簿記でも使える語呂暗記
このページでは日商簿記検定で使える語呂、覚えておいて損はない語呂を厳選してご紹介します。また、語呂とともに「(その語呂の)対象級」を掲載していますので、それぞれの学習状況に応じて必要な語呂を押さえてください。
しーくりくりしー
仕入勘定を使って売上原価を算定する仕訳の語呂です。
語呂は、仕訳の各勘定の頭文字「しー(仕入)」「くり(繰越商品)」「くり(繰越商品)」「しー(仕入)」で構成されています。
「しーくりくりしー」ではなく「しいくりくりしい」「しいれ・くりしょう・くりしょう・しいれ」と言う人もいますが、どれで覚えても構いません。仕訳自体は試算表・精算表作成問題でよく見かけるものなので、自然に覚えている方も多いと思います。
- 決算整理前試算表の繰越商品勘定:期首商品棚卸高(前期末に売れ残った商品の原価)
- 決算整理前試算表の仕入勘定:当期商品仕入高(当期仕入れた商品の原価)
(貸)繰越商品 *****
(貸)仕入 *****
- 決算整理後試算表の繰越商品勘定:期末商品棚卸高(当期末に売れ残った商品の原価)
- 決算整理後試算表の仕入勘定:売上原価(当期販売した商品の原価)
この「しーくりくりしー」の仕訳を切ることによって、当期の売上原価の金額を(仕訳勘定を使って)算定することができます。
浮く牛食う(うくうしくう)
売上原価勘定を使って売上原価を算定する仕訳の語呂です。
語呂は、仕訳の各勘定の頭文字「う(売上原価)」「く(繰越商品)」「う(売上原価)」「し(仕入)」「く(繰越商品)」「う(売上原価)」で構成されています。
売上原価勘定を使って売上原価を算定する仕訳は、日商簿記検定3級では第119回の第3問や第128回の第5問など、何年かに1回ぐらいのペースで忘れた頃に問われますが、この語呂を知っていれば簡単に解答仕訳を導き出すことができます。
- 決算整理前試算表の繰越商品勘定:期首商品棚卸高(前期末に売れ残った商品の原価)
- 決算整理前試算表の仕入勘定:当期商品仕入高(当期仕入れた商品の原価)
(貸)繰越商品 *****
(貸)仕入 *****
(貸)売上原価 *****
- 決算整理後試算表の繰越商品勘定:期末商品棚卸高(当期末に売れ残った商品の原価)
- 決算整理後試算表の売上原価勘定:売上原価(当期販売した商品の原価)
この「浮く牛食う」の仕訳を切ることによって、当期の売上原価の金額を(売上原価勘定を使って)算定することができます。上述の「しーくりくりしー」とセットで押さえておきましょう。
ひじき、倉庫豹変よ(ひじき、そうこひょうへんよ)
日商簿記検定2級・工業簿記の標準原価計算の「製造間接費の差異分析」の問題を解くさいに使うシュラッター図に関する語呂です。食べ物のひじきが、倉庫の上で豹変している姿をイメージすると覚えやすい…かもしれません。
(公式法変動予算の)シュラッター図の下書きはどの問題でも必ずこの形になるので、「ひじき、そうこひょうへんよ」という語呂と下の画像をセットで覚えてください(仮に標準操業度が実際操業度よりも大きくても、左に標準操業度・右に実際操業度という位置関係は変わりません)。
製造間接費の差異分析は、シュラッター図を書いて各金額を機械的に当てはめていくだけの作業です。出題されたらボーナス問題になる可能性が高いので、必ず解き方をマスターしておきましょう。

全直末首(直接原価計算の固定費調整に関する語呂)
日商簿記検定2級・工業簿記の直接原価計算の固定費調整に関する語呂で、全直末首(ぜんちょくまっしゅ)と読みます。
- 全-直=末-首
- 全部原価計算の営業利益-直接原価計算の営業利益=期末仕掛品・製品に含まれる固定製造原価の金額-期首仕掛品・製品に含まれる固定製造原価の金額
または
- 全=直+末-首
- 全部原価計算の営業利益=直接原価計算の営業利益+期末仕掛品・製品に含まれる固定製造原価の金額-期首仕掛品・製品に含まれる固定製造原価の金額
どちらか分かりやすいほうの式を押さえておきましょう。個人的には、プラスとマイナスの符号が混合している下の式よりも、マイナスの符号しか出てこない上の式をおすすめします。
現受売有商(げんじゅばいゆうしょう)
貸借対照表の流動資産の表示順に関する語呂です。
いきなりですが、1級受験生の皆さんは貸借対照表の【有価証券】【繰越商品】【現金】【受取手形】【売掛金】の5つの表示順を正しく答えられますか?
答えは上から【現金】【受取手形】【売掛金】【有価証券】【繰越商品】の順番です。
- 現金
- 受取手形
- 売掛金
- 有価証券
- 繰越商品
流動資産の部は、基本的には「現金化しやすいもの」を上から順番に並べていきますが、毎回毎回考えるのも大変なので、頻出の5つの勘定科目に関しては語呂で覚えてしまいましょう。
支買短一年未未未(しばいたんいちねんみみみ)
貸借対照表の流動負債の表示順に関する語呂です。
1級受験生の皆さんは貸借対照表の【未払法人税等】【買掛金】【未払金】【支払手形】【未払費用】【一年内償還社債】【短期借入金】の表示順を正しく答えられますか?
答えは上から【支払手形】【買掛金】【短期借入金】【一年内償還社債】【未払金】【未払費用】【未払法人税等】の順番です。
- 支払手形
- 買掛金
- 短期借入金(※長期借入金は固定負債)
- 一年内償還社債(※1年以内に償還されない分は固定負債)
- 未払金
- 未払費用
- 未払法人税等
「未払~」の中にも順番があるのをご存知でしたか?流動資産と同様に覚えておいて損はない語呂なので、この機会に覚えてしまいましょう。
指受宛払(さしうけあてばらい)
為替手形の権利関係をまとめた語呂です。
為替手形の問題はいろんな人が登場するので、慣れないうちは「あれ?誰が手形代金を受け取って、誰が手形代金を支払うんだっけ?」と迷ってしまうことがあると思いますが、その時はこの語呂を思い出してください。
【さしうけ】が【指図人→受取人】ということを表し、【あてばらい】が【名宛人→支払人】を表します。
【例題】A商店は、仕入先B商店から商品10,000円を仕入れ、代金はかねてより売掛金のある得意先C商店を名宛人、B商店を指図人とする為替手形(引受済)を振り出して支払った。
- A商店:振出人
- B商店:指図人=受取人(将来、手形代金を受け取る人)
- C商店:名宛人=支払人(将来、手形代金を支払う人)