仕訳問題(類題)
重要度:★★☆ 難度:★★☆
関口商店(年1回、3月末決算)は、平成20年6月30日に備品を ¥ 3,800,000 で売却し、代金のうち半分を現金で受け取り、残額は翌月10日に受け取ることとした。この備品は、平成19年4月1日に購入(購入代価 ¥ 3,900,000、直接付随費用 ¥ 100,000 )した固定資産であり、残存価額は取得原価の10%、耐用年数は9年、償却方法は定額法、記帳方法は直接法によっている。当期分の減価償却費も月割計算によりあわせて計上すること。
勘定科目は、次の中から最も適当と思われるものを選びなさい。 | |||
---|---|---|---|
現金 | 当座預金 | 普通預金 | 未収入金 |
備品 | 消耗品費 | 固定資産売却益 | 未払金 |
備品減価償却累計額 | 支払利息 | 減価償却費 | 固定資産売却損 |
解答仕訳
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | ||
---|---|---|---|---|---|
減価償却費 現金 未収入金 |
100,000 1,900,000 1,900,000 |
※2 ※3 ※3 |
備品 固定資産売却益 |
3,600,000 300,000 |
※1 ※4 |
※1 4,000,000円-(4,000,000円×0.9÷9年)=3,600,000円
※2 4,000,000円×0.9×3か月/108か月=100,000円
※3 3,800,000円÷2=1,900,000円
※4 100,000円+1,900,000円+1,900,000円-3,600,000円=300,000円(貸借差額)
解説
固定資産の売却に関する問題です。
本問はまず、当期の減価償却費を計算したうえで、売却時の帳簿価額を求めましょう。次に、売却時の帳簿価額と売却価額との差額を固定資産売却損益で処理しましょう。
- 解答手順
- 当期の減価償却費を計算する
- 売却時の帳簿価額を計算する
- 売却時の帳簿価額と売却価額との差額を売却損益で処理する
1.当期の減価償却費を計算する
問題文の「3月末決算」「平成20年6月30日…売却」から、当期分の減価償却費は3か月分(平成20年4月1日~平成20年6月30日)であることが分かります。
- 取得原価:3,900,000円+100,000円=4,000,000円
- 当期の減価償却費:4,000,000円×90%×3か月/108か月=100,000円
(貸)備品 100,000
2.売却時の帳簿価額を計算する
売却時の帳簿価額は、以下の計算式で求めましょう。
売却時の帳簿価額=取得原価-前期末までの減価償却費-当期の減価償却費
問題文の「3月末決算」「平成20年6月30日…売却」「この備品は、平成19年4月1日に購入」から、購入日から前期末までの減価償却費を計算しましょう。
- 購入日から前期末までの期間:12か月(平成19年4月1日~平成20年3月31日)
- 購入日から前期末までの減価償却費:4,000,000円×90%×12か月/108か月=400,000円
取得原価と当期の減価償却費は1.ですでに計算済みなので、上記の計算式に当てはめて売却時の帳簿価額を求めましょう。
売却時の帳簿価額=4,000,000円-400,000円-100,000円=3,500,000円
3.売却時の帳簿価額と売却価額との差額を売却損益で処理する
問題文の「備品を ¥ 3,800,000 で売却」から売却価額が分かるので、2.で求めた売却時の帳簿価額との差額を売却損益で処理しましょう。
- 売却時の帳簿価額:3,500,000円
- 売却価額:3,800,000円
- 差額:3,800,000円-3,500,000円=300,000円(※売却益)
なお、本問は問題文に「代金のうち半分を現金で受け取り、残額は翌月10日に受け取ることとした」とあるので、売却価額3,800,000円の半分ずつを現金および未収入金で処理します。
(借)未収入金 1,900,000
(貸)備品 3,500,000
(貸)固定資産売却益 300,000
以上、①②をまとめると解答仕訳になります。
固定資産の売却に関する問題は、第105回の問5や第117回の問4、第132回の問4、第144回の問2、第151回の問5でも出題されています。あわせてご確認ください。