第5問 難度・量ともに平均レベルの精算表作成問題。問2にはちょっとびっくり。
第5問は【精算表】の作成問題でした。
難度・ボリュームともに平均レベル&特に難しい処理もないため、きちんと時間をかけて丁寧に解答すれば高得点が狙える問題です。
また、問2という形で決算整理後の「建物の帳簿価額」が問われました。このような形で出題されるのはおそらく初めてですが、取得原価から累計額を差し引いて金額を計算するだけです。
問1 精算表の作成
決算整理事項等①(未記帳取引)
決算整理事項等②(未記帳取引)
決算整理事項等③(現金過不足の処理)
決算整理事項等④(当座借越の振り替え)
決算整理事項等⑤(貸倒引当金の設定)
決算整理事項等⑥(売上原価の計算)
決算整理事項等⑦(減価償却)
決算整理事項等⑧(費用の未払い)
決算整理事項等⑨(費用の前払い)
問2 決算整理後の建物の帳簿価額
問1 精算表の作成
資料の[決算整理事項等]の全取引の仕訳を下書用紙に書いたうえで、それらを集計して答案用紙の精算表の修正記入欄に記入し、損益計算書欄と貸借対照表欄を完成させます。
仕訳を頭の中で考えて、そのまま答案用紙の修正記入欄に書きこんでいくという上級テクニックもありますが、3級受験時にマスターするのはかなり大変なので、無理に挑戦する必要はありません。
まずはひとつひとつの取引を確実に処理することを最優先にして取り組んでください。
決算整理事項等①
(貸)売掛金 150,000
売掛金を普通預金に振り替えます。なお、この売掛金の減少は貸倒引当金の繰入額に影響するので、決算整理事項等⑤で金額を計算するさいに気をつけましょう。
決算整理事項等②
(貸)仮払金 420,000
仮払金を備品に振り替えます。なお、この備品は減価償却の対象になるので、決算整理事項等⑦で金額を計算するさいに気をつけましょう。
決算整理事項等③
(借)雑損 400 ※1
(貸)現金過不足 3,200
※1 3,200円-2,800円=400円
期中に現金過不足を計上した場合の決算処理は、以下の3ステップで機械的に処理しましょう。
- 現金過不足の残高をゼロにする
- 原因が判明したものを正しく処理する
- 貸借差額を雑損または雑益で処理する
(貸)現金過不足 3,200
(借)雑損 400
(貸)現金過不足 3,200
決算整理事項等④
(貸)当座借越 468,000
貸方残の当座預金を当座借越に振り替えます。なお、問題によっては当座借越ではなく借入金に振り替えるケースもあります。問題の指示に従って処理しましょう。
決算整理事項等⑤
(貸)貸倒引当金 6,000
※2 (880,000円-150,000円)×2%-8,600円=6,000円
繰入額を計算するさいは、決算整理事項等①の売掛金の減少を忘れないように気をつけましょう。
決算整理事項等⑥
(貸)繰越商品 697,000
(借)繰越商品 568,000
(貸)仕入 568,000
毎度おなじみの「仕入・繰商・繰商・仕入(通称:しーくりくりしー)」の仕訳です。
売上原価の行で計算する「売上原価・繰越商品・売上原価・仕入・繰越商品・売上原価(通称:うくうしくう)」と一緒に語呂で押さえておきましょう。
決算整理事項等⑦
(貸)建物減価償却累計額 120,000 ※3
(貸)備品減価償却累計額 107,000 ※4
※3 3,600,000円÷30年=120,000円
※4 500,000円÷5年+420,000円×1か月/60か月=107,000円
※5 120,000円+107,000円=227,000円
備品の減価償却費を計算するさいは、決算整理事項等②で振り替えた備品420,000円の月割計算(1か月分)を忘れないように気をつけましょう。
決算整理事項等⑧
(貸)未払利息 12,000
※6 1,200,000円×3%×4か月/12か月=12,000円
当期の経過期間にかかる利息(12月から3月までの4か月分)を未払計上します。
決算整理事項等⑨
(貸)保険料 30,000
前払分30,000円を保険料から前払保険料に振り替えます。
問2 決算整理後の建物の帳簿価額
取得原価から建物減価償却累計額を差し引いて金額を求めましょう。
決算整理後の建物の帳簿価額=3,600,000円-(1,180,000円+120,000円)=2,300,000円