第127回・日商簿記検定2級の試験問題予想を大公開します!
簿記検定ナビの管理人が、2011年2月27日に行われる第127回・日商簿記検定2級の試験問題を予想するページです(日商簿記検定3級の出題予想は、日商簿記検定3級 試験問題予想をご覧下さい)
商業簿記
第1問は、今回も間違いなく【仕訳】です。今回は出題論点を「一般商品売買」「特殊商品売買」「手形取引」「銀行勘定調整表」「有価証券」「固定資産」「社債」「株式の発行」「税金の処理」「その他」に分類し、ひとつひとつチェックしていきたいと思います。
まず、「一般商品売買」については、売上原価の計算や仕入割引・売上割引などの出題が考えられますが、第126回で売上割引が出題されましたので、第127回に関しては仕入割引の基本的な仕訳を切れるようにしておけばOKだと思います。
「特殊商品売買」については、受託販売・買付や委託販売・買付からの出題が近年多くなっていますが、第124回・第125回・第126回と3回連続で受託販売の問題が出題されましたので、第127回に関してはその他の3つについて注意しておく必要があります。
「手形取引」については、第126回の問3で受託販売にかかる荷為替手形の問題が出題されましたので、第117回・第123回で出題された不渡手形のほうを中心に勉強しておいてください。
「銀行勘定調整表」については、第123回・第125回で出題されていますので、第127回の出題可能性はそれほど高くないと思いますが、頻出論点のひとつですのできちんと押さえておいてください。
「有価証券」については、「固定資産」とともに頻出論点の筆頭に挙げられますが、購入よりも売却の方が出題頻度が高いので、売却の問題を中心に対策を講じておいてください。また、利息の処理についてもよく問われますので、購入・売却時の利息の受け払いの仕訳をきちんとマスターしておいてください。
「固定資産」については、購入・売却・除却・焼失・修繕・買換と出題パターンが多いこともあって、かなりの確率(ほぼ毎回)で出題されていますが、除却に関してはここ最近出題されていませんので注意してください。
「社債」については、第123回で満期償還に関する仕訳問題が出題されていますので、第127回で社債に関する問題が出題されるとしたら、第120回以降出題されていない社債の発行に関する問題か、第107回以降全く出題されていない社債の買入償還に関する問題の可能性が高いです。
「株式の発行」については、第120回で設立時の新株発行に関する問題が、第122回で増資時の新株発行に関する問題が出題されていますので、もうそろそろ出題されてもおかしくないです。
「税金の処理」については、法人税と消費税の出題が考えられますが、消費税に関しては第124回で出題されていますので、どちらかというと法人税のほうが出題可能性が高いです。
最後に「その他」については、役員賞与・本支店会計・保証債務などの出題が考えられますが、最近では第125回で役員賞与に関する問題が、第126回で本支店会計に関する問題が出題されましたので、第127回対策としては保証債務の基本的な仕訳を切れるようにしておけばOKだと思います。
問題 | 第126回 | 第125回 | 第124回 |
---|---|---|---|
問1 | 手形の更改 | 役員賞与 | 固定資産の改良と修繕 |
問2 | 固定資産の焼失・未決算 | 有価証券の売却 | 特殊商品売買・受託販売 |
問3 | 特殊商品売買(受託販売) | 銀行勘定調整表 | 消費税 |
問4 | 売上割引 | 固定資産の購入 | 有価証券の購入 |
問5 | 本支店会計 | 特殊商品売買・受託販売 | 固定資産の買換え |
日商簿記検定2級の第1問の仕訳問題は、重要論点が繰り返し出題される傾向にありますので、簿記検定ナビの仕訳問題対策を使って十分な過去問対策を講じてください。第126回で出題された仕訳問題は、きちんと過去問対策をやっていれば少なくとも4問(20点中16点)は取れたはずです。
第2問は帳簿組織か伝票会計が出題されることが多いのですが、第124回・第125回と連続して帳簿組織の問題が出題されていることを勘案しますと、第127回は【伝票会計】のほうが出題可能性が高いと思います。
なお、伝票会計の過去の出題実績は(第108回→第110回→第115回→第119回→第121回→第123回)なっていますので、各回の過去問を使って対策するようにしてください。簿記検定ナビでは下書き用紙の書き方などを出題傾向・過去問徹底分析のページで公開していますので、興味のある方はご覧ください。
あと、伝票会計に関しては…下の画像の内容をきちんと理解できているか確認してください。この画像は管理人が実際に作ったまとめノートの一部ですが、この画像の内容を確実に理解しておけば、たいていの伝票会計の問題に対応できるはずです。
ちなみに、伝票会計の問題は第121回と第123回の問題を見比べていただくと一目瞭然ですが、過去問とほとんど同じような形式で出題されるパターンが多いですので、必ず過去問を使って十分な対策を行うようにしてください。


最後に…第126回で出題されたような新形式の問題への対応についてですが、事前に予想して対策を講じるのは費用対効果の面で現実的ではありませんので、出題されてしまった場合にはとにかく諦めずに部分点を積み上げていくようにしてください。
第126回で出題された特殊商品売買の問題も、一見すると全く歯が立たないような感じがしますが、前半部分の仕訳は特に難しいわけではないので、少なくとも20点中6点~8点は取れるはずです。
第3問は、本支店会計と財務諸表作成問題が五分五分ぐらいなんですが、あえて予想するのであれば【本支店会計】だと思います。
