仕訳対策教材「重要仕訳TOP100」

簿記2級 重要仕訳TOP100「本支店会計(損益の振り替え)」

仕訳問題

難度:高・・低

重要度:A・B

決算において、本店は支店から「当期純利益 ¥ 720,000 を計上した」との報告を受けた。本店側の仕訳を答えなさい。なお、当社は支店独立会計制度を採用している。

勘定科目は次の中から最も適当なものを選びなさい。
現金 当座預金 普通預金 未収入金
未払金 資本金 資本準備金 利益準備金
繰越利益剰余金 損益 本店 支店

解答仕訳

借方科目 金額 貸方科目 金額
支店 720,000 損益 720,000



解説

本支店会計(損益の振り替え)に関する問題です。

本問は、支店の当期純利益の振り替えにかかる本店の仕訳が問われています。

問題文に「本店は支店から「当期純利益 ¥ 720,000 を計上した」との報告を受けた」とあるので、支店は(支店の)損益勘定で計算した当期純利益720,000円を本店勘定に振り替えるとともに、本店は支店の当期純利益720,000円を支店勘定を経由して(本店の)損益勘定に受け入れます。

解答:本店の仕訳
(借)支店 720,000
 (貸)損益 720,000
参考:支店の仕訳
(借)損益 720,000
 (貸)本店 720,000

参考:本支店会計の決算振替の流れ

上記の説明で理解できる方は、以下の解説を読む必要はありません。うまく理解できない方は、決算振替の流れを順番に確認してみましょう。

ステップ1(収益・費用の振り替え)

本支店会計では、決算振替において本店・支店がそれぞれの諸収益・諸費用を損益勘定に振り替えて当期純利益(または純損失)を計算します。

実際に金額を入れたほうが分かりやすいので、仮に本店の諸収益を500、諸費用を200、支店の諸収益を400、諸費用を300として、本店と支店の仕訳を考えてみましょう。

参考:本店の仕訳
(借)諸収益 500
 (貸)損益 500
(借)損益 200
 (貸)諸費用 200
参考:支店の仕訳
(借)諸収益 400
 (貸)損益 400
(借)損益 300
 (貸)諸費用 300

この時点の本店の損益勘定は300の貸方残、支店の損益勘定は100の貸方残になります。なお、この貸方残は当期純利益の金額と一致します。

本店・支店の当期純利益
  • 本店の当期純利益:500-200=300
  • 支店の当期純利益:400-300=100

ステップ2(支店の純利益の振り替え)

支店は(支店の)損益勘定で計算した当期純利益100を本店勘定に振り替えるとともに、本店は支店の当期純利益100を支店勘定を経由して(本店の)損益勘定に受け入れます。

参考:本店の仕訳
(借)支店 100
 (貸)損益 100
参考:支店の仕訳
(借)損益 100
 (貸)本店 100

この時点の本店の損益勘定は400の貸方残になりますが、これは本店の当期純利益300と支店の当期純利益100を合計した金額と一致します。

ステップ3(会社全体の純利益の振り替え)

本店の損益勘定の貸方残400を繰越利益剰余金勘定に振り替えます。

参考:本店の仕訳
(借)損益 400
 (貸)繰越利益剰余金 400
参考:支店の仕訳
仕訳なし

本問で問われている仕訳は?

本問は、ステップ2本店の仕訳が問われています。

参考:ステップ2の本店の仕訳のひな形
(借)支店 ×××
 (貸)損益 ×××

問題文に「本店は支店から「当期純利益 ¥ 720,000 を計上した」との報告を受けた」とあるので、支店の当期純利益720,000円を支店勘定を経由して(本店の)損益勘定に受け入れます。

解答:本店の仕訳
(借)支店 720,000
 (貸)損益 720,000
田口先生1
田口先生
本支店会計の損益の振り替えは、本店の損益勘定ではなく総合損益勘定を使うケースもあります。

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重要仕訳TOP100 全問リスト

1.商品売買(全11問)
2.債権・債務(全12問)
3.外貨建取引(全4問)
4.有価証券(全9問)
5.固定資産(全22問)
7.社会保険・税金(全8問)
8.純資産(全10問)
9.本支店会計(全3問)
10.その他(全5問)
11.工業簿記(全10問)
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POSTED COMMENT

  1. わたなべ より:

    とても分かりやすくて参考になります!

    支店の仕訳で、当期純利益で得た繰越利益剰余金を本店勘定に変えるということは利益を丸ごと本店にあげちゃうということですか?

    仕訳の方法は理解しましたが、流れがよくわかりません。

    • 田口泰久(管理人) より:

      コメントありがとうございます。

      >> 利益を丸ごと本店にあげちゃうということですか?

      イメージとしてはまさにそんな感じです。
      支店の仕事は支店の損益を計算するところまでで、あとは「最後の集計は本店さんよろしく~」と言って損益を振り替えます。
      本店は「本店の損益」と「支店の損益」を合算して会社全体の損益を算定し、それを繰越利益剰余金に振り替えます。

      もしお手元に本支店会計の総合問題がありましたら、問題資料の残高試算表をご覧ください。
      会社全体の損益を計算する本店にだけ純資産項目(資本金や繰越利益剰余金など)が記載されているはずです。

      勉強がんばってくださいね!

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