第156回日商簿記検定2級 第2問(有価証券)の過去問分析

第2問 7種類の有価証券が登場する非常に面倒くさい問題。部分点狙いでOKです!

第2問の難度アンケート結果

 第2問は【有価証券】に関する問題でした。

 登場する有価証券の数が多く、問題資料を見ただけで嫌になるような問題ですが、取引ひとつひとつの難度はそれほど高くないです。

 受験生アンケートでは、90%近い方が「かなり難しかった」「やや難しかった」と回答しています。目標は10点です。

問1 満期保有目的債券とその他有価証券の勘定記入

 問題の解き方は「時系列順に仕訳を考える方法」と「有価証券ごとに仕訳を考える方法」の2パターンがあります。どちらで解答しても構いませんが、本解説では「時系列順に仕訳を考える方法」をご紹介いたします。

4月1日の取引

再振替仕訳
(借)その他有価証券評価差額金 2,330,000 ※1
 (貸)その他有価証券 2,330,000

※1 21,330,000円-19,000,000円=2,330,000円

 問題文に「その他有価証券について、期首における洗替処理を行う」とあるので、前期末時価の合計額と取得原価の合計額との差額をその他有価証券評価差額金で適切に処理しましょう。

  • 前期末の時価合計:21,330,000円(=前期繰越)
    • A株式:4,800,000円
    • B株式:9,000,000円
    • C株式:2,500,000円
    • D債券:5,030,000円
  • 取得原価の合計:19,000,000円
    • A株式:4,000,000円
    • B株式:7,500,000円
    • C株式:2,500,000円
    • D債券:5,000,000円
  • その他有価証券評価差額金:21,330,000円-19,000,000円=2,330,000円

 また、満期保有目的債券については前期末に取得したばかりなので、E社債の取得原価(4,900,000円)がそのまま「前期繰越」の金額になります。

4月1日の勘定の記入状況

5月10日の取引

A株式の追加取得に関する仕訳
(借)その他有価証券 1,250,000 ※2
 (貸)普通預金 1,250,000

※2 @2,500円×500株=1,250,000円

5月10日の勘定の記入状況

7月15日の取引

B株式の追加取得に関する仕訳
(借)その他有価証券 3,200,000 ※3
 (貸)普通預金 3,200,000

※3 @3,200円×1,000株=3,200,000円

7月15日の勘定の記入状況

9月30日の取引

債券の利払いに関する仕訳
(借)普通預金 17,500 ※4
 (貸)有価証券利息 17,500

※4 10,000円+7,500円=17,500円

 9月30日の時点で保有している債券はD債券・E債券の2つです。両債券ともに利払日は年2回なので、ここでは4月1日から9月30日までの半年分の利息を計算しましょう。

  • 有価証券利息:10,000円+7,500円=17,500円
    • D債券:5,000,000円×0.4%×6か月/12か月=10,000円
    • E債券:5,000,000円×0.3%×6か月/12か月=7,500円

10月1日の取引

F債券の新規取得に関する仕訳
(借)満期保有目的債券 4,060,000
 (貸)普通預金 4,060,000

 額面金額よりも高い金額で取得している珍しいケースです。

10月1日の勘定の記入状況

11月20日の取引

B株式の売却に関する仕訳
(借)当座預金 1,700,000 ※5
 (貸)その他有価証券 1,337,500 ※6
 (貸)投資有価証券売却益 362,500 ※7

※5 @3,400円×500株=1,700,000円

※6 @2,675円×500株=1,337,500円

※7 1,700,000円-1,337,500円=362,500円(貸借差額)

 B株式は7月15日に追加取得しているので、まずは移動平均法により平均単価・売却原価を算定したうえで、売却代金との差額で投資有価証券売却損益の金額を求めましょう。

  • 投資有価証券売却損益:1,700,000円-1,337,500円=362,500円(売却益)
    • 平均単価:(7,500,000円+3,200,000円)÷(3,000株+1,000株)=@2,675円
    • 売却原価:@2,675円×500株=1,337,500円
    • 売却代金:@3,400円×500株=1,700,000円
11月20日の勘定の記入状況

12月31日の取引

D債券の売却に関する仕訳
(借)当座預金 2,600,000
 (貸)その他有価証券 2,500,000 ※8
 (貸)有価証券利息 2,500
 (貸)投資有価証券売却益 97,500 ※9

※8 5,000,000円×50%=2,500,000円

※9 2,597,500円-2,500,000円=97,500円(貸借差額)

 D債券の売却に関する仕訳を考えるさいは【利息の受取に関する仕訳】と【売却に関する仕訳】の2つに分けたほうが分かりやすいです。

 当座預金に入金された2,600,000円を、経過利息に関する2,500円と売却代金2,597,500円(=2,600,000円-2,500円)に切り分けて考えましょう。

仕訳①
(借)当座預金 2,500
 (貸)有価証券利息 2,500

 こちらは2,500円の有価証券利息を計上するだけです。

仕訳②
(借)当座預金 2,597,500円
 (貸)その他有価証券 2,500,000
 (貸)投資有価証券売却益 97,500

 11月20日の仕訳と同様にまずは売却原価を算定したうえで、売却代金との差額で投資有価証券売却損益の金額を求めましょう。

  • 投資有価証券売却損益:2,597,500円-2,500,000円=97,500円(売却益)
    • 売却原価:5,000,000円×50%=2,500,000円
    • 売却代金:2,597,500円

 上記の①②の仕訳をまとめると、D債券の売却に関する仕訳になります。

12月31日の勘定の記入状況

3月31日の取引

G株式の新規取得に関する仕訳
(借)その他有価証券 31,500,000
 (貸)普通預金 31,500,000
(借)子会社株式 31,500,000
 (貸)その他有価証券 31,500,000

