第1問 20点満点が狙える仕訳問題!…ですが、問2の仕入割戻がクセモノです。
第1問は今回も【仕訳問題】でした。
5問とも普通~易しいレベルの難度でしたが、問2の「仕入割戻なのにうっかり仕入割引で処理してしまうトラップ」にひっかかって4点失ってしまった受験生がかなり多かったようです。
受験生アンケートでは「普通ぐらいだった」という回答が一番多かったですが、第2問・第3問のことを考えるとなるべく多くの点数を稼ぎたいところです。目標点数は16点です。
第2問 7種類の有価証券が登場する非常に面倒くさい問題。部分点狙いでOKです!
第2問は【有価証券】に関する問題でした。
登場する有価証券の数が多く、問題資料を見ただけで嫌になるような問題ですが、取引ひとつひとつの難度はそれほど高くないです。
受験生アンケートでは、90%近い方が「かなり難しかった」「やや難しかった」と回答しています。目標は10点です。
第3問 作問者の優しさ(?)がちょっと垣間見える連結貸借対照表の作成問題。
第3問は【連結財務諸表】の作成問題でした。
本問は、問題資料の形式が独特なため、なんとなく手も足も出ないような難問に見えますが、親会社の(個別の)決算整理事項を処理して子会社の金額と合算するだけで8点(前払費用・建物減価償却累計額・備品減価償却累計額・退職給付に係る負債)取れる配点になっています。
また、その後の連結修正仕訳も(常軌を逸した難しさだった)第153回に比べるとかなり易しいので、すぐに諦めてしまわずに解ける部分だけでもがんばって埋めてみると意外と点数が取れます。
受験生アンケートでは、約80%の方が「かなり難しかった」「やや難しかった」と回答しています。目標は10点です。
第4問 よくあるタイプの費目別計算の問題。燃料の分類がポイントです!
第4問は【費目別計算】に関する問題でした。
過去に何度も出題されている形式の基本的な問題なので、きちんと対策していた方にとってはボーナス問題になったと思います。合格するためにはここで一気に点数を積み上げたいところです。
受験生アンケートでは「普通ぐらいだった」という回答が一番多かったです。目標は18点です。
第5問 会話形式の直接原価計算(CVP分析)の問題。社長の視点が鋭い!優秀!
第5問は【直接原価計算】に関する問題でした。
社長と経理部長の会話の穴埋め問題という珍しい形式でしたが、問われている内容はいずれも基本的な内容です。第4問と同様、合格するためには20点満点を狙いたい問題です。
受験生アンケートでは「普通ぐらいだった」という回答が一番多かったです。目標は16点です。
まとめ 今回は第1問・第4問・第5問でほぼ満点を取らなきゃ合格できません!
各問題の率直な感想
- 第1問:問2の仕入割戻を正答できた人ってどれぐらいいるのかな…?全体の3%ぐらい?。
- 第2問:ひとつひとつの処理は簡単だけど、処理すべき量が多すぎて死ぬほど面倒くさい。
- 第3問:初めて出題された連結財務諸表。資料の形式が独特すぎて初見で対応するのは大変。
- 第4問:よくあるタイプの費目別計算の問題。合格するためには20点満点を取りたい。
- 第5問:会話形式は珍しいけど、問われている内容は普通レベル。社長の理解が早い!
第1問・第4問・第5問は比較的簡単な問題だったものの、第1問の「仕入割戻」や第4問の「燃料の取り扱い」などでポロポロと失点してしまった方が多いようです。
第2問・第3問は、講師の解説を聞けば(問われている内容自体は)そんなに難しくないことが分かると思いますが、第2問は出てくる有価証券の数が多すぎて解くのに時間がかかりますし、第3問も問題資料の形式が独特すぎて簿記2級受験生が初見で対応するのは至難の業です。
このまとめを書いている時点ではまだ全体の合格率(確定値)は発表されていませんが、、平均合格率(約30%)よりもかなり低い15%~20%ぐらいになると予想しています。
問題を解く順番について
日商簿記検定に限らず、資格試験の問題は簡単な問題・自分の得意な論点の問題から優先的に解くのが鉄則です。本問の場合、ボリュームの大きい第2問・第3問は後回しにして、先に第1問・第4問・第5問を解くことをおすすめします。
【おすすめの解答順序】
第1問→第4問→第5問→第3問→第2問
また、試験開始の合図とともにすぐに解き始めるのではなく、まずは全ての問題をチェックして、解く順番と大まかな時間配分を決めましょう。
- 解き始める前にやるべきこと
- 問題用紙・答案用紙をひととおり確認する
- 解く順番と大まかな時間配分を決める
- 気持ちを落ち着かせるため、目を閉じて大きく深呼吸する
第157回試験の対策について
第1問の仕訳問題に関しては、難度の高い問題が出題される可能性があります。
簿記検定ナビで無料配布している重要仕訳TOP100や市販の仕訳対策教材などを使って、本試験を想定した仕訳対策に力を入れましょう。
難度の高い問題が出題された場合は、問題に列挙されている勘定科目や問題文の指示などをヒントにして解答仕訳を捻り出しましょう。取引ごとに細かく区切って考えるのも効果的です。
第2問に関しては、リース取引を絡めた固定資産や外貨建取引を絡めた商品売買、株主資本等変動計算書など…何が出題されてもおかしくない状況です。
なるべく範囲を絞らずたくさんの過去問や予想問題を解いて、対応できる「ひきだしの数」を増やしておきましょう。
また、一見すると手も足も出ないような難しそうな問題も、作問者の配慮(?)で点数の取りやすい設問(解答箇所)がいくつか用意されていることが多いです。
解答できるところを探して、1点でも多く部分点を積み上げましょう。最後まで諦めずに粘った者にだけ合格のチャンスが与えられます。
第3問に関しては、財務諸表や精算表(個別または連結)、本支店会計などの出題が考えられます。
個別の財務諸表・精算表に関しては、先般の改定により試験範囲に追加されたものの、未だに1度も出題されていないサービス業の損益計算書や製造業の決算処理が出題される可能性が高いです。簿記ナビ模試や市販の予想問題などを使って万全の対策しておきましょう。
第4問・第5問の工業簿記に関しては、比較的易しい問題の出題が続いています。
工業簿記は「解答の序盤でミスをすると、それ以降の金額が全てズレる(=不正解になる)」という恐ろしい特徴があるので、ケアレスミスに気をつけて慎重に解答しましょう。