仕訳問題(類題)
重要度:★★☆ 難度:★☆☆
取引先田口商事が倒産し、同社に対する貸付金 ¥ 1,500,000 が回収不能になった。同社に対する貸付金のうち、¥ 500,000 は前期に貸し付けたものであり、残額は当期中に追加で貸し付けたものである。なお、貸倒引当金の残高は ¥ 600,000 である。
勘定科目は、次の中から最も適当と思われるものを選びなさい。 | |||
---|---|---|---|
現金 | 当座預金 | 普通預金 | 不渡手形 |
売掛金 | 貸付金 | 未収入金 | 買掛金 |
借入金 | 貸倒引当金 | 支払利息 | 貸倒損失 |
解答仕訳
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | ||
---|---|---|---|---|---|
貸倒引当金 貸倒損失 |
500,000 1,000,000 |
※1 |
貸付金 | 1,500,000 |
※1 1,500,000円-500,000円=1,000,000円(貸借差額)
解説
債権の貸倒れに関する問題です。
本問は、取引を【前期に計上した貸付金の貸倒れに関する取引】と【当期に発生した貸付金の貸倒れに関する取引】に分けて考えましょう。
前期に計上した貸付金の貸倒れに関する取引
前期の貸し付けにより計上した貸付金は、前期末において貸倒引当金の設定額を計算するさいの「金銭債権の金額」に含まれるため、これが貸倒れた場合には貸倒引当金を取り崩して処理します。
貸倒引当金の設定額=金銭債権の金額×貸倒実績率
よって、貸倒れた500,000円は貸倒引当金を取り崩して処理します。
(貸)貸付金 500,000
当期に計上した貸付金の貸倒れに関する取引
当期の貸し付けにより計上した貸付金は、前期末において貸倒引当金の設定額を計算するさいの「金銭債権の金額」に含まれない(=前期末の時点ではそもそも存在していない)ため、これが貸倒れた場合でも貸倒引当金を取り崩すことはできません。
よって、貸倒れた1,000,000円(=1,500,000円-500,000円)の全額を貸倒損失で処理します。うっかり貸倒引当金の残額を取り崩さないように気をつけましょう。
(貸)貸付金 1,000,000
以上、①②の仕訳をまとめると解答仕訳になります。
債権の貸倒れに関する問題は、第128回の問3でも出題されています。あわせてご確認ください。

上述のとおり、前期に発生した金銭債権が貸倒れた場合には貸倒引当金を取り崩して処理しますが、貸倒れた金額が貸倒引当金の残高を超える場合は、超過分を貸倒損失で処理します。本問とあわせて押さえておきましょう。