第156回日商簿記2級 予想問題「簿記ナビ模試」第1問(仕訳問題)の解説

第1問 仕訳を制する者が簿記2級を制する!仕訳で20点満点を取りましょう!

 簿記2級の第1問では毎回、仕訳が5問出題されます。

 過去に出題された問題の類似問題がよく出題されるため、過去問対策が非常に効果的です。簿記検定ナビの仕訳対策教材や市販の仕訳教材・アプリなどを使って万全の対策をしておきましょう。

簿記ナビ模試2級の「各問題の難度」と「解答時間の目安」
準備 第1問 第2問 第3問 第4問 第5問 見直し
簡単 普通 難しい 普通 普通
5分 10分 25分 35分 20分 15分 10分


簿記2級の出題予想のご案内

 簿記検定ナビでは、2020年11月15日に行われる第156回日商簿記2級の出題予想を公開しています。

 過去の出題状況や最近の出題傾向を独自の視点で分析し、大問ごとの予想はもちろんのこと、各論点の重要ポイントや絶対に押さえておくべき過去問などもあわせてご紹介しています。

第1問(仕訳問題)の解説

問1 固定資産の購入

重要度:★★★ 難度:★☆☆

模範解答
(借)建物 16,000,000
(借)構築物 3,000,000
(借)修繕引当金 800,000
(借)修繕費 200,000 ※1
 (貸)建設仮勘定 20,000,000

※1 1,000,000円-800,000円=200,000円

 固定資産の購入(建設仮勘定)に関する問題です。

 本問はまず、問題文の「事務所の増設工事(工事代金 ¥ 20,000,000 は工事完成前に全額支払い済み)」から、工事代金の全額を前払いしたさいに建設仮勘定を計上したことが分かります。

参考:前払時の仕訳
(借)建設仮勘定 20,000,000
 (貸)現金など 20,000,000

 上記の仕訳を踏まえたうえで、問題文に「事務所の増設工事が完成したため、工事の明細(建物:¥ 16,000,000、構築物:¥ 3,000,000、修繕費:¥ 1,000,000 )に従って勘定科目の振り替えを行う」とあるので、前払時に計上した建設仮勘定を適切な勘定科目に振り替えます。

 なお、修繕費1,000,000円に関しては、問題文に「修繕引当金の残高は ¥ 800,000 である」とあるので、800,000円については修繕引当金を取り崩して処理し、不足分の200,000円については修繕費で費用処理しましょう。

解答:完成時の仕訳
(借)建物 16,000,000
(借)構築物 3,000,000
(借)修繕引当金 800,000
(借)修繕費 200,000
 (貸)建設仮勘定 20,000,000
管理人

構築物とは、土地の上に造られた建物・建築附属設備以外の築造物などを資産計上するさいに使う勘定科目です。
例えば、アスファルトで舗装された道路や鉄道の枕木、トンネル、飼育場など様々な資産を構築物で処理しますが、試験対策として細かい分類を覚える必要はありません。

問2 研究開発費・消費税

重要度:★★★ 難度:★☆☆

模範解答
(借)仕入 2,400,000
(借)研究開発費 1,600,000
(借)仮払消費税 400,000 ※4
 (貸)買掛金 2,640,000 ※2
 (貸)未払金 1,760,000 ※3

※2 2,400,000円+2,400,000円×10%=2,640,000円

※3 1,600,000円+1,600,000円×10%=1,760,000円

※4 (2,400,000円+1,600,000円)×10%=400,000円

 研究開発費・消費税に関する問題です。

 本問は、取引を【商品の購入に関する仕訳】と【研究開発用の備品の購入に関する仕訳】に分けて考えましょう。

 商品2,400,000円を月末払いの条件で購入しているので、仕入買掛金で処理します。

 また、問題文に「消費税の税率は10%であり、取引は税抜方式により記帳する」とあるので、消費税240,000円(=2,400,000円×10%)は仮払消費税で処理します。

  • 消費税の処理方法
    • 税抜方式:仮払消費税・仮受消費税で処理する(本問)
    • 税込方式:仕入や研究開発費などの購入原価に含めて処理する
解答①:商品の購入に関する仕訳
(借)仕入 2,400,000
(借)仮払消費税 240,000 ※5
 (貸)買掛金 2,640,000 ※6

※5 2,400,000円×10%=240,000円

※6 2,400,000円+240,000円=2,640,000円(貸借差額)

 研究開発目的で支出したコストは、すべて研究開発費で処理します。

 例えば…研究開発部門の人件費や、研究や実験で使う備品・機械・材料・消耗品などの購入代金もすべて研究開発費として費用処理します。

 本問は、問題文に「研究開発のために使用する情報機器備品 ¥ 1,600,000 」とあるので、購入代金の全額を研究開発費未払金で処理します。うっかり備品で処理しないように気をつけてください。

