第154回日商簿記検定3級 第5問(財務諸表)の過去問分析

第5問 貸借対照表と損益計算書の作成問題。耐用年数到来済みの固定資産が初登場!

第5問の難度アンケート結果

 第5問は【財務諸表】の作成問題でした。

 決算整理事項等1(振込手数料の処理)と決算整理事項等4(耐用年数到来済みの備品の取り扱い)は初めて出題される形でしたが、問題文に丁寧な指示が入っていたので、時間をかけてじっくり考えれば正答にたどり着けたはずです。

 難易度アンケートでは「かなり簡単だった」という回答が一番多かったものの、「普通ぐらいだった」「やや難しかった」という回答も多かったです。

解答手順

 本問は、問題資料(2)の決算整理事項等の各取引の仕訳を下書きしたうえで、各勘定の金額を集計して答案用紙の貸借対照表・損益計算書を完成しましょう。

決算整理事項等1(仮払金)

(借)仮受金 69,400
(借)支払手数料 600 ※1
 (貸)売掛金 70,000

※1 70,000円-69,400円=600円(貸借差額)

 問題文に「仮受金は、得意先からの売掛金 ¥ 70,000 の振込みであることが判明した」とあるので、売掛金(70,000円)の減少および仮受金(69,400円)の減少として処理します。

(借)仮受金 69,400
 (貸)売掛金 70,000

 貸借差額の600円(=70,000円-69,400円)については、問題文に「振込額と売掛金の差額は当社負担の振込手数料」とあるので、支払手数料で処理します。

決算整理事項等2(貸倒引当金の設定)

(借)貸倒引当金繰入 4,000 ※2
 (貸)貸倒引当金 4,000

※2 (770,000円-70,000円)×1%-3,000円=4,000円

 決算整理事項等1で売掛金が70,000円減少するので、売掛金の期末残高は700,000円(=770,000円-70,000円)になります。

決算整理事項等3(売上原価の算定)

(借)仕入 440,000 ※3
 (貸)繰越商品 440,000
(借)繰越商品 400,000 ※4
 (貸)仕入 400,000

※3 期首商品棚卸高

※4 期末商品棚卸高

 毎度おなじみの「仕入・繰越商品・繰越商品・仕入(しーくりくりしー)」の仕訳ですが、解答にあたって仕訳を考える必要はありません。

 以下のような商品ボックスをササッと書いて、解答に必要な売上原価および期末商品棚卸高の金額を把握しましょう。

商品ボックスの下書き
商品ボックスの下書き
  • 期首商品棚卸高:440,000円(問題資料1の「繰越商品 440,000」より)
  • 当期商品仕入高:6,500,000円(問題資料1の「仕入 6,500,000」より)
  • 期末商品棚卸高:400,000円(問題資料2の「期末商品棚卸高は ¥ 400,000 」より)
    • 売上原価:440,000円+6,500,000円-400,000円=6,540,000円

 なお、(本問では問われていませんが)期末商品棚卸高は貸借対照表では商品という科目で表示します。繰越商品ではありませんのでご注意ください。

決算整理事項等4(減価償却)

(借)減価償却費 200,000 ※7
 (貸)建物減価償却累計額 100,000 ※5
 (貸)備品減価償却累計額 100,000 ※6

※5 2,200,000円÷22年=100,000円

※6 400,000円÷4年=100,000円

※7 100,000円+100,000円=200,000円

 建物については、取得原価2,200,000円を耐用年数22年で割って今年度の減価償却費を求めましょう。

 備品については、問題文に「決算整理前残高試算表の備品 ¥ 600,000 のうち、¥ 200,000 は昨年度にすでに耐用年数をむかえて減価償却を終了している。」から、前期末までに以下のような仕訳をしたことが分かります。

 なお、仕訳の金額が200,000円ではなく199,999円なのは、備忘価額として1円を残す必要があるからです(※この処理の詳細は2級以上で勉強します)。

参考:減価償却を終了した備品の前期末までの仕訳(※説明の便宜上、仕訳を1本にまとめています)
(借)減価償却費 199,999
 (貸)備品減価償却累計額 199,999

 上記の仕訳を踏まえたうえで、問題文に「今年度は備品に関して残りの ¥ 400,000 についてのみ減価償却を行う」とあるので、取得原価400,000円を耐用年数4年で割って今年度の減価償却費を求めましょう。

  • 備品200,000円:すでに償却済み(※今年度の処理は不要)
  • 備品400,000円:今年度の減価償却を行う

決算整理事項等5(消費税)

(借)仮受消費税 1,001,000
 (貸)仮払消費税 650,000
 (貸)未払消費税 351,000 ※8

※8 1,001,000円-650,000円=351,000円(貸借差額)

 貸方に計上されている仮受消費税1,001,000円と、借方に計上されている仮払消費税650,000円を相殺し、貸借差額を未払消費税で処理します。

決算整理事項等6(社会保険料)

(借)法定福利費 10,000
 (貸)未払費用 10,000

 社会保険料の会社負担分は法定福利費で処理します。

決算整理事項等7(利息の未払い)

(借)前払費用 40,000 ※9
 (貸)支払利息 40,000

※9 1,500,000円×4%×8か月/12か月=40,000円

 問題文に「借入時にすべての利息が差し引かれた金額を受け取っている」とあるので、まずは借入時の仕訳をイメージしましょう。

参考:借入時の仕訳
(借)支払利息 60,000 ※10
(借)現金など 1,440,000 ※11
 (貸)借入金 1,500,000

※10 1,500,000円×4%=60,000円

※11 1,500,000円-60,000円=1,440,000円(貸借差額)

 上記の仕訳を踏まえたうえで、解答仕訳を考えましょう。

 借入時に支払った1年分の利息のうち、当期にかかる分は4か月(12月1日~翌3月31日)で、次期にかかる分は8か月(翌4月1日~11月30日)なので、決算において8か月分の利息を前払費用に振り替えます。

決算整理事項等8(法人税等)

(借)法人税等 200,000
 (貸)未払法人税等 200,000

 問題文に「当期に中間納付はしていない」とあるので、未払額200,000円がそのまま当期の法人税等の金額になります。

参考:出題の意図

【出題の意図】
 今回のポイントは、売掛金の振込みにかかる手数料の取り扱いと減価償却です。銀行で振込みによる受払いをする際、振込手数料を支払うのは振込側ですが、その負担は振込側と受取側の2つの場合があります。そして、どちらが負担するかは取引当事者間での取り決めにより定められ、簿記上は負担する側の費用として処理します。
 本問では、得意先は手数料込みで70,000円を銀行に支払い、手数料が差し引かれた残額が当社の銀行口座へ入金されています。そのため、売掛金の金額と実際の入金額に差異が生じ、これを当社の費用として処理します。
 なお、問題のレベルが上がりすぎることを避けるために、手数料に対して消費税が課されない扱いとしていますが、一般的には課税対象となるため、留意してください。
 減価償却については、以前も減価償却が終了しているケースを出題していますが、本問は一部の備品のみ終了しています。実際の企業では複数の備品を所有していますので、期中取得や売却があった時と同様に、すべて同じ条件で減価償却を行わないように注意が必要です。
 他に、消費税や社会保険料の未払い計上は今年度の試験から新しく3級に加わった論点となるため、フォローをしてください。
引用元:出題の意図・講評(日本商工会議所)


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