第140回・日商簿記検定2級の試験問題予想を大公開します!
簿記検定ナビの管理人が、2015年6月14日に行われる第140回・日商簿記検定2級の試験問題を予想するページです(日商簿記検定3級の出題予想は日商簿記検定3級 試験問題予想をご覧下さい)
第1予想 | 第2予想 | 第3予想 | |
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第1問 | 仕訳 | ||
第2問 | 個別論点 | 伝票会計 | 特殊仕訳帳 |
第3問 | 精算表 | 財務諸表 | 本支店会計 |
第4問 | 費目別計算 | 単純個別原価計算 | 本社工場会計 |
第5問 | 総合原価計算 | 標準原価計算 | 直接原価計算 |
第1問:前回の仕訳は超難問でした…果たして今回はどうなるんでしょうか…
第1問では毎回、【仕訳問題】が5問出題されますが、第138回までは出題パターンがほぼ決まっていたので、過去問対策が非常に有効でした。
簿記検定ナビの仕訳問題対策を使ってきちんと対策していれば、20点満点を取るのも難しいことではありませんでした。
しかし…前回の第139回で、5問中4問が今までにない形式で出題されたことにより、「過去問対策をしていれば点数が取れる!」とは必ずしも言えなくなってしまいました。
第140回に関しては、第138回以前のような形に戻るのか、第139回のように今までにない形式で出題されるのか…蓋を開けてみないと分かりません。そこで、今回は前者のパターンと後者のパターンの2つに分けて、効果的・効率的な対策を考えてみましょう。
「第138回以前のような形に戻る」と仮定した場合
今までどおり過去問を使って対策をするのが一番効率的です。仕訳問題の出題一覧表(PDFファイル)をご覧ください。最近の試験では「固定資産」「手形取引」「新株発行」「有価証券」の4つがよく出題されているので、これらを中心に対策すると効率が良いです。
「特殊商品売買」は最近あまり出題されていませんが、以前はほぼ毎回出ていたことを考えると第140回で出題される可能性も十分あります。出題回数の多い受託販売を中心に対策しておきましょう。
「第139回のように今までにない形式で出題される」と仮定した場合
残念ながら効率的な対策はありません。今までにない形式の問題を予想するのは現実的ではないからです。
ただ、仕訳全般の処理能力を上げておくと対応できる幅が広がりますし、試験制度や試験範囲に変更があった訳ではないので、今までと同じように過去問を使って仕訳処理のベースとなる「力」を養っておくことをおすすめします。
なお、過去問を使って勉強するさいには、問われている処理だけでなく「この前(後)の処理はどうなっているんだろう?」と考えるようにすると、自然と応用力が身につくと思います。
簿記検定ナビの仕訳問題対策の解説では、参考として前後の処理にも言及しているのでぜひご利用ください。
第2問:特殊仕訳帳と伝票はもう出ないのかな…となるとまた個別論点でしょうか…
130 | 131 | 132 | 133 | 134 | 135 | 136 | 137 | 138 | 139 | 140 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
伝票会計 | ○ | ○ | ○ | ||||||||
特殊仕訳帳 | ○ | ||||||||||
個別論点 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ★ |
少し前までは…第2問といえば、特殊仕訳帳か伝票会計のどちらかが出題されることが多かったんですが、ここ最近は個別論点の問題が出題されることが多いです。
- 特殊商品売買(第132回)
- 銀行勘定調整表(第134回・第137回)
- 有形固定資産(第135回・第139回)
- 株主資本等変動計算書(第138回)
よって、第140回についても【個別論点】の問題が出題される可能性が一番高いと思います。
個別論点の対策について
個別論点の問題は幅広い論点から出題されるので「具体的にどんな問題が出題されるか」を予想するのは難しいです。
ただ、第139回の固定資産の問題が第107回の第2問の固定資産の問題とウリふたつだったことを考えると、第112回の第2問で出題された「社債&有価証券に関する問題」の類似問題あたりがそろそろ出題されてもおかしくないです。
「簿記ナビ模試(第140回試験対策)」でも有価証券の一連の処理に関する問題を出題する予定なので、第132回で出題された特殊商品売買の問題、第134回・第137回で出題された銀行勘定調整表の問題とともにきちんと押さえておきましょう。
個別論点の問題はパッと見、難しそうに見えますが、最初のほうの設問は基本的な処理を問う問題であることが多いので、本試験で出題された場合にはとにかく諦めずに部分点を積み上げていくことに注力してください。
作問者も「個別論点の問題→受験生はなかなか点数が取れない」と分かっているようで、比較的簡単なところにたくさん配点される可能性が高いからです。問題を解いているときに手応えがなくても、諦めずに粘った結果、予想以上に点数を取れていたという話しをよく聞きます。
伝票会計と特殊仕訳帳の対策について
伝票会計の近年の出題実績・出題間隔(第128回→第130回→第133回→第136回)を勘案すると、第140回で出題される可能性も十分にあります。
