仕訳問題
難度:高・中・低
重要度:A・B
×1年6月28日に行われた浅田スモーク株式会社(決算日:3月31日・年1回)の株主総会で、繰越利益剰余金 ¥ 5,500,000 を以下のとおりに処分することが承認された。
- 株主配当金:1株につき ¥ 1,000
- 利益準備金:会社法の定める金額
- 新築積立金:¥ 2,000,000
なお、株主総会時点の同社の資本金は ¥ 10,000,000、資本準備金は ¥ 1,400,000、利益準備金は ¥ 700,000 であり、発行済株式数は3,000株である。
勘定科目は、次の中から最も適当と思われるものを選びなさい。 | |||
---|---|---|---|
現金 | 当座預金 | 普通預金 | 未払配当金 |
資本金 | 資本準備金 | 利益準備金 | 修繕積立金 |
新築積立金 | 繰越利益剰余金 | 受取配当金 | 損益 |
解答仕訳
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | ||
---|---|---|---|---|---|
繰越利益剰余金 | 5,300,000 | ※3 | 未払配当金 利益準備金 新築積立金 |
3,000,000 300,000 2,000,000 |
※1 ※2 |
※1 @1,000円×3,000株=3,000,000円
※2 3,000,000円÷10=300,000円
※3 3,000,000円+300,000円+2,000,000円=5,300,000円(貸借差額)
解説
利益処分(10分の1規定)に関する問題です。
本問は、取引を【配当に関する取引】と【新築積立金に関する取引】に分けて考えましょう。
配当に関する取引
問題文の「株主総会で、繰越利益剰余金 ¥ 5,500,000 を以下のとおりに処分することが承認された」「株主配当金:1株につき ¥ 1,000 」から、繰越利益剰余金の一部を配当することが分かります。
配当にあたっては、会社法の規定(第445条の4項など)に従って一定額を準備金として積み立てる必要があります。
- 原則として配当額の10分の1を準備金として積み立てなければならない(10分の1規定)
- ただし、資本準備金と利益準備金の合計額が資本金の4分の1に達した場合は、それ以上積み立てる必要はない(4分の1規定)
よって、「配当額の10分の1(10分の1規定の金額)」または「資本金の4分の1から資本準備金と利益準備金の合計額を差し引いた残額(4分の1規定の金額)」のうち、どちらか小さいほうの金額だけ準備金を積み立てることになります。
- 配当額:@1,000円×3,000株=3,000,000円
- 10分の1規定の金額:3,000,000円÷10=300,000円
- 4分の1規定の金額:10,000,000円÷4-(1,400,000円+700,000円)=400,000円
- 準備金要積立額:300,000円<400,000円 → 300,000円
なお、配当にあたって積み立てる準備金は「配当の原資」によって異なります。本問は繰越利益剰余金を配当の原資としているので、利益準備金を積み立てます。
- 配当の原資が繰越利益剰余金:利益準備金を積み立てる(本問)
- 配当の原資がその他資本剰余金:資本準備金を積み立てる
- 配当の原資が繰越利益剰余金とその他資本剰余金:利益準備金と資本準備金を積み立てる
(貸)未払配当金 3,000,000
(貸)利益準備金 300,000
新築積立金に関する取引
繰越利益剰余金を新築積立金に振り替えるだけです。
(貸)新築積立金 2,000,000
以上、①②の仕訳をまとめると解答仕訳になります。

4分の1規定の金額を準備金要積立額とする仕訳は、利益処分(4分の1規定)で出題しています。本問とあわせてご確認ください。
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