仕訳対策教材「重要仕訳TOP100」

簿記2級 重要仕訳TOP100「固定資産の滅失(未決算の計上①)」

仕訳問題

難度:高・・低

重要度:A・B

綾辻商店は、火災により店舗(取得原価:¥ 6,000,000、焼失時の減価償却累計額:¥ 3,000,000、記帳方法:間接法)および店舗にて保管していた商品(購入代価:¥ 1,400,000、付随費用:¥ 100,000、売価:¥ 2,000,000、記帳方法:三分法)を焼失したが、これらの資産については保険金額 ¥ 5,000,000 の火災保険に加入していたので、ただちに保険会社に保険金の支払いを請求した。

勘定科目は次の中から最も適当なものを選びなさい。
現金 当座預金 普通預金 未収入金
建物 建物減価償却累計額 保険差益 仕入
減価償却費 保険料 火災損失 火災未決算

解答仕訳

借方科目 金額 貸方科目 金額
建物減価償却累計額 3,000,000 建物 6,000,000
火災未決算 4,500,000 ※2 仕入 1,500,000 ※1

※1 1,400,000円+100,000円=1,500,000円
※2 6,000,000円+1,500,000円-3,000,000円=4,500,000円(貸借差額)




解説

固定資産の滅失(未決算の計上①)に関する問題です。

保険をかけている資産が滅失した場合、帳簿価額を未決算または火災未決算に振り替えます。

本問は、問題文の「火災により店舗および店舗にて保管していた商品を焼失した」から、店舗と商品が滅失したことが分かるので、それぞれの焼失時の帳簿価額を火災未決算に振り替えます。

店舗の焼失に関する仕訳

固定資産の焼失時の帳簿価額は「取得原価-焼失時の減価償却累計額」という計算式で表すことができるので、取得原価(建物)および焼失時の建物減価償却累計額火災未決算に振り替えます。

各金額は、問題文の「取得原価:¥ 6,000,000」「焼失時の減価償却累計額:¥ 3,000,000」からひっぱってきましょう。

解答①:店舗の焼失に関する仕訳
(借)建物減価償却累計額 3,000,000
 (貸)火災未決算 3,000,000
(借)火災未決算 6,000,000
 (貸)建物 6,000,000

商品の焼失に関する仕訳

焼失した商品の仕入原価を火災未決算に振り替えます。三分法により記帳している場合、仕入原価は仕入勘定に含まれているので、仕入火災未決算に振り替えます。

仕入原価の計算
  • 仕入原価=購入代価+付随費用
  • 仕入原価:1,400,000円+100,000円=1,500,000円

なお、問題文の「売価:¥ 2,000,000」は解答に関係のないダミーデータです。うっかり売価を火災未決算に振り替えないように気をつけましょう。

解答②:商品の焼失に関する仕訳
(借)火災未決算 1,500,000
 (貸)仕入 1,500,000

まとめ

以上、①②の仕訳をまとめると解答仕訳になります…と言いたいところですが、念のため最後に火災未決算の金額と保険金額を比較しましょう。

金額の大小チェック
  • 火災未決算の金額:6,000,000円-3,000,000円+1,500,000円=4,500,000円
  • 保険金額:5,000,000円

仮に保険金額よりも火災未決算の金額のほうが大きい場合、保険金が満額支払われたとしても火災未決算の全額を回収することができません。

つまり、資産が焼失した時点で差額分の損失が確定するため、保守主義の観点から保険金の金額確定を待たずに差額分を火災損失で処理します。

必要な処理
  • 保険金額>火災未決算の金額:追加の処理は不要
  • 保険金額<火災未決算の金額:差額分を火災損失で処理

本問は、火災未決算の金額(4,500,000円)よりも保険金額(5,000,000円)のほうが大きいので、追加の処理は不要です。

田口先生1
田口先生
「保険金額<未決算の金額」のケースの問題は、過去の本試験でも出題されています。このケースの問題が出題される可能性は高くないですが、念のために金額をチェックするクセを付けておきましょう。
なお、「保険金額<未決算の金額」のケースの仕訳は、固定資産の滅失(未決算の計上②)で出題しています。本問とあわせてご確認ください。

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重要仕訳TOP100 全問リスト

1.商品売買(全11問)
2.債権・債務(全12問)
3.外貨建取引(全4問)
4.有価証券(全9問)
5.固定資産(全22問)
7.社会保険・税金(全8問)
8.純資産(全10問)
9.本支店会計(全3問)
10.その他(全5問)
11.工業簿記(全10問)
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