第154回日商簿記検定2級 第2問(商品売買)の過去問分析

第2問 商品売買に関する勘定記入の問題。取引のつど在庫状況を確認しましょう!

第2問の難度アンケート結果

 第2問は【商品売買】に関する問題でした。

 外貨建取引が絡んでいない分、各取引の難度は高くないですが、単価の異なる商品がたくさん出てくるので在庫状況を整理して解き進める必要があります。下書きを工夫して効率よく解きましょう。

 受験生アンケートでは、50%弱の方が「かなり簡単だった」「やや簡単だった」と回答しています。

問1 売掛金勘定と商品勘定の記入

 問題資料から2019年4月の各取引の仕訳を考えましょう。

 なお、本問は常に商品の数量・単価を把握しておく必要があるため、下書きをするさいは仕訳の右側にその日の商品の在庫情報をあわせて記入すると分かりやすいです。

4月1日の仕訳

仕訳なし

 問題文の「商品の期首棚卸高は…総額 ¥ 1,500,000 である」から、商品勘定の前期繰越の金額が1,500,000円であることが分かります。

  • 1日時点の商品の在庫
    • 500個(@3,000円)
第2問の下書き1

4月4日の仕訳

(借)商品 620,000 ※1
 (貸)前払金 150,000
 (貸)買掛金 470,000 ※2

※1 @3,100円×200個=620,000円

※2 620,000円-150,000円=470,000円(貸借差額)

 問題文に「商品売買取引の記帳には「販売のつど売上原価勘定に振り替える方法」を用いている」とあるので、仕入れた商品200個は商品の増加として処理します。

 また、問題文に「払出単価の計算には先入先出法を用い」とあるので、先入先出法による場合の商品有高帳のように商品を古い順に並べて在庫を管理しましょう。

  • 4日時点の商品の在庫
    • 500個(@3,000円)
    • 200個(@3,100円)
第2問の下書き2

4月5日の仕訳

(借)買掛金 155,000 ※3
 (貸)商品 155,000

※3 @3,100円×50個=155,000円

 4日に仕入れた商品200個のうち50個を返品しているので、50個分の商品買掛金を相殺します。

  • 5日時点の商品の在庫
    • 500個(@3,000円)
    • 150個(@3,100円)
第2問の下書き3

4月8日の仕訳

(借)売掛金 2,700,000 ※4
 (貸)売上 2,700,000
(借)売上原価 1,350,000 ※5
 (貸)商品 1,350,000

※4 @6,000円×450個=2,700,000円

※5 @3,000円×450個=1,350,000円

 問題文に「商品売買取引の記帳には「販売のつど売上原価勘定に振り替える方法」を用いている」とあるので、通常の掛売上を計上するとともに、販売した450個分の原価を商品から売上原価に振り替えます。

 本問は先入先出法を採用しているので、前期から繰り越されてきた450個を払い出したと仮定して金額を計算しましょう。

  • 8日時点の商品の在庫
    • 50個(@3,000円)
    • 150個(@3,100円)
第2問の下書き4

4月10日の仕訳

(借)商品 640,000 ※6
 (貸)受取手形 640,000

※6 @3,200円×200個=640,000円

 仕入代金として他人振出の約束手形を裏書譲渡しているので、受取手形の減少として処理します。うっかり支払手形で処理しないように気をつけましょう。

  • 10日時点の商品の在庫
    • 50個(@3,000円)
    • 150個(@3,100円)
    • 200個(@3,200円)
第2問の下書き5

4月12日の仕訳

(借)売上割引 2,700 ※7
(借)当座預金 2,697,300 ※8
 (貸)売掛金 2,700,000

※7 2,700,000円×0.1%=2,700円

※8 2,700,000円-2,700円=2,697,300円(貸借差額)

 売上割引の処理が問われています。

 問題文(8日)に「この掛けの代金には、1週間以内に支払えば、代金の0.1%を割り引くという条件が付されている」とあるので、売掛金2,700,000円に0.1%を乗じて売上割引の金額を計算し、残額を当座預金の減少として処理しましょう。

 なお、売上割引を行っても商品の在庫は変動しないため、10日時点の商品の在庫がそのまま12日時点の在庫になります。

  • 12日時点の商品の在庫
    • 50個(@3,000円)
    • 150個(@3,100円)
    • 200個(@3,200円)
第2問の下書き6

