仕訳問題
難度:高・中・低
重要度:A・B
前期中に @¥ 1,200 で購入し、前期末決算で @¥ 1,000 に評価替え(切放方式を適用)していた売買目的有価証券2,000株を @¥ 1,100 で売却し、売買手数料 ¥ 11,000 が差し引かれた残額が当座預金口座に振り込まれた。なお、売買手数料は有価証券売却益または売却損に加減して処理すること。
勘定科目は、次の中から最も適当と思われるものを選びなさい。 | |||
---|---|---|---|
現金 | 当座預金 | 普通預金 | 売買目的有価証券 |
満期保有目的債券 | 受取手数料 | 有価証券利息 | 有価証券売却益 |
有価証券評価益 | 支払手数料 | 有価証券売却損 | 有価証券評価損 |
解答仕訳
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | ||
---|---|---|---|---|---|
当座預金 | 2,189,000 | ※1 | 売買目的有価証券 有価証券売却益 |
2,000,000 189,000 |
※2 ※3 |
※1 @1,100円×2,000株-11,000円=2,189,000円
※2 @1,000円×2,000株=2,000,000円
※3 (@1,100円-@1,000円)×2,000株-11,000円=189,000円
解説
有価証券の売却(売買手数料)に関する問題です。
本問はまず、問題文の「前期中に @¥ 1,200 で購入し、前期末決算で @¥ 1,000 に評価替え(切放方式を適用)していた売買目的有価証券2,000株」から、前期の購入時・決算時の仕訳を考えてみましょう。
取得原価=@1,200円×2,000株=2,400,000円
(貸)現金など 2,400,000
前期末の時価=@1,000円×2,000株=2,000,000円
評価損益=2,400,000円-2,000,000円=400,000円
(貸)売買目的有価証券 400,000
上記の仕訳を踏まえたうえで、本問で問われている売却時の仕訳を考えます。
有価証券を売却した場合、帳簿価額と売却価額との差額を売却損益で処理しますが、問題文の「切放方式を適用」から、再振替仕訳が行われていないことが分かるため、前期末の時価(2,000,000円)がそのまま売却時の帳簿価額になります。
また、問題文に「売買手数料は有価証券売却益または売却損に加減して処理する」とあるので、売買手数料は売却損益に含めて処理します。うっかり支払手数料で処理しないように気をつけましょう。
- 帳簿価額:2,000,000円(前期末の時価)
- 売却価額:@1,100円×2,000株=2,200,000円
- 売却損益:2,200,000円-2,000,000円=200,000円(売却益)
売買手数料考慮後の有価証券売却益=200,000円-11,000円=189,000円
(貸)売買目的有価証券 2,000,000
(貸)有価証券売却益 189,000
参考1:洗替方式を適用していた場合の仕訳
売却時の帳簿価額は前期末の時価(2,000,000円)ではなく、取得原価(2,400,000円)になります。参考までに仕訳をご確認ください。
- 帳簿価額:2,400,000円(取得原価)
- 売却価額:@1,100円×2,000株=2,200,000円
- 売却損益:2,400,000円-2,200,000円=200,000円(売却損)
売買手数料考慮後の有価証券売却損=200,000円+11,000円=211,000円
(借)有価証券売却損 211,000
(貸)売買目的有価証券 2,400,000
参考2:売買手数料を売却損益に含めずに独立した科目で処理する場合の仕訳
売買手数料は支払手数料で処理します。参考までに仕訳をご確認ください。
(借)支払手数料 11,000
(貸)売買目的有価証券 2,000,000
(貸)有価証券売却益 200,000

本問は「売却時の帳簿価額の算定(切放方式と洗替方式)」と「売買手数料の処理(売却損益に含める・含めない)」の2点がポイントです。
Q&A
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