上原価を貸方に計上 → 売上原価のマイナスとして処理


ページの先頭へ