仕訳問題(類題)
重要度:★★★ 難度:★★☆
沢木耕作株式会社が発行した社債(額面総額:¥ 80,000,000、償還期間:4年、年利率:3.65%、利払日:毎年6月および12月末日)を、満期日に償還されるまで保有する予定で2月4日に額面 @¥ 100 につき ¥ 98 で取得した。代金は端数利息とともに普通預金から証券会社の指定する口座に振り込んだ。なお、端数利息については1年を365日とする日割計算で行うが、購入日当日も含めて計算すること。
勘定科目は、次の中から最も適当と思われるものを選びなさい。 | |||
---|---|---|---|
現金 | 当座預金 | 普通預金 | 売掛金 |
売買目的有価証券 | 立替金 | 満期保有目的債券 | 買掛金 |
未払金 | 有価証券利息 | 有価証券評価益 | 支払利息 |
解答仕訳
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | ||
---|---|---|---|---|---|
満期保有目的債券 有価証券利息 |
78,400,000 280,000 |
※1 ※2 |
普通預金 | 78,680,000 | ※3 |
※1 80,000,000円×@98円/@100円=78,400,000円
※2 80,000,000円×3.65%×35日/365日=280,000円
※3 78,400,000円+280,000円=78,680,000円(貸借差額)
解説
有価証券の購入に関する問題です。
本問は、取引を【有価証券の購入に関する仕訳】と【利息の支払いに関する仕訳】の2つに分けて解答を考えましょう。
有価証券の購入に関する仕訳
社債を購入した場合、購入代価と付随費用(取得に伴い発生した費用)の合計額を取得原価として資産計上しますが、本問は付随費用が発生していないので、購入代価を計算するだけです。
取得原価=購入代価+付随費用=(80,000,000円×@98円/@100円)+0円=78,400,000円
なお、本問は問題文に「満期日に償還されるまで保有する予定」とあるので満期保有目的債券で処理します。
- 短期間で売買する目的で購入:売買目的有価証券で処理
- 満期まで保有する目的で購入:満期保有目的債券で処理
- その他の目的(長期保有など)で購入:その他有価証券で処理
(貸)普通預金 78,400,000
利息の支払いに関する仕訳
問題文に、「年利率:3.65%、利払日:毎年6月および12月末日」とあり、購入日が2月4日なので、1月1日から2月4日までの35日分(31日+4日)の端数利息を計算します。
有価証券利息=80,000,000円×3.65%×35日/365日=280,000円
(貸)普通預金 280,000
以上、①②の仕訳をまとめると解答仕訳になります。
ところで、上記の仕訳について、なぜ購入時に「前回の利払日の翌日から購入日までの端数利息」を支払わなければいけないかはお分かりですか?
社債を購入すると次回の利払日(本問の場合は6月末日)に半年分の利息を受け取ることになりますが、購入時に「前回の利払日の翌日から購入日まで端数利息」を先に支払っておかないと、保有していなかった期間(1月1日から2月4日まで)の分まで余分にもらってしまうことになるからです。
- 購入日(2月4日):前回の利払日の翌日から購入日までの35日分の端数利息を支払う
- 利払日(6月30日):半年分の利息を受け取る
- 「半年分の利息-35日分の利息」で保有期間に見合った有価証券利息が計上される
質問掲示板でもよくお問い合わせいただく論点なので、上記の考え方・処理方法をきちんと押さえておきましょう。
有価証券の購入に関する問題は、第102回の問3や第124回の問4、第130回の問1、第143回の問1、第144回の問5、第145回の問3、第149回の問2でも出題されています。あわせてご確認ください。