簿記3級・簿記2級の試験制度が大きく変わります。
9月10日の発表内容
9月18日の発表内容
11月20日の発表内容
11月28日の発表内容
11月30日の発表内容
12月02日の発表内容
12月10日の発表内容
日商簿記のネット試験とは?
受験料はどうなるの?
試験範囲はどうなるの?
試験時間はどうなるの?
問題形式はどうなるの?
試験の難度はどうなるの?
合格の価値はどうなるの?
簿記1級はどうなるの?
まとめ
簿記3級・簿記2級の試験制度が大きく変わります。

2020年9月10日、日本商工会議所が日商簿記3級・2級の試験制度を変更する旨の発表しました。また、2020年9月18日・11月20日・11月28日・11月30日・12月2日に追加の発表がありました。
日商簿記3級・2級は、2020年12月より従来の「統一試験方式(年3回)」と「ネット試験方式(随時)」のハイブリッド方式になります。
2020年11月まで | 2020年12月以降 |
---|---|
統一試験のみ | 統一試験 |
ネット試験 |
2020年11月まで | 2020年12月以降 |
---|---|
統一試験のみ |
9月10日の発表内容
- 2020年12月からネット試験を導入すること
- 受験料は統一試験もネット試験も同額になること
9月18日の発表内容
- ネット試験は全国100か所に設置されたテストセンターで実施されること
- 受験・採点・合否判定・デジタル合格証の交付はすべて現地のパソコン上で行われること
- 申し込みは全国統一申込サイトで行われること
- 受験料はクレジットカード決済またはコンビニ決済で支払うこと
- 試験会場に設置されたパソコンを使って解答すること
- 受験時に配られる計算用紙は終了後に回収されること
- ネット試験は各テストセンターが定める日時に随時実施されること
- 3級の試験時間は120分→60分に変更されること
- 2級の試験時間は120分→90分に変更されること
- 出題区分表(=出題範囲)に変更はないこと
- 出題形式は若干変更されること
- 後日、サンプル問題が公表されること
- 2020年11月・2021年2月の統一試験は今まで通りのルールで実施されること
- 2021年6月以降の統一試験はネット試験と同様の試験時間・出題範囲・出題形式になること
11月20日の発表内容
- 2020年11月に行われた統一試験に申し込めなかった人を対象とする「先行受付」を開始すること
- 先行受付の期間は2020年11月24日(火)11時から2020年11月26日(木)17時までであること
- 3級の施行開始日が12月14日(月)に決まったこと
- 2級の施行開始日が12月21日(月)に決まったこと
- 12月28日から1月4日までは受験できないこと
- テストセンターは予約時に予約可能一覧の中から自由に選ぶことができること
- 2020年11月に行われた統一試験を受験した人は「通常受付(詳細は後日発表)」で申し込む形になること
11月28日の発表内容
- 教育機関が新試験の予想問題を作成したこと
教育機関が公表した日商簿記検定試験 新試験の予想問題について(11月28日発表)
11月30日の発表内容
- 誰でも申し込むことができる「通常受付」を開始したこと
日商簿記検定試験ネット試験の通常受付を開始しました(11月30日発表)
12月2日の発表内容
- 企業ならびに教育機関等を対象とする「団体試験(出前方式)」を導入すること
- 「団体試験(出前方式)」は2021年7月からの施行を予定していること
- 受験料・試験時間・合格基準は統一試験・ネット試験と同様であること
日商簿記検定試験における「団体試験」の導入について(12月2日発表)
12月10日の発表内容
- 2級の問題数が5題以内、3級の問題数が3題以内であること
- カンマは自動的に入力されること
- 仕訳問題では同じ勘定科目を借方・貸方の中で2回以上使用すると不正解になること
- 問題がきちんと表示されない場合はいったん他の大問に移動して再度表示すること
- 計算用紙としてA4の白紙が2枚配られること
- 試験終了後、判定結果が記載されたスコアレポート(紙1枚)が配られること
- 合格者のみ、スコアレポートにデジタル合格証のリンク(QRコード)が記載されること
- 試験に関する情報全般を複製・外部に開示・漏洩してはいけないこと
日商簿記のネット試験とは?

今回導入されるネット試験は、簿記初級・原価計算初級ですでに実施されています。
全国各地に設置されているテストセンター(試験会場)の中から都合のいい日時・場所を選んで申し込み、試験当日は試験監督の指示に従い予め会場に準備されているパソコンを使って受験します。
問題文・問題資料は各パソコンのモニターに映し出される形になるため、統一試験のように自由に書き込むことはできません。慣れるまではかなり解きにくいと思います。
また、統一試験と同様、解答にあたって計算用紙が1枚配られますが、試験終了後に回収・破棄されます。持ち帰ることはできません。
なお、パソコンで解答した内容はその場で自動的に採点されるため、試験当日に結果(得点・合否)を知ることができます。合格者にはデジタル合格証が即日交付されます。

ネット試験といっても自宅で受験できるわけではありません。統一試験と同様に、テストセンター(試験会場)に行って受験する必要があります。
受験料はどうなるの?