伝票会計は出題パターンがほぼ決まっているので過去問対策が非常に有効です。市販の過去問題集に収載されている問題だけで十分なので、きちんと対策しておきましょう。
特殊仕訳帳は、第118回→第120回→第122回→第124回→第125回→第127回→第129回→第131回とほぼ中1回の間隔で出題されていたにも関わらず、最近ぱったり出題されなくなりました。
たまたま出題されない回が続いているだけかもしれませんが、ここ最近の試験では実務的な問題がよく出題されるので、実務であまり使われていない特殊仕訳帳は(相対的に)重要性が低くなっているのかもしれません。
特殊仕訳帳は伝票会計と同様に、出題パターンがほぼ決まっているので過去問対策が非常に有効です。市販の過去問題集に収載されている問題だけで十分なので、きちんと対策しておきましょう。
なお、特殊仕訳帳は「帳簿記入」と「試算表作成」の2パターンの問題に分類できますが、出題頻度の高い「試算表作成」を優先して対策しておいてください。また、一部当座取引・一部現金取引の処理がよく問われるので、過去問を使ってきちんと確認しておきましょう。
- 帳簿記入 (第118回・第122回)
- 試算表作成(第120回・第124回・第125回・第127回・第129回・第131回)
第3問:10年以上続いてきた出題法則がついに崩れた!何が出てもおかしくない状況です。
130 | 131 | 132 | 133 | 134 | 135 | 136 | 137 | 138 | 139 | 140 | |
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本支店会計 | ○ | ○ | ○ | ||||||||
精算表 | ○ | ○ | ○ | ★ | |||||||
財務諸表 | ○ | ○ | ○ | ○ |
第3問では、本支店会計や精算表・財務諸表の作成問題が出題されますが、ここ10年、本支店会計は中1回または中2回の間隔で出題されていました。
- 出題間隔が中1回のケース:第109回→第111回、第111回→第113回、第113回→第115回、第115回→第117回、第123回→第125回→第127回
- 出題間隔が中2回のケース:第117回→第120回、第120回→第123回、第127回→第130回→第133回→第136回
ただ、第139回で本支店会計が出題されなかったことにより、出題間隔をベースにした機械的な予想ができなくなってしまったので、第140回の出題予想は非常に難しくなってしまいました。
強いて挙げるのであれば【精算表作成問題】になるかと思いますが、最近の出題頻度を考えると4回連続で財務諸表作成問題が出題される可能性も十分ありますし、出題間隔を考えると中3回で本支店会計の可能性もあります。
よって、第140回に関してはなるべく範囲を絞らずに満遍なく対策することをおすすめします(予想のページなのに予想になっていなくて申し訳ありません)。
精算表作成問題は過去問対策が非常に有効で、理屈うんぬんよりも体で覚えたほうが早いので、とにかくたくさんの過去問を解いてください。最近は売上原価の算定を仕入の行ではなく売上原価の行でさせる問題がちょくちょく出題されているので、仕訳をきちんと押さえておきましょう。
(貸)繰越商品 期首商品棚卸高
(借)売上原価 当期商品仕入高
(貸)仕入 当期商品仕入高
(借)繰越商品 期末商品棚卸高
(貸)売上原価 期末商品棚卸高
この仕訳については「浮く牛食う(うくうしくう)」という語呂で押さえてしまうのが一番手っ取り早いので、日商簿記検定と語呂暗記ページを参考にしてください。
財務諸表作成問題は苦手意識を持っている方が多いですが、精算表と財務諸表(貸借対照表・損益計算書)は答案用紙の見た目が違うだけで、どちらも「未処理事項・決算整理事項の処理→貸借対照表と損益計算書の作成」とやっていることは同じです。
まずは、精算表と財務諸表で異なる勘定科目(例:精算表では「繰越商品」→貸借対照表では「商品」)や、勘定科目の表示位置(特に損益計算書の費用分類)をきちんと押さえたうえで、過去問等を使ってきちんと対策しておきましょう。
なお、第139回で問われた損益計算書の「営業利益」や「経常利益」の金額ように、解答する(計算する)のに時間がかかる割に、正答の可能性または配点の低い問題は、いわゆる捨て問(=解答せずに捨てるべき問題)になります(詳細→過去問分析ページ)。
試験本番では、費用対効果を考えて「割にあわない」と感じた問題は思いきって捨てるのも受験テクニックの一つです。練習段階から常に取捨選択を意識して、問題を解くように心がけてください。
本支店会計のポイントは、下書きを定型化することです。自分なりの解答パターンを確立して、機械的に数字を当てはめて解いていくことが本支店会計攻略のカギになります。
具体的には、本店の「支店」勘定と「支店へ売上」勘定、支店の「本店」勘定と「本店より仕入」勘定の4つのT勘定を書いて未達事項を反映させた上で、本店と支店の商品をボックス図を書いて売上・売上原価・売上総利益を一気に算定する…という流れになります。
なお、本支店会計の下書きの書き方については、第136回・第3問の総評ページで、私が実際に問題を解くさいに書いた下書き画像付きで詳しく説明していますので、興味のある方はご覧ください。
第4問:費目別、単純個別、本社工場…どれが出てもおかしくない状況です!
