仕訳問題(類題)
難度:高・中・低
重要度:A・B
×3年7月31日、売買目的で保有している社債(額面総額 ¥ 500,000、利率年0.73%、利払日は3月末の年1回)を額面 ¥ 100 につき ¥ 97.80 の価額(裸相場)で売却し、売却代金は売買日までの端数利息とともに現金で受け取った。なお、この社債は×3年5月1日に額面 ¥ 100 につき ¥ 98.20 の価額(裸相場)で買い入れたものであり、端数利息は1年を365日として日割で計算する。
勘定科目は、次の中から最も適当と思われるものを選びなさい。 | |||
---|---|---|---|
現金 | 当座預金 | 普通預金 | 売買目的有価証券 |
満期保有目的債券 | 関連会社株式 | 子会社株式 | その他有価証券 |
有価証券利息 | 有価証券売却益 | 支払利息 | 有価証券売却損 |
解答仕訳
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | ||
---|---|---|---|---|---|
現金 有価証券売却損 |
490,220 2,000 |
※3 ※4 |
売買目的有価証券 有価証券利息 |
491,000 1,220 |
※1 ※2 |
※1 500,000円×98.20円/100円=491,000円
※2 500,000円×0.73%×122日/365日=1,220円
※3 491,000円+1,220円=492,220円
※4 491,000円-500,000円×97.80円/100円=2,000円
解説
有価証券の売却に関する問題です。
本問は、取引を【利息の受け取りに関する取引】と【有価証券の売却に関する取引】に分けて考えましょう。
利息の受け取りに関する取引
問題文の「×3年7月31日」「利払日は3月末の年1回」「売却代金は売買日までの端数利息とともに現金で受け取った」から、前回の利払日の翌日(4月1日)から売買日(7月31日)までの122日分(30日+31日+30日+31日)の端数利息を計算します。
端数利息=500,000円×0.73%×122日/365日=1,220円
(貸)有価証券利息 1,220
有価証券の売却に関する取引
有価証券を売却した場合、帳簿価額と売却価額との差額を売却損益で処理します。売却価額は、問題文の「額面 ¥ 100 につき ¥ 97.80 の価額(裸相場)」から求めましょう。
- 帳簿価額:500,000円×98.20円/100円=491,000円
- 売却価額:500,000円×97.80円/100円=489,000円
- 売却損益:491,000円-489,000円=2,000円(売却損)
また、問題文に「売買目的で保有している」とあるので、売買目的有価証券と有価証券売却損で処理します。
- 有価証券の購入時に使う勘定科目
- 売買目的:売買目的有価証券
- 満期保有目的:満期保有目的債券
- 影響力行使目的:関連会社株式
- 支配目的:子会社株式
- 上記のいずれにも該当しない(ex.長期保有目的):その他有価証券
(借)有価証券売却損 2,000
(貸)売買目的有価証券 491,000
以上、①②の仕訳をまとめると解答仕訳になります。
参考:買入時の仕訳
問題文の「この社債は×3年5月1日に額面 ¥ 100 につき ¥ 98.20 の価額(裸相場)で買い入れたもの」から、社債の取得原価が分かります。
また、買入時に支払った端数利息は、前回の利払日の翌日(4月1日)から売買日(5月1日)までの31日分(30日+1日)になります。
取得原価=500,000円×98.20円/100円=491,000円
端数利息=500,000円×0.73%×31日/365日=310円
(借)有価証券利息 310
(貸)現金など 491,310
買入時に31日分の利息を支払い、売却時に122日分の利息を受け取ることにより、差し引きで保有期間(5月2日から7月31日までの91日分)に見合った利息を計上することができます。
有価証券の売却に関する問題は、第105回の問2や第107回の問1、第111回の問1、第113回の問2、第116回の問2、第118回の問4、第119回の問3、第121回の問2、第122回の問3、第125回の問2、第133回の問2、第137回の問5でも出題されています。あわせてご確認ください。

端数利息の計算期間は、本問のように「前回の利払日の翌日から売買日まで」が一般的ですが、「前回の利払日の翌日から売買前日まで」というケースもあります。解答時に必ず確認しましょう。