仕訳問題(類題)
重要度:★★★ 難度:★★★
上杉商店は、火災により倉庫(取得原価 ¥ 5,000,000、焼失時の減価償却累計額 ¥ 2,000,000、記帳方法は間接法)および、保管中の商品(仕入原価 ¥ 1,000,000 )を焼失したが、これらの資産には保険金 ¥ 3,000,000 の火災保険契約を締結していたので、直ちに保険会社へ保険金の請求をした。なお、当社は三分法により商品の売買を記帳している。
勘定科目は、次の中から最も適当と思われるものを選びなさい。 | |||
---|---|---|---|
現金 | 当座預金 | 試用品 | 未収入金 |
未決算 | 建物 | 備品 | 未払金 |
建物減価償却累計額 | 仕入 | 減価償却費 | 火災損失 |
解答仕訳
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | ||
---|---|---|---|---|---|
建物減価償却累計額 未決算 火災損失 |
2,000,000 3,000,000 1,000,000 |
※1 |
建物 仕入 |
5,000,000 1,000,000 |
※1 5,000,000円+1,000,000円-2,000,000円-3,000,000円=1,000,000円(貸借差額)
解説
固定資産の滅失に関する問題です。火災の発生によって建物と商品が焼失した場合、焼失時の建物の帳簿価額(取得原価5,000,000円-減価償却累計額2,000,000円=3,000,000円)と商品の仕入原価(1,000,000円)を未決算勘定に振り替えます。
(借)未決算 4,000,000
(貸)建物 5,000,000
(貸)仕入 1,000,000
ここで、未決算の金額と保険契約締結時の保険金額との差額を考えてみてください。上の仕訳で計上した未決算が4,000,000円なのに対して、契約どおり保険金が満額支払われたとしても手元に戻ってくるお金は3,000,000円です。
つまり、固定資産と商品が焼失した時点で1,000,000円の損失が確定するので、保守主義の観点(費用の認識はなるべく早く、収益の認識はなるべく遅くという考え方)から、保険金の金額確定を待たずに火災損失1,000,000円を計上します。
(貸)未決算 1,000,000
上記の①②をまとめると解答仕訳になります。
固定資産の滅失に関する問題は、第100回の問3や第109回の問5、第114回の問4、第119回の問5、第122回の問4、第126回の問2、第131回の問1、第138回の問1、第156回の問4でも出題されています。あわせてご確認ください。
なお、本問は固定資産だけでなく商品も滅失していますし、しかも滅失時に火災損失を計上する難しい問題なので、後回しにしても構いません。