 問題文に「いったんその他有価証券に計上後に子会社株式に振り替える」とあるので、いったん借方にその他有価証券を計上したうえで(※1本目の仕訳)、そのまま同額を子会社株式に振り替えます(※2本目の仕訳)。

3月31日の勘定の記入状況1
債券の利払いに関する仕訳
(借)普通預金 20,500 ※10
 (貸)有価証券利息 20,500

※10 5,000円+7,500円+8,000円=20,500円

 3月31日の時点で保有している債券はD債券・E債券・F債券の3つです。3つの債券ともに利払日は年2回なので、ここでは10月1日から3月31日までの半年分の利息を計算しましょう。

 なお、D債券については12月31日に50%を売却している点にご注意ください。

  • 有価証券利息:5,000円+7,500円+8,000円=20,500円
    • D債券:2,500,000円×0.4%×6か月/12か月=5,000円
    • E債券:5,000,000円×0.3%×6か月/12か月=7,500円
    • F債券:4,000,000円×0.4%×6か月/12か月=8,000円
株式の期末評価に関する仕訳
(借)その他有価証券 1,250,000 ※11
 (貸)その他有価証券評価差額金 1,250,000
(借)その他有価証券 2,887,500 ※12
 (貸)その他有価証券評価差額金 2,887,500
(借)その他有価証券 125,000円 ※13
 (貸)その他有価証券評価差額金 125,000

※11 (@2,600円-@2,100円)×2,500株=1,250,000円

※12 (@3,500円-@2,675円)×3,500株=2,887,500円

※13 (@1,050円-1,000円)×2,500口=125,000円

 A株式は帳簿価額と時価との差額でその他有価証券評価差額金の金額を求めましょう。

  • その他有価証券評価差額金:6,500,000円-5,250,000円=1,250,000円(貸方)
    • 帳簿価額:4,000,000円+1,250,000円=5,250,000円
    • 時価:@2,600円×(2,000株+500株)=6,500,000円

 B株式も帳簿価額と時価との差額でその他有価証券評価差額金の金額を求めますが、11月20日に一部を売却している点に注意しましょう。

  • その他有価証券評価差額金:12,250,000円-9,362,500円=2,887,500円(貸方)
    • 帳簿価額:7,500,000円+3,200,000円-1,337,500円=9,362,500円
    • 時価:@3,500円×(3,000株+1,000株-500株)=12,250,000円

 D債券も帳簿価額と時価との差額でその他有価証券評価差額金の金額を求めますが、12月31日に一部を売却している点に注意しましょう。

  • その他有価証券評価差額金:2,625,000円-2,500,000円=125,000円(貸方)
    • 帳簿価額:5,000,000円-2,500,000円=2,500,000円
    • 時価:2,500,000円×@1,050円/@1,000円=2,625,000円
債券の期末評価に関する仕訳
(借)満期保有目的債券 20,000 ※14
 (貸)有価証券利息 20,000
(借)有価証券利息 5,000 ※15
 (貸)満期保有目的債券 5,000

※14 (5,000,000円-4,900,000円)÷5年=20,000円

※15 (4,000,000円-4,060,000円)÷6年×6か月/12か月=▲5,000円

 満期保有目的債券であるE債券とF債券は、償却原価法を適用して帳簿価額の評価替えを行います。

 なお、F債券は当期の10月1日に取得しているので、取得日から決算日までの6か月分が適用の対象になります。うっかり1年で計算しないように気をつけましょう。

 また、F債券は額面金額よりも高い金額で債券を取得しているため、仕訳の貸借が通常とはになります。こちらもあわせてご注意ください。

  • E債券の償却額:(5,000,000円-4,900,000円)÷5年=20,000円
  • F債券の償却額:(4,000,000円-4,060,000円)÷6年×6か月/12か月=▲5,000円
3月31日の勘定の記入状況2

 最後に、満期保有目的債券勘定とその他有価証券勘定を締め切ります。貸借差額を計算し、各空欄に「3/31 次期繰越」と記入しましょう。

3月31日の勘定の記入状況3

問2 有価証券利息と投資有価証券売却損益の金額

 上記の各仕訳から、有価証券利息と投資有価証券売却損益の金額を集計します。

  • 有価証券利息:17,500円+2,500円+20,500円+20,000円-5,000円=55,500円
  • 投資有価証券売却:362,500円+97,500円=460,000円

問3 のれんの金額

 問題資料4の「G社の20×2年3月31日現在の純資産は、資本金 ¥ 24,000,000、利益準備金 ¥ 6,000,000、繰越利益剰余金 ¥ 21,000,000 であった」から、のれんの金額を計算しましょう。

連結会計の開始仕訳
(借)資本金 24,000,000
(借)資本準備金 6,000,000
(借)繰越利益剰余金 21,000,000
(借)のれん 900,000 ※17
 (貸)子会社株式 31,500,000
 (貸)非支配株主持分 20,400,000 ※16

※16 (24,000,000円+6,000,000円+21,000,000円)×40%=20,400,000円

※17 31,500,000円+20,400,000円-(24,000,000円+6,000,000円+21,000,000円)=900,000円(貸借差額)

 なお、問題文に「最長年数で償却する予定である」とあるので、のれんは20年間で均等償却することになりますが、実際に償却が始まるのは翌期(20×2年度)からになります。

 よって、のれんの償却に関する処理は不要です。上記の開始仕訳で計上した金額(900,000円)がそのまま20×2年3月31日の連結貸借対照表に計上されます。



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