仕訳問題
難度:高・中・低
重要度:A・B
×1年1月30日に購入した備品(取得原価 ¥ 2,000,000、耐用年数:5年、残存価額:ゼロ、償却方法:定額法、記帳方法:直接法)を、×3年6月30日に ¥ 850,000 で売却し、代金は翌月10日に受け取ることにした。なお、当社の決算日は3月末日(会計期間は1年)であり、購入・売却した年度の減価償却費は月割りで計算すること。
勘定科目は、次の中から最も適当と思われるものを選びなさい。 | |||
---|---|---|---|
現金 | 当座預金 | 普通預金 | 売掛金 |
未収入金 | 備品 | 備品減価償却累計額 | 固定資産売却益 |
支払手数料 | 減価償却費 | 固定資産売却損 | 固定資産圧縮損 |
解答仕訳
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | ||
---|---|---|---|---|---|
減価償却費 未収入金 固定資産売却損 |
100,000 850,000 150,000 |
※2 ※3 |
備品 | 1,100,000 | ※1 |
※1 2,000,000円-2,000,000円×27か月/60か月=1,100,000円
※2 2,000,000円×3か月/60か月=100,000円
※3 1,100,000円-100,000円-850,000円=150,000円(貸借差額)
解説
固定資産の売却(直接法)に関する問題です。
直接法による場合の売却の仕訳は、以下の6ステップで考えると分かりやすいです。なお、ステップ1~5までの処理は間接法による場合の売却の仕訳と全く同じです。
ステップ1(取得原価を貸方に計上する)
問題文の「備品…を…売却し」「取得原価 ¥ 2,000,000」から、取得原価2,000,000円の備品を売却したことが分かるので、貸方に備品を計上します。
ステップ2(当期の減価償却費を計上する)
問題文の「×1年1月30日に購入した備品…を、×3年6月30日に ¥ 850,000 で売却」「当社の決算日は3月末日(会計期間は1年)」から、期中に売却したことが分かります。
また、問題文に「償却方法:定額法」「購入・売却した年度の減価償却費は月割りで計算する」とあるので、当期の4月1日から6月30日までの3か月分の減価償却費を計算して借方に計上します。
- 当期首から売却日までの期間:3か月(×3年4月1日~×3年6月30日)
- 耐用年数:5年(60か月)
- 3か月分の減価償却費:2,000,000円×3か月/60か月=100,000円
(貸)備品 2,000,000
ステップ3(前期末の減価償却累計額を計算して借方に計上する)
問題文の「×1年1月30日に購入した」から、前期末(×3年3月31日)までに27か月分の減価償却費を計上していたことが分かるので、金額を計算して借方に備品減価償却累計額を計上します。
なお、月割りで計算する場合は1日でも使ったら1か月使ったとカウントするため、×1年1月は30日・31日の2日間しか使っていませんが、計算上は1か月とカウントします。
- 購入日から前期末までの期間:27か月(×1年1月~×3年3月)
- 耐用年数:5年(60か月)
- 27か月分の減価償却費:2,000,000円×27か月/60か月=900,000円
(借)備品減価償却累計額 900,000
(貸)備品 2,000,000
ステップ4(売却代金を借方に計上する)
問題文の「×3年6月30日に ¥ 850,000 で売却し、代金は翌月10日に受け取ることにした」から、売却代金850,000円を後日受け取ることが分かるので、借方に未収入金を計上します。
(借)備品減価償却累計額 900,000
(借)未収入金 850,000
(貸)備品 2,000,000
ステップ5(貸借差額を売却損益で処理する)
貸借差額を固定資産売却損で処理します。
固定資産売却損=2,000,000円-100,000円-900,000円-850,000円=150,000円
(借)備品減価償却累計額 900,000
(借)未収入金 850,000
(借)固定資産売却損 150,000
(貸)備品 2,000,000
ステップ6(取得原価と減価償却累計額を相殺する)
最後に「間接法による仕訳」を「直接法による仕訳」に修正するため、貸方に計上した備品と借方に計上した備品減価償却累計額を相殺します。
この結果、貸方の備品は1,100,000円(=2,000,000円-900,000円)になり、借方の備品減価償却累計額は0円になって仕訳から消えます。
(借)備品減価償却累計額 900,000
(借)未収入金 850,000
(借)固定資産売却損 150,000
(貸)備品 2,000,000 1,100,000
(借)未収入金 850,000
(借)固定資産売却損 150,000
(貸)備品 1,100,000

直接法による場合の売却の仕訳は、間接法による場合の売却の仕訳(ステップ1~5)を考えたうえで、最後に取得原価と減価償却累計額を相殺する(ステップ6)と分かりやすいです。
なお、間接法による場合の売却の仕訳は、固定資産の売却(間接法)で出題しています。本問とあわせてご確認ください。
Q&A
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