仕訳問題
難度:高・中・低
重要度:A・B
×1年8月1日に取得した業務用コピー機(取得原価:¥ 600,000、残存価額:ゼロ、耐用年数:5年、減価償却の計算方法:定額法、記帳方法:間接法)を、×3年5月31日に ¥ 450,000 で売却し、売却代金は月末に受け取ることにした。なお、当社の決算日は3月31日であり、取得年度および売却年度の減価償却費については月割計算による。
勘定科目は、次の中から最も適当と思われるものを選びなさい。 | |||
---|---|---|---|
現金 | 当座預金 | 普通預金 | 売掛金 |
未収入金 | 建物 | 備品 | 減価償却累計額 |
固定資産売却益 | 減価償却費 | 消耗品費 | 固定資産売却損 |
解答仕訳
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | ||
---|---|---|---|---|---|
減価償却費 減価償却累計額 未収入金 |
20,000 200,000 450,000 |
※1 ※2 |
備品 固定資産売却益 |
600,000 70,000 |
※3 |
※1 (600,000円÷60か月)×2か月=20,000円
※2 (600,000円÷60か月)×20か月=200,000円
※3 20,000円+200,000円+450,000円-600,000円=70,000円(貸借差額)
または
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | ||
---|---|---|---|---|---|
減価償却費 減価償却累計額 未収入金 |
20,000 220,000 450,000 |
※4 ※5 |
減価償却累計額 備品 固定資産売却益 |
20,000 600,000 70,000 |
※6 |
※4 (600,000円÷60か月)×2か月=20,000円
※5 (600,000円÷60か月)×22か月=220,000円
※6 220,000円+450,000円-600,000円=70,000円(貸借差額)
解説
固定資産の売却(期中)に関する問題です。
固定資産の売却に関する仕訳は、以下の5ステップで考えると分かりやすいです。
ステップ1(取得原価を貸方に計上する)
問題文の「業務用コピー機」「取得原価:¥ 600,000」から、取得原価600,000円の備品を売却したことが分かるので、備品を貸方に計上します。
ステップ2(当期の減価償却費を計上する)
問題文の「×1年8月1日に取得した業務用コピー機…を、×3年5月31日に ¥ 450,000 で売却」「当社の決算日は3月31日」から、備品を期中に売却したことが分かります。
また、問題文に「取得年度および売却年度の減価償却費については月割計算による」とあるので、当期の4月1日から5月31日までの2か月分の減価償却費を月割りで計算しましょう。
- 当期首から売却日までの期間:2か月(×3年4月1日~×3年5月31日)
- 1年分の減価償却費:600,000円÷5年=120,000円
- 1か月分の減価償却費:120,000円÷12か月=10,000円
- 2か月分の減価償却費:10,000円×2か月=20,000円
(貸)備品 600,000
ステップ3(前期末の減価償却累計額を計算して借方に計上する)
問題文の「×1年8月1日に取得した」から、前期末(×3年3月31日)までに20か月分の減価償却費を計上していたことが分かります。20か月分の金額を月割りで計算して、減価償却累計額を借方に計上しましょう。
- 購入日から前期末までの期間:20か月(×1年8月1日~×3年3月31日)
- 1年分の減価償却費:600,000円÷5年=120,000円
- 1か月分の減価償却費:120,000円÷12か月=10,000円
- 20か月分の減価償却費:10,000円×20か月=200,000円
(借)減価償却累計額 200,000
(貸)備品 600,000
ステップ4(売却代金を借方に計上する)
問題文の「 ¥ 450,000 で売却し、売却代金は月末に受け取ることにした」から、売却代金450,000円を後日受け取ることが分かるので、借方に未収入金を計上します。
(借)減価償却累計額 200,000
(借)未収入金 450,000
(貸)備品 600,000
ステップ5(貸借差額を売却損益で処理する)
最後に、貸借差額を固定資産売却益で処理します。
(借)減価償却累計額 200,000
(借)未収入金 450,000
(貸)備品 600,000
(貸)固定資産売却益 70,000
別解について
本問は、先に当期の減価償却費を計上したうえで、別途、売却に関する仕訳を処理しても正解です。参考までに仕訳をご確認ください。
(貸)減価償却累計額 20,000
(借)未収入金 450,000
(貸)備品 600,000
(貸)固定資産売却益 70,000
以上、①②の仕訳をまとめると別解の仕訳になります。

別解の仕訳は、借方・貸方の減価償却累計額を相殺せずにそのまま計上する形になります。
なお、固定資産を期首に売却する場合の仕訳は、固定資産の売却(期首)で出題しています。本問とあわせてご確認ください。
Q&A
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