 また、消費税は税抜方式で記帳しているので、消費税160,000円(=1,600,000円×10%)は商品と同様に仮払消費税で処理します。

解答②:研究開発用の備品の購入に関する仕訳
(借)研究開発費 1,600,000
(借)仮払消費税 160,000 ※7
 (貸)未払金 1,760,000 ※8

※7 1,600,000円×10%=160,000円

※8 1,600,000円+160,000円=1,760,000円(貸借差額)

 以上、①②の仕訳をまとめると解答仕訳になります。

参考:税込方式による場合の仕訳

 参考までに、税込方式による場合の仕訳も確認しておきましょう。消費税相当額は仮払消費税ではなく仕入・研究開発費に含めて処理します。

参考:税込方式による場合の仕訳
(借)仕入 2,640,000 ※9
 (貸)買掛金 2,640,000
(借)研究開発費 1,760,000 ※10
 (貸)未払金 1,760,000

※9 2,400,000円+2,400,000円×10%=2,640,000円

※10 1,600,000円+1,600,000円×10%=1,760,000円

問3 外貨建取引

重要度:★★★ 難度:★☆☆

模範解答
(借)売掛金 30,000 ※11
 (貸)為替差損益 30,000

※11 (@115円-@112円)×10,000ドル=30,000円

 外貨建取引(取引発生後に為替予約)に関する問題です。

 営業取引にかかる各勘定科目の円換算額を計算するさいに使う為替相場は、為替予約を付したタイミングにより異なります。

  • 取引発生に為替予約を付した場合
    • 予約時:換算なし
    • 取引時:予約時の先物為替相場で換算
    • 決算時:予約時の先物為替相場で換算
    • 決済時:予約時の先物為替相場で換算
  • 取引発生と同時に為替予約を付した場合
    • 取引時&予約時:取引時の先物為替相場で換算
    • 決算時:取引時の先物為替相場で換算
    • 決済時:取引時の先物為替相場で換算
  • 取引発生に為替予約を付した場合
    • 取引時:取引時の直物為替相場で換算
    • 予約時:予約時の先物為替相場で換算(※為替差損益が発生)
    • 決算時:予約時の先物為替相場で換算
    • 決済時:予約時の先物為替相場で換算

 本問は、問題文の「先日、米国の得意先に対して商品10,000ドルを掛けで販売し、同日の直物為替相場で記帳処理していたが、本日、同得意先に対する売掛金10,000ドルについて、先物為替相場で為替予約を付した。」から、取引発生に為替予約を付したことが分かります。

 よって、為替予約時には「販売時の直物為替相場で換算した円換算額」と「為替予約時の先物為替相場で換算した円換算額」との差額を為替差損益で処理します。

  • 販売時の直物為替相場で換算した円換算額:@112円×10,000ドル=1,120,000円
  • 為替予約時の先物為替相場で換算した円換算額:@115円×10,000ドル=1,150,000円
  • 為替差損益:1,150,000円-1,120,000円=30,000円(※差益)
解答:為替予約時の仕訳
(借)売掛金 30,000
 (貸)為替差損益 30,000

参考:取引発生から決済までの一連の仕訳

 取引発生に為替予約を付した場合の、取引発生から決済までの一連の仕訳は以下のとおりです。参考までに内容をご確認ください。

参考:取引時の仕訳
(借)売掛金 1,120,000
 (貸)売上 1,120,000
解答:為替予約時の仕訳
(借)売掛金 30,000
 (貸)為替差損益 30,000
参考:決算時の仕訳
仕訳なし
参考:決済の仕訳
(借)現金など 1,150,000
 (貸)売掛金 1,150,000
管理人

外貨建取引の為替予約に関する問題は、為替予約のタイミングが「取引発生」「取引発生と同時」「取引発生」なのかを必ず確認しましょう。

問4 本支店会計

重要度:★★☆ 難度:★☆☆

模範解答
(借)支店 180,000
 (貸)損益 180,000

 本支店会計(損益の振り替え)に関する問題です。

 本問は、支店の当期純利益の振り替えにかかる本店の仕訳が問われています。

 問題文に「本店は支店から「当期純利益 ¥ 180,000 を計上した」との報告を受けた」とあるので、支店は(支店の)損益勘定で計算した当期純利益180,000円を本店勘定に振り替えるとともに、本店は支店の当期純利益180,000円を支店勘定を経由して(本店の)損益勘定に受け入れます

