仕訳問題(類題)
重要度:★★★ 難度:★★☆
営業用の車両(取得原価 ¥ 1,000,000、減価償却累計額 ¥ 500,000、間接法による)が9月30日の事故により使用不能となった。この車両には ¥ 500,000 の保険が掛けられており、この車両に対して月割りで当期の減価償却費を計上するとともに、保険会社に対して保険金支払いの請求を即刻行った。当社の決算は3月31日であり、当該車両の減価償却は定額法(耐用年数9年、残存価額は取得原価の10%)による。
勘定科目は、次の中から最も適当と思われるものを選びなさい。 | |||
---|---|---|---|
現金 | 当座預金 | 未収入金 | 立替金 |
減価償却費 | 車両 | 未払金 | 前受金 |
仮受金 | 車両減価償却累計額 | 租税公課 | 未決算 |
解答仕訳
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | ||
---|---|---|---|---|---|
減価償却費 車両減価償却累計額 未決算 |
50,000 500,000 450,000 |
※1 ※2 |
車両 | 1,000,000 |
※1 1,000,000円×0.9×6か月/108か月=50,000円
※2 1,000,000円-50,000円-500,000円=450,000円(貸借差額)
または
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | ||
---|---|---|---|---|---|
減価償却費 車両減価償却累計額 未決算 |
50,000 550,000 450,000 |
※3 ※4 ※5 |
車両減価償却累計額 車両 |
50,000 1,000,000 |
※3 1,000,000円×0.9×6か月/108か月=50,000円
※4 50,000円+500,000円=550,000円
※5 50,000円+1,000,000円-50,000円-550,000円=450,000円(貸借差額)
解説
固定資産の滅失に関する問題です。本問は、期中の事故により車両が使用不能になっていますが、問題文に「この車両に対して月割りで当期の減価償却費を計上する」とあるので、まず当期の減価償却費を計算します。
なお、当期の減価償却費は、12か月分ではなく6か月分(4月1日~9月30日)なので間違えないように気をつけてください。
1,000,000円×0.9÷9年=100,000円/年
100,000円/年×6か月/12か月=50,000円
期首の車両減価償却累計額の金額は問題で与えられているので、当期の減価償却費を計算したら取得原価からこれらを差し引いて事故時の帳簿価額を計算します。
取得原価1,000,000円-期首車両減価償却累計額500,000円-当期の減価償却費50,000円=事故時の帳簿価額450,000円
(借)車両減価償却累計額 500,000
(借)未決算 450,000
(貸)車両 1,000,000
なお、上記の仕訳は、「当期の減価償却の処理」と「滅失時の処理」を1本の仕訳にまとめていますが、まとめずに別々に処理しても構いません。その場合、借方と貸方の車両減価償却累計額の金額が変わるので仕訳をご確認ください。
(借)車両減価償却累計額 550,000
(借)未決算 450,000
(貸)車両減価償却累計額 50,000
(貸)車両 1,000,000
固定資産の滅失に関しては、「滅失時(本問の解答仕訳)」または「保険金の受取額確定時」のどちらかの仕訳が問われます。
仕訳のポイントは、「固定資産が滅失したときの帳簿価額を未決算勘定に振り替える」「保険金の受取額が確定したら、未決算勘定との差額を特別損益で処理する」の2点です。
固定資産の滅失に関する問題は、第100回の問3や第108回の問3、第109回の問5、第114回の問4、第122回の問4、第126回の問2、第131回の問1、第138回の問1、第156回の問4でも出題されています。あわせてご確認ください。