仕訳問題(類題)
重要度:★★☆ 難度:★★★
×2年4月1日に、ファイナンス・リース取引に該当する情報機器のリース契約(契約期間:4年、見積現金購入価額:¥ 1,200,000、リース料:月額 ¥ 30,000 を毎月末に支払う)を結び、利子込み法により会計処理してきたが、×5年3月31日でこのリース契約を解約して×5年4月以後の未払リース料の残額のすべてを当座預金から支払い、同時にこの情報機器(※×5年3月31日までの減価償却費は直接法により計上済み)を貸手に無償で返却し除却の処理を行った。
勘定科目は、次の中から最も適当と思われるものを選びなさい。 | |||
---|---|---|---|
現金 | 当座預金 | 普通預金 | リース資産 |
減価償却累計額 | リース債務 | 未払リース料 | 固定資産売却益 |
減価償却費 | 支払利息 | 固定資産除却損 | 固定資産売却損 |
解答仕訳
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | ||
---|---|---|---|---|---|
リース債務 固定資産除却損 |
360,000 360,000 |
※1 ※2 |
当座預金 リース資産 |
360,000 360,000 |
※1 @30,000円×12か月=360,000円 または 1,440,000円-1,080,000円=360,000円
※2 1,440,000円-1,080,000円=360,000円
解説
リース取引に関する問題です。
本問はまず、問題文の「×2年4月1日に、ファイナンス・リース取引に該当する情報機器のリース契約(契約期間:4年、見積現金購入価額:¥ 1,200,000、リース料:月額 ¥ 30,000 を毎月末に支払う)を結び、利子込み法により会計処理してきた」から、契約時に以下のような仕訳をしたことが分かります。
(貸)リース債務 1,440,000
※1 @30,000円×48か月=1,440,000円
利子込み法による場合はリース料総額が取得原価になるため、毎月の支払額30,000円にリース期間4年(48か月)を乗じてリース資産の取得原価を計算しましょう。
- 利子込み法による場合の取得原価:リース料総額(本問)
- 利子抜き法による場合の取得原価:見積現金購入価額
また、問題文に「×5年3月31日でこのリース契約を解約して×5年4月以後の未払リース料の残額のすべてを当座預金から支払い」とあるので、まずは×2年4月分から×5年3月分までの36か月分のリース料支払時の仕訳を考えましょう。
(貸)現金など 1,080,000
※2 @30,000円×36か月=1,080,000円
上記の仕訳の結果、解約時のリース債務の貸方残の金額(=リース料の未払分)が分かるので、未払分の支払いにあたってリース債務の減少および当座預金の減少として処理します。
リース料の未払分:要支払額1,440,000円-既支払額1,080,000円=360,000円
なお、リース料の未払分については、毎月の支払額30,000円に残りの契約期間(×5年4月1日から×6年3月31日までの1年間)を乗じて計算することもできます。
リース料の未払分:@30,000円×12か月=360,000円
(貸)当座預金 360,000
さらに、問題文の「この情報機器(※×5年3月31日までの減価償却費は直接法により計上済み)を貸手に無償で返却し除却の処理を行った」から、リース資産を除却したことが分かります。
まずは、×2年4月分から×5年3月分までの36か月分の減価償却の仕訳を考えましょう。
なお、本問は減価償却の記帳方法として直接法を採用しているので、貸方の勘定科目は減価償却累計額ではなくリース資産になります。
(貸)リース資産 1,080,000
※3 1,440,000円×36か月/48か月=1,080,000円
上記の仕訳の結果、リース資産の除却時の帳簿価額(=取得原価-減価償却累計額)が分かるので、除却にあたってリース資産を固定資産除却損に振り替えます。
リース資産の除却時の帳簿価額:1,440,000円-1,080,000円=360,000円
(貸)リース資産 360,000
以上、①②をまとめると解答仕訳になります。
リース取引に関する問題は、第147回の問4や第149回の問5でも出題されています。あわせてご確認ください。

本問は、某予備校の先生がWEB解説で「実務ではこんな処理しねーよ」と発言したことを受けて、作問者が【出題の意図】で「実務をあまり理解されていない指導者がいる…」と反論した有名な問題です。