  • 解答仕訳の考え方
    1. 支店で当期純利益が発生したということは、損益勘定が貸方残になっている。
    2. 支店の当期純利益を振り替えるさいに、支店の損益勘定の貸借を一致させるために借方に損益を計上し、その反対側の貸方に本店を計上する。
    3. 支店の当期純利益を受け入れる本店は、支店の処理に対応して借方に支店を計上し、その反対側の借方に損益を計上する。
参考:支店の仕訳
(借)損益 180,000
 (貸)本店 180,000
解答:本店の仕訳
(借)支店 180,000
 (貸)損益 180,000
管理人

本支店会計の損益の振り替えは、本店の損益勘定ではなく総合損益勘定を使うケースもあります。テキストに戻って勘定の流れをご確認ください。

問5 リース取引

重要度:★★★ 難度:★☆☆

模範解答
(借)リース資産 50,000
 (貸)リース債務 50,000 ※12

※12 @100,000円×5年-450,000円=50,000円

 リース取引に関する問題です。

 ファイナンス・リース取引に該当する場合の処理方法は「利子込み法」と「利子抜き法」の2つがありますが、両者はリース契約締結時に計上するリース資産・リース債務の金額が異なります。

  • 利子込み法の計上額:リース料総額
  • 利子抜き法の計上額:見積現金購入価額など

 本問は、問題文に「利子込み法により処理することとしたが、本日(4月10日)、誤って利子抜き法で処理していたことが判明した」とあるので、2つの仕訳を考えたうえで正しい仕訳になるように修正しましょう。

参考:利子込み法によるリース契約時の仕訳(正しい仕訳)
(借)リース資産 500,000 ※13
 (貸)リース債務 500,000

※13 100,000円×5回=500,000円(リース料総額)

参考:利子抜き法によるリース契約時の仕訳(間違っていた仕訳)
(借)リース資産 450,000 ※14
 (貸)リース債務 450,000

※14 問題文の「見積現金購入価額 ¥ 450,000 」より

 上記の2つの仕訳から、リース資産・リース債務ともに500,000円ずつ計上する必要があるにもかかわらず450,000円しか計上していないことが分かるので、リース資産・リース債務ともに50,000円ずつ追加計上して正しい金額に修正します。

解答仕訳
(借)リース資産 50,000
 (貸)リース債務 50,000

 なお、本問の解答は「利子抜き法による仕訳の逆仕訳をしていったんゼロにしたうえで、利子込み法による500,000円を新たに計上する仕訳」も考えられます。こちらは別解としておきますので、参考までに仕訳をご確認ください。

別解
(借)リース債務 450,000
 (貸)リース資産 450,000
(借)リース資産 500,000
 (貸)リース債務 500,000
管理人

仕訳の訂正を問われた場合は、「間違っていた仕訳」と「正しい仕訳」を書いて差分を明らかにしましょう。



簿記2級の仕訳問題に関するQ&A

自分の解答と模範解答の勘定科目の上下が逆になっていました。不正解になりますか?
 仕訳は上下が逆になっていても正解です。

 例えば、問1の模範解答では借方が「建物・構築物・修繕引当金・修繕費」の順番に並んでいますが、これらの勘定科目は上下が入れ替わっても構いません。その他の問題も同様です。
勘定科目の漢字を間違えた場合、部分点はもらえますか?
 部分点はもらえません。

 勘定科目の漢字を間違えた場合は金額があっていても不正解になりますので、ケアレスミスにご注意ください。また、問題に列挙されていない勘定科目を使って解答した場合も不正解になります。
金額にカンマ(コンマ)を付けないと不正解になりますか?
 不正解にはなりません。

■日商簿記:カンマを付けなくても採点してもらえる
■全経簿記:カンマがないと採点してもらえない(※不正解扱い)

 ただ、実務においてカンマを付けるのは当たり前のことですし、省略したからといって解答時間の短縮にはなりません。むしろ、見直しの時に見にくいだけです。

 このようにカンマを付けないデメリットはあってもメリットはありませんので、金額には必ずカンマを付けましょう。
管理人さんの仕訳問題の解き方を教えてください。
 私はまず、問題に列挙されている勘定科目群に線を入れて「資産」「負債」「純資産」「収益」「費用」「その他」などに分けて見やすくします。

 そのさいに気になる勘定科目があったらマルで囲んで目立たせておきます。

 次に、問題文を読んで解答のカギになりそうなところにアンダーラインを引きます。問1なら「工事完成前に全額支払い済み」、問2なら「研究開発」「税抜方式」、問3なら「先物為替相場で為替予約を付した」、問4なら「本店側の仕訳」、問5なら「利子込み法」「利子抜き法」などです。

 このような準備をしたうえで解答仕訳を考えますが、答案用紙に勘定科目を書くさいには、問題に列挙されている勘定科目を毎回必ずチェックして打ち消し線を引くことを徹底しましょう。

 ひと手間を加えるだけで「指定されていない勘定科目で解答してしまう」という非常にもったいないケアレスミスをなくすことができます。

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