第126回で「精算表の作成問題」が出題されましたので、近年の本支店会計の出題実績を勘案すると(第109回→第111回→第113回→第115回→第117回→第120回→第123回→第125回)、第127回は本支店会計が本命ということになると思います。
ただ、本支店会計の出題頻度は、中1回(第109回→第111回、第111回→第113回、第113回→第115回、第115回→第117回、第123回→第125回)のときと、中2回(第117回→第120回、第120回→第123回)のときがあり、仮に今回が「中2回」ということになりますと第127回ではなく第128回で出題される計算になってしまいます。
よって、第127回試験の第3問に関しては本支店会計を「本命」としつつ、第110回・第118回・第122回で出題された「財務諸表の作成問題」を「対抗」としておきます。
なお、最近の出題傾向を考えますと、精算表作成問題が2回連続で出題される可能性は低いですが、過去には2回連続で出題(第96回→第97回・第106回→第107回)されたこともありますので、完全に切るのはさすがにまずいです。
あと、第99回・第108回と出題されて以来、20回近く出題されていない「決算三勘定」については、損益勘定→繰越利益剰余金勘定→繰越試算表という一連の勘定の流れをきちんと押さえておいてください。
本支店会計のポイントは、下書きを定型化することです。自分で下書きの記入順序を決めて、機械的に解くことをおすすめします。(商品の流れを把握するために図を書いて、本店の支店勘定と支店の本店勘定のT勘定を書いて未達事項を反映させて、本店と支店の商品をボックス図を書いて…みたいな感じです)このように、自分なりの解答パターンを確立させておくことが高得点獲得のカギとなります。
第3問の対策は、問題集や過去問を何度も繰り返し解くことが一番いいと思います。その際に気をつけていただきたいポイントがいくつかありますので列挙しておきます。
- 必ず時間を計って問題を解くこと(だらだら解いても意味がありません)
- 解き方を固定化し、ケアレスミスを防ぐ(出題される仕訳はパターン化されている)
- 下書きの量はなるべく少なくする(回を重ねるごとに記述量を減らしてください)
- 下書き用紙は捨てずにとっておく(採点し終わった後、前回のものと比べてください)
- 間違えたところはテキストに戻って確認するか、間違いノートにまとめる
上記のことをきちんとやれば必ず力は付きますので、がんばって取り組んでください。なお、本支店会計の下書き用紙の書き方については、第117回総評ページで、管理人が実際に書いた下書き用紙の画像付きで詳しく説明していますので、興味のある方はご覧ください。
第4問は、勘定連絡・費目別計算・個別原価計算・総合原価計算・本社工場会計など幅広い論点から出題されますので予想するのはなかなか難しいのですが、第118回以降出題されていない【単純個別原価計算】や、第119回以降出題されていない【本社工場会計】あたりからの出題が怪しいような気がします。
単純個別原価計算に関しては、まず以下のポイントを押さえることが大前提となります。計算の数字自体は簡単な場合が多いですので、この分類をしっかり出来るかどうかがカギとなります。
- 月末(期末)時点で未完成→【期末仕掛品】
- 月末(期末)時点で完成済みだが引渡しが行われていない→【期末製品】
- 月末(期末)時点で完成済みで引渡し済み→【売上原価】
本社工場会計に関しては、まず工場の帳簿にどんな勘定科目が設定されているのかチェックする必要がありますが、この作業を怠ると工場の帳簿に設定されていない勘定科目を使って仕訳を切ってしまう可能性が出てきてしまいますので、必ず一番最初にチェックを行うようにしてください。
次に、本社と工場の間で行われる取引に注意しつつ勘定連絡図を作る作業に移りますが、第112回や第119回の過去問を見る限りでは基本的な処理しか問われていませんので、過去問レベルの問題を解けるようにしておけば問題ないと思います。
なお、勘定連絡図については、完成したものを眺めているだけではなかなか頭に入ってきませんから、手を動かして体で覚えるようにしてください。
勘定の流れをスムーズに意識できるようになると、本社工場会計だけでなく他の論点の理解力アップにも繋がりますので、理解できるまで諦めずに根気強く取り組むようにしてください。
第5問は、総合原価計算・直接原価計算・標準原価計算などから出題されますが、第124回で直接原価計算に関する問題が、第126回で標準原価計算に関する問題が出題されましたので、第127回については【総合原価計算】の出題可能性が高いと思います。
総合原価計算に関する問題としては、単純総合原価計算・組別総合原価計算・等級別総合原価計算・工程別総合原価計算などの種類がありますが、もし第127回で出題されるとしたら、第125回で出題された単純総合原価計算や第123回で出題された工程別総合原価計算よりも、第121回以来出題されていない組別総合原価計算や、第118回以来出題されていない等級別総合原価計算のほうが出題可能性が高いと思います。
なお、過去の出題実績を勘案しますと、第122回・第125の単純総合原価計算・第123回の工程別総合原価計算の問題のように、ボックスを書いて数字を埋めていくだけの簡単な問題が出題される可能性が高いと思います。
ただ、第123回の【半製品】のように問い方を少しひねられる可能性も考えられますので、練習段階では機械的に数字を埋めていくのではなく、「今、自分は何を計算しているのか?」という視点を常に持つことを心がけてください。計算の意味を理解できれば応用問題にも対応できるようになります。