ネット試験の受験料は統一試験と同様、3級は2,850円(税込)、2級は4,720円(税込)です。
2020年11月まで | 2020年12月以降 |
---|---|
3級:2,850円 | 同額 |
2級:4,720円 |
試験範囲はどうなるの?
2020年9月18日に公表された資料に「現行出題区分表を適用」と明記されました。試験範囲は現行のままで変更はありません。
なお、2021年度の試験から適用される予定だった「収益認識基準」については、2021年度の出題区分表に反映するものの、実際の出題は2022年度の試験からになるというアナウンスがありました。
試験時間はどうなるの?
2020年9月18日に公表された資料に「3級:60分」「2級:90分」と明記されました。
なお、2020年11月・2021年2月の統一試験については、現行と同じ「3級:120分」「2級:120分」で実施されますが、2021年6月以降の統一試験は、ネット試験と同じ「3級:60分」「2級:60分」になります。
- 第156回日商簿記検定(2020年11月)
- 3級:120分
- 2級:120分
- 第157回日商簿記検定(2021年2月)
- 3級:120分
- 2級:120分
- 第158回日商簿記検定(2021年6月~)
- 3級:60分
- 2級:90分

3級は120分→60分、2級は120分→90分。過去の試験と全く別物になりそうです。過去問対策どうしましょ…。
問題形式はどうなるの?
2020年9月18日に公表された資料に「出題形式は若干の変更を予定。後日、サンプル問題を検定ホームページで公開予定」と明記されました。
試験時間が大きく変わるにもかかわらず、出題形式の変更は「若干」とのことです。この辺は実際に始まってみないと分からないです。
後日、サンプル問題が公表されるとのことですので、公表され次第、概要をご紹介いたします。
追記:TACや大原などの教育機関が予想問題(模擬試験)を無料で公開しています。受験予定の方は事前に内容をご確認ください。

3級は試験時間が現行の半分になるので、出題形式も大きく変わると思います。過去問が出揃うまでは対策が大変そうです…。
試験の難度はどうなるの?
試験の難度について現時点ではなにも公表されていません。
ただ、受験料が同額ということは…ネット試験と統一試験の難度も同じレベルになるように調整されるはずです。

ネット試験と統一試験の難度を同レベルに揃えるのって可能なんでしょうか…やだなやだな~、こわいなこわいな~(淳二ふうに)
合格の価値はどうなるの?
従来の統一試験で合格しても、新たに導入されるネット試験で合格しても、合格の価値に変わりはありません。
たまに、税理士の5科目合格組vs一部免除組と同じような構図で、「年3回の統一試験のほうが随時受けられるネット試験よりも合格の価値が高い」とおっしゃる方もいますが、会計の入門的位置づけである3級・2級の合格の価値に高いも低いもありません。合格は合格です。
履歴書にはどちらも「日商簿記検定●級合格」と書くことができますし、3級・2級の細かい試験方式にこだわる人事担当者はいないので、合格の価値について心配されている方はご安心ください。

試験方式にこだわる必要はありません。1日でも早く合格して先に進み、ビジネス戦闘力を上げるほうがよっぽど価値が高いです!
簿記1級はどうなるの?
日商簿記1級の試験制度に変更はありません。今までどおり年2回(6月の第2日曜日・11月の第3日曜日)に統一試験が実施されます。
2020年10月1日、日本商工会議所から「第157回日商簿記検定(2021年2月に実施予定)にて、簿記1級の試験を追加で実施する」という発表がありました。
2020年度に関しては、第156回(2020年11月)と第157回(2021年2月)で簿記1級の試験が実施されます。なお、2021年度以降に関しては、今まで通り6月・11月の年度2回の実施になる見込みです。

これからずっと年3回の実施になるといいなぁ…(ただの願望)
試験制度の変更のまとめ

現時点で判明している情報は以上です。新たな情報が入り次第、本ページの内容を更新いたします。
出版社や専門学校などの教育機関は新たな対応が必要になるため大変ですが、受験生にとっては「受験する機会が増える」「(ネット試験は)その場で合否がわかる」など、メリットが大きい変更といえるでしょう。
試験範囲の改定がようやくひと段落したと思ったら…次は試験制度の変更となかなか落ち着く暇がありませんが、良い方向に変わると前向きに考えて一緒にがんばりましょう!