仕訳問題(類題)
重要度:★★★ 難度:★☆☆
川島警備株式会社を設立し、定款に定めた発行可能株式総数20,000株のうち、12,000株を1株 ¥ 30,000 で発行し、これらの株式について全額の当座預金への払い込みがあった。この株式に対する払込金額のうち、会社法の定める最低限の金額を資本金に組み入れた。なお、株式発行に伴い発生した諸費用 ¥ 500,000 と、設立に伴い発生した登記費用等 ¥ 400,000 は小切手を振り出して支払った。
勘定科目は、次の中から最も適当と思われるものを選びなさい。 | |||
---|---|---|---|
現金 | 当座預金 | 資本金 | 資本準備金 |
その他資本剰余金 | 繰越利益剰余金 | 利益準備金 | 広告宣伝費 |
支払利息 | 創立費 | 開業費 | 株式交付費 |
解答仕訳
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | ||
---|---|---|---|---|---|
当座預金 創立費 |
360,000,000 900,000 |
※1 ※3 |
資本金 資本準備金 当座預金 |
180,000,000 180,000,000 900,000 |
※2 ※2 |
※1 @30,000円×12,000株=360,000,000円
※2 360,000,000円÷2=180,000,000円
※3 500,000円+400,000円=900,000円
解説
設立時の新株発行に関する問題です。
本問のように「この株式に対する払込金額のうち、会社法の定める最低限の金額を資本金に組み入れた」という指示がある場合は、払込金額総額から資本金組み入れの最低額(=払込金額の二分の一)を差し引いた額を資本準備金として処理します。
実際に計算する場合は、払込金額総額360,000,000円(=12,000株×30,000円/株)を2で割って、それぞれを資本金・資本準備金で処理するだけです。
- 会社法 445条2項:前項の払込み又は給付に係る額の二分の一を超えない額は、資本金として計上しないことができる。
- 会社法 445条3項:前項の規定により資本金として計上しないこととした額は、資本準備金として計上しなければならない。
なお、最低組み入れ額の規定は「できる」規定なので、必ずしも二分の一が強制されるわけではありません。あくまでも、問題文に指示がある場合にのみ適用されるものなので注意してください(指示がない場合は、全額資本金で処理)
また、創立費とは設立登記までに要した費用をいい、発起人への報酬や定款作成にかかる諸費用だけでなく、新株発行にかかる諸費用も含みます。株式交付費で処理しないように気をつけてください。
- 設立時の新株発行にかかる諸費用:創立費で処理する
- 増資時の新株発行にかかる諸費用:株式交付費で処理する
本問は、問題文に「株式発行に伴い発生した諸費用 ¥ 500,000 と、設立に伴い発生した登記費用等 ¥ 400,000 は小切手を振り出して支払った」とあるので、合計額の900,000円を創立費で処理します。
なお、解答仕訳の借方と貸方の当座預金は、別の取引(「株式の払込み」と「創立費の支払い」)で発生したものなので、貸借の金額を相殺して表示することはできません。
新株発行に関する問題は、第114回の問1や第120回の問2、第122回の問1、第127回の問1、第130回の問4、第131回の問4、第133回の問4、第140回の問1、第143回の問3、第146回の問4、第152回の問5でも出題されています。あわせてご確認ください。