4月15日の仕訳

(借)商品 990,000 ※9
 (貸)買掛金 990,000

※9 @3,300円×300個=990,000円

 通常の掛け仕入れの処理です。

  • 15日時点の商品の在庫
    • 50個(@3,000円)
    • 150個(@3,100円)
    • 200個(@3,200円)
    • 300個(@3,300円)
第2問の下書き7

4月18日の仕訳

(借)売掛金 2,646,000 ※10
 (貸)売上 2,646,000
(借)売上原価 1,321,000 ※11
 (貸)商品 1,321,000
(借)発送費 8,000
 (貸)当座預金 8,000

※10 @6,300円×420個=2,646,000円

※11 @3,000円×50個+@3,100円×150個+@3,200円×200個+@3,300円×20個=1,321,000円

 通常の掛売上を計上するとともに、販売した420個分の原価を商品から売上原価に振り替えます。

 本問は先入先出法を採用しているので、4日に仕入れた50個、5日に仕入れた150個、10日に仕入れた200個、15日に仕入れた300個のうちの20個を払い出したと仮定して金額を計算しましょう。

  • 18日時点の商品の在庫
    • 280個(@3,300円)
第2問の下書き8

4月22日の仕訳

(借)電子記録債権 800,000
 (貸)売掛金 800,000

 売掛金を電子記録債権に振り替えます。なお、商品の在庫に変動はありません。

  • 22日時点の商品の在庫
    • 280個(@3,300円)
第2問の下書き9

4月26日の仕訳

(借)売上 10,000
 (貸)当座預金 10,000

 売上割戻の処理が問われています。

 得意先の当座預金口座に振り込んだ10,000円だけ売上を減額します。

 なお、売上割戻を行っても商品の在庫は変動しないため、22日時点の商品の在庫がそのまま26日時点の在庫になります。

  • 26日時点の商品の在庫
    • 280個(@3,300円)

4月30日の仕訳

仕訳なし

 月次の決算整理の処理が問われています。

 本問は「販売のつど売上原価勘定に振り替える方法」を採用しているため、決算において売上原価を別途算定する必要はありません。

 また、30日時点の商品の在庫(280個)と、問題文の「実地棚卸数量は280個」から、棚卸減耗損が発生していないことが分かります。

 さらに、問題文の「正味売却価額は @¥ 5,500 であった」から、商品評価損も発生していないことが分かるため、30日は仕訳なしになります。

  • 30日時点の商品の在庫
    • 280個(@3,300円)
第2問の下書き10

問2 4月の純売上高・売上原価

 4月の純売上高は、4月の総売上高から26日に行った売上割戻を差し引いた金額になります。うっかり12日に行った売上割引を差し引かないように気をつけてください。

  • 損益計算書上の表示
    • 売上割戻:売上高から直接控除する
    • 売上割引:営業外費用に計上する

 一方、売上原価は8日と18日に商品から売上原価に振り替えた金額の合計額になります。

  • 4月の総売上高:2,700,000円(8日)+2,646,000円(18日)=5,346,000円
  • 4月の割戻し高:10,000円(26日)
  • 4月の純売上高:5,346,000円-10,000円=5,336,000円
  • 4月の売上原価:1,350,000円(8日)+1,321,000円(18日)=2,671,000円

参考:出題の意図

【出題の意図】
 本問は、商品売買および関連取引に関する資料に基づいて、総勘定元帳の売掛金勘定と商品勘定への記入および純売上高と売上原価の計算を求める問題です。2級の商業簿記としては、基本的で標準的な内容の問題です。
 出題のねらいは、払出単価の計算方法である先入先出法と商品売買取引の記帳方法である「販売のつど売上原価勘定に振り替える方法」を理解しているか、また関連取引も含め、商品売買取引の処理と記帳を正しく行う知識と能力を修得しているかということを確かめることにあります。これらのことが十分に理解・修得できていれば、純売上高や売上原価の計算も正しく答えることができるはずです。
 また、簿記の学習では、総勘定元帳の勘定記入や英米式決算法による勘定締切りの手続などについても正しく理解しておくことが大切ですので、本問では備考欄への記入の仕方を含め、この点を確かめることもねらいとしています。
引用元:出題の意図・講評(日本商工会議所)

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