仕訳問題(類題)
重要度:★★★ 難度:★★☆
取引先の発行済株式の5%を取得価額 ¥ 3,000,000 で保有していたが、追加で40%を取得し(※支配権は獲得していない)、代金 ¥ 28,000,000 を普通預金から支払った。
勘定科目は、次の中から最も適当と思われるものを選びなさい。 | |||
---|---|---|---|
当座預金 | 普通預金 | 有価証券 | 子会社株式 |
支払手数料 | その他有価証券 | 未収入金 | 営業外支払手形 |
未払金 | 現金 | 営業外受取手形 | 関連会社株式 |
解答仕訳
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | ||
---|---|---|---|---|---|
関連会社株式 | 31,000,000 | ※1 | その他有価証券 普通預金 |
3,000,000 28,000,000 |
※1 3,000,000円+28,000,000円=31,000,000円(貸借差額)
解説
有価証券の購入に関する問題です。
本問はまず、問題文の「取引先の発行済株式の5%を取得価額 ¥ 3,000,000 で保有していた」から、以前に以下のような仕訳を切っていたことが分かります。
(貸)現金など 3,000,000
5%を取得した時点では、売買目的でも満期保有目的でも支配目的でもないので、その他有価証券で処理します。「有価証券」や「子会社株式」で処理しないように気をつけましょう。
- 株式の購入時に使う勘定科目
- 売買目的:売買目的有価証券
- 満期保有目的:満期保有目的債券
- 支配目的:子会社株式
- 上記のいずれにも該当しない(ex.長期保有目的):その他有価証券
次に、問題文の「追加で40%を取得し(※支配権は獲得していない)、代金 ¥ 28,000,000 を普通預金から支払った」という処理を考えましょう。
追加で40%取得したことにより、保有割合が45%(=5%+40%)になるので、その他有価証券を関連会社株式に振り替えるとともに、追加購入分28,000,000円を関連会社株式で処理します。
- 所有割合の変遷
- 追加購入前の所有割合:発行済株式の5%
- 追加購入後の所有割合:発行済株式の45%(=5%+40%)
- 所有割合によって使い分ける勘定科目
- 発行済株式の20%以上50%以下を所有:関連会社株式
- 発行済株式の50%超を所有:子会社株式
(貸)その他有価証券 3,000,000
(貸)普通預金 28,000,000
以上、①②の仕訳をまとめると解答仕訳になります。
追加で50%を取得し、支配権を獲得していたら?
追加で50%取得すると保有割合が55%(=5%+50%)になり、取引先を支配下に置くことになるので、その他有価証券を子会社株式に振り替えるとともに、追加購入分を子会社株式で処理します。
- 所有割合の変遷
- 追加購入前の所有割合:発行済株式の5%
- 追加購入後の所有割合:発行済株式の55%(=5%+50%)
- 所有割合によって使い分ける勘定科目
- 発行済株式の20%以上50%以下を所有:関連会社株式
- 発行済株式の50%超を所有:子会社株式
(貸)その他有価証券 3,000,000
(貸)普通預金 *****
有価証券の購入に関する問題は、第102回の問3や第124回の問4、第130回の問1、第140回の問4、第143回の問1、第145回の問3、第149回の問2でも出題されています。あわせてご確認ください。