第156回日商簿記検定2級 第1問(仕訳問題)の過去問分析

第1問 20点満点が狙える仕訳問題!…ですが、問2の仕入割戻がクセモノです。

第1問の難度アンケート結果

 第1問は今回も【仕訳問題】でした。

 5問とも普通~易しいレベルの難度でしたが、問2の「仕入割戻なのにうっかり仕入割引で処理してしまうトラップ」にひっかかって4点失ってしまった受験生がかなり多かったようです。

 受験生アンケートでは「普通ぐらいだった」という回答が一番多かったですが、第2問・第3問のことを考えるとなるべく多くの点数を稼ぎたいところです。目標点数は16点です。

問1 不渡手形

模範解答
(借)不渡手形 802,000 ※1
 (貸)当座預金 802,000

※1 800,000円+1,200円+800円=802,000円

 不渡手形に関する問題です。

 本問はまず、問題文の「かねて得意先から売掛金の決済のために受け取り、取引銀行で割り引いていた額面 ¥ 800,000 の約束手形が満期日に支払拒絶され、取引銀行から償還請求を受けた」から、手形の受取時・割引時に以下のような仕訳をしたことが分かります。

参考:手形受取時の仕訳
(借)受取手形 800,000
 (貸)売掛金 800,000
参考:手形割引時の仕訳
(借)現金など ×××
(借)手形売却損 ×××
 (貸)受取手形 800,000

 上記の仕訳を踏まえたうえで、問題文に「手形の額面金額に満期日以後の延滞利息 ¥ 1,200 および償還請求に伴うその他の費用 ¥ 800 を含めて小切手を振り出して支払うとともに、手形の振出人である得意先に対して、小切手で支払った延滞利息およびその他の費用を含む金額で手形の償還請求を行った」とあるので、不渡りとなった手形の額面金額だけでなく、延滞利息や償還請求にともなう費用も含めて不渡手形で処理します。

不渡手形の金額:800,000円+1,200円+800円=802,000円

 なお、手形受取時に借方に計上した受取手形は、割引時に同額を貸方に計上してすでに残高がゼロになっているため、不渡時に金額を動かす必要はありません。

問2 仕入割戻

模範解答
(借)買掛金 1,800,000
 (貸)仕入 36,000 ※2
 (貸)当座預金 1,764,000 ※3

※2 1,800,000円×2%=36,000円

※3 1,800,000円-36,000円=1,764,000円(貸借差額)

 仕入割戻に関する問題です。

 問題文の「仕入先から同社の大口顧客にかかわる規定にもとづいて買掛金の2%の支払いを免除する旨の通知があった」から、仕入割戻を受けたことが分かります。

 なお、問題に列挙されている勘定科目の中に仕入がある(=仕入割戻がない)ので、支払免除額については仕入で処理すると判断します。

支払免除額:1,800,000円×2%=36,000円

  • 仕入割戻:大量購入による商品代金の一部免除・払戻
  • 仕入割引:早期返済による商品代金の一部免除・払戻

問3 税効果会計

模範解答
(借)繰延税金資産 3,000 ※4
 (貸)法人税等調整額 3,000

※4 500,000円×2%×30%=3,000円

 税効果会計に関する問題です。

 問題文に「税効果会計の適用にかかわる仕訳のみを解答すること」という指示があるので、以下の3ステップに当てはめて税効果会計に関する仕訳を考えましょう。

  1. 税効果の対象となる取引の仕訳を書く
  2. 損益項目の逆側に法人税等調整額を計上する
  3. 借方が空いている場合は繰延税金資産、貸方が空いている場合は繰延税金負債を計上する
ステップ1:税効果の対象となる取引の仕訳を書く
(借)貸倒引当金繰入 10,000
 (貸)貸倒引当金 10,000
ステップ2:損益項目(→貸倒引当金繰入)の逆側(→貸方)に法人税等調整額を計上する
 (貸)法人税等調整額 3,000
ステップ3:空いているほう(→借方)に繰延税金資産を計上する
(借)繰延税金資産 3,000
 (貸)法人税等調整額 3,000

問4 固定資産の滅失

模範解答
(借)建物減価償却累計額 11,520,000
(借)減価償却費 560,000 ※5
(借)未決算 11,920,000 ※6
 (貸)建物 24,000,000

※5 24,000,000円÷25年×7か月/12か月=560,000円

※6 24,000,000円-11,520,000円-560,000円=11,920,000円

 固定資産の滅失に関する問題です。

 保険をかけている固定資産が滅失した場合、滅失時の帳簿価額を火災未決算(未決算)に振り替えます。

 本問は、問題文の「×年10月31日、建物…が火災で焼失した。」から、建物が滅失したことが分かるので、焼失時の建物の帳簿価額を計算して火災未決算に振り替えましょう。

  • 取得原価:24,000,000円
  • 前期末までの減価償却累計額:11,520,000円
  • 当期の減価償却費:24,000,000円÷25年×7か月/12か月=560,000円
  • 焼失時の建物の帳簿価額:24,000,000円-11,520,000円-560,000円=11,920,000円

 なお、保険金額が焼失時の建物の帳簿価額(=火災未決算に振り替える金額)よりも低い場合、この時点で差額分の損失が確定するため、保守主義の観点から保険金の金額確定を待たずに差額分を火災損失で処理する必要があります。

 本問は保険金額(24,000,000円)のほうが焼失時の建物の帳簿価額(11,920,000円)よりも高いので、追加の処理は不要です。

参考:保険金額が10,000,000円だった場合の解答仕訳
(借)減価償却累計額 11,520,000
(借)減価償却費 560,000
(借)火災損失 1,920,000
(借)火災未決算 10,000,000
 (貸)建物 24,000,000

問5 株式申込証拠金

模範解答
(借)当座預金 30,000,000 ※7
 (貸)別段預金 30,000,000
(借)株式申込証拠金 30,000,000 ※7
 (貸)資本金 15,000,000 ※8
 (貸)資本準備金 15,000,000 ※8

※7 @50,000円×600株=30,000,000円

※8 30,000,000円÷2=15,000,000円

 株式申込証拠金に関する問題です。

 株式引受人から払い込まれたお金は、申込証拠金として別段預金に預け入れます。あえて別段預金を使うのは、株式引受人から一時的に預かっている(=自由に使えない)「払込金」と、自由に使える「各種預金」を明確に区別するためです。

申込証拠金=@50,000円×600株=30,000,000円

参考:申込証拠金の受取時の仕訳
(借)別段預金 30,000,000
 (貸)株式申込証拠金 30,000,000

 上記の仕訳を踏まえたうえで、払込期日の仕訳を考えましょう。

 問題文に「申込証拠金を資本金に充当し、別段預金を普通預金に預け替えた」「資本金には会社法が規定する最低額を組み入れることとする」とあるので、株式申込証拠金を資本金資本準備金に半分ずつ振り替えるとともに、別段預金を当座預金に振り替えます。

解答:払込期日の仕訳
(借)当座預金 30,000,000
 (貸)別段預金 30,000,000
(借)株式申込証拠金 30,000,000
 (貸)資本金 15,000,000
 (貸)資本準備金 15,000,000


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