第3問 試算表&掛明細表の作成問題は下書きを工夫して効率よく解答しましょう!
第3問は【合計試算表】の作成問題でした。
取引ひとつひとつの難度は普通レベルですが、取引の量が多い&売掛金明細表・買掛金明細表もあわせて作成する必要があるので、のんびり解いているとあっという間に解答時間がなくなります。下書きを工夫して効率よく解答しましょう。
難易度アンケートでは「普通ぐらいだった」という回答が一番多かったです。目標は21点です。
解答方法について
本問は問題資料(×8年5月27日から31日までの諸取引)が時系列順になっているので、解答にあたって二重取引を考慮する必要はありません。
二重取引を考慮する必要のない問題の解答方法は、「下書用紙に全取引の仕訳を書いて集計する方法」と「下書用紙にT勘定を設定して各勘定の金額を集計する方法」の2つがあります。
本問は、取引の量が多いため、後者の「下書用紙にT勘定を設定して各勘定の金額を集計する方法」で解答することをおすすめします。
前者の「下書用紙に全取引の仕訳を書いて集計する方法」で解きたい方は、以下の解説をスキップして参考2:下書用紙に全取引の仕訳を書いて集計する方法にお進みください。
T勘定をの設定方法
3級の試算表作成問題をT勘定を使って解く場合は、基本的に現金・各種預金・売掛金・買掛金・受取手形・支払手形・仕入・売上勘定の8つのT勘定を作りますが、本問は受取手形と支払手形がないので、残りの6つだけ作りましょう。
なお、上記以外の勘定については「その他」という勘定を作ってそこにどんどん書き込んでいきましょう。
- 本問で設定するT勘定
- 現金
- 当座預金
- 受取手形勘定
- 売掛金
- 支払手形勘定
- 買掛金
- 売上
- 仕入
- その他
本問の解答手順
まず、下書用紙に現金勘定、当座預金勘定、売掛金勘定、買掛金勘定、売上勘定、仕入勘定、その他勘定を書きましょう。

次に、×8年5月26日時点の各勘定の「借方に計上されている金額」および「貸方に計上されている金額」を記入します。金額自体は、問題資料(1)の合計試算表からひっぱってくるだけです。

さらに、資料(2)の各日の取引を頭の中で仕訳して、6つの勘定+その他勘定に記入していきます。
なお、売掛金と買掛金に関しては明細表を作成する必要があるので、下書用紙の売掛金勘定・買掛金勘定に金額を書き込むさいにはどの商店の増減なのかひと目で分かるようにしておくのがポイントです。
- 売掛金
- な:奈良商店
- わ:和歌山商店
- 買掛金
- な:長崎商店
- こ:高知商店

最後に6つの勘定を締め切り、答案用紙の合計欄に金額を記入します。
本問は合計試算表を作成する問題なので、各勘定を締め切るさいには借方合計額・貸方合計額のみを計算するのがポイントです(※残高まで求める必要はありません)。
なお、「その他」勘定は締め切り不要です。問題資料の合計試算表の5月26日時点の各金額に、「その他」勘定に計上した金額を反映させて、5月31日時点の金額を求めましょう。

売掛金明細表・買掛金明細表は、答案用紙で与えられている5月26日時点の金額に、27日から31日までの増減額を反映させて、31日時点の金額を求めましょう。
- 売掛金明細表
- 奈良商店:500,000円+50,000円+70,000円-240,000円=380,000円
- 和歌山商店:200,000円+50,000円+35,000円-130,000円=155,000円
- 買掛金明細表
- 長崎商店:310,000円+60,000円+38,000円-190,000円=218,000円
- 高知商店:590,000円+40,000円+40,000円-40,000円-300,000円=330,000円
答案用紙の売掛金明細表・買掛金明細表に金額を記入したら、念のために売掛金と買掛金の金額を検算して金額が一致するか確認しましょう。
- 売掛金の検算
- 売掛金明細表の合計額:380,000円+155,000円=535,000円
- 合計残高試算表の売掛金の残高:3,505,000円-2,970,000円=535,000円
- 買掛金の検算
- 買掛金明細表の合計額:218,000円+330,000円=548,000円
- 合計残高試算表の買掛金の残高:2,978,000円-2,430,000円=548,000円
参考1:残高試算表・合計残高試算表の下書きの締め切り方
仮に、本問の解答要求が残高試算表・合計残高試算表の場合は、以下のように締め切ると分かりやすいです。上で紹介している合計試算表の締め切り方とあわせて押さえておきましょう。