130 | 131 | 132 | 133 | 134 | 135 | 136 | 137 | 138 | 139 | 140 | |
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費目別 | ○ | ○ | ○ | ○ | ★ | ||||||
単純個別 | △ | ○ | |||||||||
部門別 | ○ | ○ | |||||||||
本社工場 | ○ | ○ | |||||||||
その他 | ○ |
第4問では、費目別計算や単純個別原価計算、部門別個別原価計算、本社工場会計などが出題されます。上記の表をご覧いただくとお分かりいただけると思いますが…第140回は部門別個別原価計算以外はどれが出てもおかしくない状況です。
あえて1つ挙げるとすれば、出題頻度・出題間隔を考慮して【費目別計算】になるかと思いますが、第140回対策はなるべくヤマをはらずに満遍なく対策することをおすすめします。
費目別計算は、第132回・第136回のような仕訳問題と、第134回・第137回のような製造原価報告書・損益計算書の作成問題の2パターンがあります。第140回はどちらが出題されてもおかしくないので、過去問を使ってきちんと対策しておきましょう。
単純個別原価計算は、直近では、第134回の第5問で「仕掛品勘定や製品勘定に金額を記入する問題」が、第138回の第4問で仕訳問題が出題されています。第140回対策としては前者の勘定記入の問題をメインに対策しておきましょう。
本社工場会計は仕訳が問われます。解答のポイントは「問題で指定された勘定科目を使うこと」「勘定科目が本社側に設定されているのか、工場側に設定されているのかを正確に判断する」の2点です。第131回・第133回の過去問を使ってきちんと対策しておきましょう。
第5問:下の表を見て!なにが出てもおかしくないんです!(もはや予想ではない)
130 | 131 | 132 | 133 | 134 | 135 | 136 | 137 | 138 | 139 | 140 | ||
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総 合 原 価 計 算 |
単純 | ○ | ○ | |||||||||
工程別 | ○ | |||||||||||
組別 | ○ | |||||||||||
等級別 | ★ | |||||||||||
標準原価計算 | ○ | |||||||||||
直接原価計算 | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||||||
その他 | ○ |
第5問では、総合原価計算や標準原価計算、直接原価計算などが出題されます。上記の表をご覧いただくとお分かりいただけると思いますが…第4問と同様、第140回はどれが出てもおかしくない状況です。
あえて1つ挙げるとすれば…【総合原価計算】になるかと思いますが、出題間隔を考えると標準原価計算(第126回→第127回→第135回→第140回?)の可能性も十分にありますので、なるべくヤマをはらずに満遍なく対策することをおすすめします。
総合原価計算は、第128回で出題された「等級別」、第129回で出題された「組別」、第130回・第138回で出題された「単純」、第123回・第131回で出題された「工程別」の4種類があります。
仮に、第140回で総合原価計算が出題されるのであれば…第137回で出題された「組別」や第138回で出題された「単純」以外の、「等級別」や「工程別」の可能性が高いです。市販の過去問題集に収載されている第128回と第131回の問題を使ってきちんと対策しておきましょう。
なお、総合原価計算の過去問や予想問題を解くさいは、原価の按分方法(平均法と先入先出法)や減損・仕損の処理を重点的に確認しておいてください。
また、第123回で出題された「半製品」のように少しひねられる可能性があるので、問題をきちんと読んで解答することを心がけてください(→半製品の解説はこちら)。
標準原価計算は、第127回・第135回のような差異分析の問題と、第126回のような(仕掛品勘定の)勘定記入の問題の2パターンがあります。過去によく問われているのは前者のほうなので、第140回も差異分析の問題をメインに対策してください。
解答手順は原価標準の設定→標準原価の計算→実際原価の計算→原価差異の計算という流れになります。問題を解くさいは「今、なんの計算をしているのか」「なぜこのような計算をする必要があるのか」を常に考えるようにしましょう。
直接原価計算は第139回で出題されたので、標準や総合に比べると出題可能性は低いです。ただ、ここ最近の出題ペースを考えると2回連続で出題されてもおかしくないので、きちんと過去問対策をしておいてください。
具体的には…第139回の問題に加えて、第132回で出題されたCVP分析の問題と、第134回・第136回で出題された全部原価計算を絡めた問題の2パターンをきちんと押さえておきましょう。