仕訳問題(類題)
重要度:★★☆ 難度:★★☆
株式会社加藤商会(決算:年1回・1月31日)は、平成14年2月1日に購入した商品陳列用ケース(取得原価 ¥ 400,000 )を平成20年1月31日に除却した。なお、この商品陳列用ケースは直ちに倉庫に保管し、その処分価額を ¥ 50,000 と見積もった。ただし、商品陳列用ケースの耐用年数は8年、残存価額は取得原価の10%、定額法によって償却し、間接法で記帳しているが、当期分の減価償却費の計上もあわせて記入すること。
勘定科目は、次の中から最も適当と思われるものを選びなさい。 | |||
---|---|---|---|
仕入 | 減価償却費 | 未払金 | 貯蔵品 |
繰越商品 | 備品 | 消耗品 | 固定資産除却損 |
未収入金 | 前受金 | 備品減価償却累計額 | 売掛金 |
解答仕訳
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | ||
---|---|---|---|---|---|
備品減価償却累計額 減価償却費 貯蔵品 固定資産除却損 |
225,000 45,000 50,000 80,000 |
※1 ※2 ※3 |
備品 | 400,000 |
※1 400,000円×0.9×5年/8年=225,000円
※2 400,000円×0.9×1年/8年=45,000円
※3 400,000円-225,000円-45,000円-50,000円=80,000円(貸借差額)
または
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | ||
---|---|---|---|---|---|
減価償却費 備品減価償却累計額 貯蔵品 固定資産除却損 |
45,000 270,000 50,000 80,000 |
※4 ※5 ※6 |
備品減価償却累計額 備品 |
45,000 400,000 |
※4 400,000円×0.9×1年/8年=45,000円
※5 400,000円×0.9×6年/8年=270,000円
※6 45,000円+400,000円-45,000円-270,000円-50,000円=80,000円(貸借差額)
解説
固定資産の除却に関する問題です。
固定資産の除却時の帳簿価額を算定したうえで、貯蔵品の評価額との差額を除却損で処理しましょう。
1. 固定資産の除却時の帳簿価額を算定する
除却時の帳簿価額は、前期末時点の帳簿価額から当期の減価償却費を差し引いて求めましょう。なお、前期末時点の帳簿価額は、取得原価から前期末時点の減価償却累計額を差し引いて求めます。
除却時の帳簿価額=前期末時点の帳簿価額-当期の減価償却費
前期末時点の帳簿価額=取得原価-前期末時点の減価償却累計額
まず、問題文の「平成14年2月1日に購入した商品陳列用ケース」から、前期末時点で5年分(平成14年2月1日~平成19年1月31日)の減価償却が行われていることがわかります。
さらに、問題文の「取得原価が ¥ 400,000、耐用年数は8年、残存価額は取得原価の10%、定額法によって償却し、間接法で記帳」から、5年分の減価償却費(=前期末時点の減価償却累計額)を計算することができます。
5年分の減価償却費=400,000円×0.9×5年/8年=225,000円
上記の計算の結果、前期末時点の帳簿価額は175,000円(=400,000円-225,000円)であることが分かります。
(貸)備品 400,000
次に、当期の減価償却費を計算しましょう。問題文の「平成20年1月31日に除却した」から、当期末に除却したことが分かるので、1年分をそのまま当期の減価償却費として計上します(※月割り計算は不要)。
当期の減価償却費=400,000円×0.9×1年/8年=45,000円
以上の計算により、除却時の帳簿価額が130,000円(=175,000円-45,000円)であることが分かります。
(借)減価償却費 45,000
(貸)備品 400,000
2. 貯蔵品の評価額との差額を除却損で処理
除却時の帳簿価額が判明したら、あとは貯蔵品の評価額との差額を除却損で処理するだけです。
固定資産除却損=除却時の帳簿価額-貯蔵品の評価額
問題文の「(貯蔵品の)その処分価額を ¥ 50,000 と見積もった」から、貯蔵品の評価額が分かるので、除却時の帳簿価額との差額80,000円(=130,000円-50,000円)を固定資産除却損で処理します。
(借)減価償却費 45,000
(借)貯蔵品 50,000
(借)固定資産除却損 80,000
(貸)備品 400,000
なお、「当期の減価償却費に関する仕訳」と「除却に関する仕訳」を別々に考えて、2本の仕訳をもって解答とする方法もあります。参考までに以下の別解をご確認ください。
(貸)備品減価償却累計額 45,000
(借)貯蔵品 50,000
(借)固定資産除却損 80,000
(貸)備品 400,000
(貸)備品減価償却累計額 45,000
(借)備品減価償却累計額 270,000
(借)貯蔵品 50,000
(借)固定資産除却損 80,000
(貸)備品 400,000
固定資産の除却に関する問題は、第110回の問5や第111回の問3、第121回の問5、第135回の問3、第147回の問1、第148回の問2でも出題されています。あわせてご確認ください。