参考2:下書用紙に全取引の仕訳を書いて集計する方法
本問は売掛金と買掛金に関しては明細表を作成する必要があるので、「下書用紙に全取引の仕訳を書いて集計する方法」で解答する場合も、売掛金・買掛金の増減がどの商店に対するものなのかひと目で分かるようにしておくと後の集計が楽になります。
- 売掛金
- 奈良商店に対する売掛金:売掛金・な
- 和歌山商店に対する売掛金:売掛金・わ
- 買掛金
- 長崎商店に対する買掛金:買掛金・な
- 高知商店に対する買掛金:買掛金・こ
(借)売掛金・な 50,000
(貸)売上 80,000
(借)発送費 1,000
(貸)現金 1,000
(借)売掛金・わ 50,000
(貸)売上 50,000
(借)発送費 800
(貸)現金 800
当社負担の発送費を支払った場合は、発送費や支払運賃などの勘定科目で費用処理します。本問は、問題用紙・答案用紙の合計試算表に「発送費」があるので、発送費で処理すると判断します。
- 得意先負担の発送費を立て替えた場合:売掛金または立替金で処理
- 当社負担の発送費を支払った場合:発送費や支払運賃などで費用処理
(貸)所得税預り金 40,000
(貸)当座預金 460,000
(貸)買掛金・な 60,000
(貸)現金 500
(借)仕入 40,000
(貸)買掛金・こ 40,000
当社負担の引取運賃は、仕入原価に含めて処理します。売上時に計上する発送費と混同しないように気をつけましょう。
(貸)当座預金 25,000
(貸)当座預金 90,000
(貸)売上 70,000
(借)発送費 1,200
(貸)現金 1,200
(借)前受金 20,000
(借)売掛金・わ 35,000
(貸)売上 55,000
(借)発送費 1,000
(貸)現金 1,000
(貸)仕入 40,000
問題文に「発送代金 ¥ 700 は着払いの先方負担とした」とあるので、発送代金に関する処理は不要です。
(貸)買掛金・な 38,000
(貸)現金 700
(借)仕入 40,000
(貸)買掛金・こ 40,000
(貸)当座預金 80,000
(貸)売掛金・な 240,000
(借)当座預金 130,000
(貸)売掛金・わ 130,000
(貸)当座預金 190,000
(借)買掛金・こ 300,000
(貸)当座預金 300,000
(貸)前受金 60,000
注文を受けて手付金を受け取っただけなので、前受金のみを計上します。うっかり売上を計上しないように気をつけましょう。
最後に上記の仕訳を集計し、答案用紙の合計欄に金額を記入します。
なお、売掛金明細表・買掛金明細表は、答案用紙で与えられている5月26日時点の金額に、27日から31日までの増減額を反映させて、31日時点の金額を求めましょう。
- 売掛金明細表
- 奈良商店:500,000円+50,000円+70,000円-240,000円=380,000円
- 和歌山商店:200,000円+50,000円+35,000円-130,000円=155,000円
- 買掛金明細表
- 長崎商店:310,000円+60,000円+38,000円-190,000円=218,000円
- 高知商店:590,000円+40,000円+40,000円-40,000円-300,000円=330,000円
答案用紙の売掛金明細表・買掛金明細表に金額を記入したら、念のために売掛金と買掛金の金額を検算して金額が一致するか確認しましょう。
- 売掛金の検算
- 売掛金明細表の合計額:380,000円+155,000円=535,000円
- 合計残高試算表の売掛金の残高:3,505,000円-2,970,000円=535,000円
- 買掛金の検算
- 買掛金明細表の合計額:218,000円+330,000円=548,000円
- 合計残高試算表の買掛金の残高:2,978,000円-2,430,000円=548,000円