仕訳問題
難度:高・中・低
重要度:A・B
備品の減価償却費は概算額(1か月あたり ¥ 3,900 )をもって、4月から2月までの11か月間にわたって毎月見積り計上しているため、決算において年間確定額との差額を調整する。なお、決算整理前残高試算表の備品減価償却累計額の金額は ¥ 122,900 である。
- 取得原価:¥ 200,000
- 残存価額:ゼロ
- 耐用年数:5年
- 償却方法:200%定率法
- 記帳方法:間接法
- 決算日:3月31日(会計期間は1年)
勘定科目は、次の中から最も適当と思われるものを選びなさい。 | |||
---|---|---|---|
現金 | 当座預金 | 普通預金 | 未収入金 |
仮払金 | 備品 | 備品減価償却累計額 | 未払金 |
仮受金 | 固定資産売却益 | 減価償却費 | 固定資産売却損 |
解答仕訳
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | ||
---|---|---|---|---|---|
減価償却費 | 5,100 | ※1 | 備品減価償却累計額 | 5,100 |
※1 {200,000円-(122,900円-@3,900円×11か月)}×40%-@3,900円×11か月=5,100円
解説
固定資産の減価償却(月割償却①)に関する問題です。
本問はまず、問題文の「備品の減価償却費は概算額(1か月あたり ¥ 3,900 )をもって、4月から2月までの11か月間にわたって毎月見積り計上している」から、毎月、以下のような仕訳を計上していたことが分かります。
(貸)備品減価償却累計額 3,900
よって、決算整理前残高試算表の備品減価償却累計額の金額(122,900円)の中には11か月分の減価償却費が含まれていることになるため、年間確定額の算定にあたってこれを差し引きます。
なお、本問は備品の償却率が与えられていませんが、「耐用年数:5年」「償却方法:200%定率法」から、40%(=1÷5年×200%)と判断して処理します。
- 11か月分の減価償却費:@3,900円×11か月=42,900円
- 期首時点の減価償却累計額:122,900円-42,900円=80,000円
- 年間確定額:(200,000円-80,000円)×40%=48,000円
年間確定額(当期の減価償却費として計上すべき金額)を計算したら、11か月分の概算額合計との差額を計算しましょう。
- 年間確定額:48,000円
- 概算額合計:@3,900円×11か月=42,900円
- 調整額:48,000円-42,900円=5,100円
計算の結果、11か月分の概算額合計よりも年間確定額のほうが5,100円多いことが分かるので、決算において減価償却費5,100円を追加計上します。
(貸)備品減価償却累計額 5,100

年間確定額よりも11か月分の概算額合計のほうが多いケースの仕訳は、固定資産の減価償却(月割償却②)で出題しています。本問とあわせてご確認ください。
Q&A
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本問は2年目の減価償却ということでよろしいでしょうか?前年からの繰り越しがあるということは、1年目でないことはわかりましたが、3年目でなく2年目であるということがどこからわかるのかを教えてください。(おおさこさん) |
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問題資料で与えられている取得原価・償却方法・償却率(※各自で算定)を使って各年の減価償却費を計算しましょう。 償却率:1÷5×200%=40% 1年目の減価償却費:200,000円×40%=80,000円 2年目の減価償却費:(200,000円-80,000円)×40%=48,000円 3年目の減価償却費:(200,000円-80,000円-48,000円)×40%=28,800円 また、解説にも書きましたが「決算整理前残高試算表の備品減価償却累計額」から「(期中に計上した)11か月分の減価償却費」を差し引くことにより、「当期首時点の備品減価償却累計額」を計算することができますよね。 決算整理前残高試算表の備品減価償却累計額:122,900円 11か月分の減価償却費:3,900円×11か月=42,900円 当期首時点の備品減価償却累計額:122,900円-42,900円=80,000円 上記の2つの計算結果から、「1年目の減価償却費」と「当期首時点の備品減価償却累計額」の金額が一致するため、本問は取得から2年目の処理が問われていると判断することができます。 |
回答日:2020年7月8日 |
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