仕訳問題(類題)
重要度:★★☆ 難度:★★☆
平成27年4月1日に ¥ 2,000,000 で取得した車両(耐用年数:5年、償却方法:200%定率法、記帳方法:間接法)を、平成30年8月5日に ¥ 400,000 で売却し、代金は相手先振出の約束手形を受け取った。当社の決算日は3月末日であり、売却した年度の減価償却費は月割りで計算すること。
勘定科目は、次の中から最も適当と思われるものを選びなさい。 | |||
---|---|---|---|
現金 | 当座預金 | 普通預金 | 売掛金 |
営業外受取手形 | 未収入金 | 車両 | 車両減価償却累計額 |
営業外支払手形 | 減価償却費 | 固定資産売却益 | 固定資産売却損 |
解答仕訳
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | ||
---|---|---|---|---|---|
減価償却費 車両減価償却累計額 営業外受取手形 |
72,000 1,568,000 400,000 |
※2 ※1 |
車両 固定資産売却益 |
2,000,000 40,000 |
※3 |
※1 2,000,000円-(2,000,000円×60%×60%×60%)=1,568,000円
※2 (2,000,000円-1,568,000円)×40%×5か月/12か月=72,000円
※3 72,000円+1,568,000円+400,000円-2,000,000円=40,000円(貸借差額)
または
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | ||
---|---|---|---|---|---|
減価償却費 車両減価償却累計額 営業外受取手形 |
72,000 1,640,000 400,000 |
※4 ※5 |
車両減価償却累計額 車両 固定資産売却益 |
72,000 2,000,000 40,000 |
※6 |
※4 (2,000,000円×60%×60%×60%)×40%×5か月/12か月=72,000円
※5 {2,000,000円-(2,000,000円×60%×60%×60%)}+72,000円=1,640,000円
※6 72,000円+1,640,000円+400,000円-72,000円-2,000,000円=40,000円(貸借差額)
解説
固定資産の売却に関する問題です。
本問はまず、当期の減価償却費を計算したうえで、売却時の帳簿価額を求めましょう。次に、売却時の帳簿価額と売却価額との差額を固定資産売却損益で処理しましょう。
- 解答手順
- 当期の減価償却費を計算する
- 売却時の帳簿価額を計算する
- 売却時の帳簿価額と売却価額との差額を売却損益で処理する
1.当期の減価償却費を計算する
問題文の「決算日は3月末日」「平成30年8月5日に…売却」から、当期分の減価償却費は5か月分(平成30年4月1日~平成30年8月5日)であることが分かります。月割りの場合、1日でも使ったら1か月とカウントするので、8月分も忘れずに計上しましょう。
また、問題文の「耐用年数5年」「200%定率法」から、200%定率法を採用していることが分かるので、各自で償却率を計算しましょう。
1÷5年×200%=40%
当期の減価償却費については、定額法による場合、1年あたりの償却費を月割りで按分するだけで簡単に求めることができます。しかし、本問のように200%定率法による場合、1年目から1年ずつ丁寧に計算する必要があります。
- 取得原価:2,000,000円
- 平成27年度の減価償却費:2,000,000円×40%=800,000円
- 平成28年度の減価償却費:(2,000,000円-800,000円)×40%=480,000円
- 平成29年度の減価償却費:(2,000,000円-800,000円-480,000円)×40%=288,000円
- 前期末の減価償却累計額:800,000円+480,000円+288,000円=1,568,000円
- 当期の減価償却費:(2,000,000円-1,568,000円)×40%×5か月/12か月=72,000円
(貸)車両減価償却累計額 30,000
2.売却時の帳簿価額を計算する
売却時の帳簿価額は、以下の計算式で求めましょう。
売却時の帳簿価額=取得原価-(前期末までの減価償却費+当期の減価償却費)
売却時の帳簿価額=取得原価-売却時の減価償却累計額
前期末までの減価償却費と当期の減価償却費は1.ですでに計算済みなので、上記の計算式に当てはめて売却時の帳簿価額を求めましょう。
- 前期末までの減価償却費:1,568,000円
- 当期の減価償却費:72,000円
- 売却時の減価償却累計額:1,568,000円+72,000円=1,640,000円
- 売却時の帳簿価額:2,000,000円-1,640,000円=360,000円
3.売却時の帳簿価額と売却価額との差額を売却損益で処理する
問題文の「平成30年8月5日に ¥ 400,000 で売却」から売却価額が分かるので、2.で求めた売却時の帳簿価額との差額を売却損益で処理しましょう。
- 売却時の帳簿価額:360,000円
- 売却価額:400,000円
- 差額:400,000円-360,000円=40,000円(※売却益)
なお、本問は問題文に「代金は相手先振出の約束手形を受け取った」とあるので、営業外受取手形の増加として処理します。
(借)営業外受取手形 400,000
(貸)車両 2,000,000
(貸)固定資産売却益 40,000
以上、①②をまとめると解答仕訳になります。なお、借方・貸方の車両減価償却累計額はひとつにまとめても、まとめずにそのまま残してもどちらでも正解です。
固定資産の売却に関する問題は、第105回の問5や第113回の問5、第117回の問4、第132回の問4、第144回の問2でも出題されています。あわせてご確認ください。