第2問 家賃に関する勘定記入の問題。P/L科目とB/S科目の期末処理の違いに注目!
第2問は【勘定記入】に関する問題です。
受取家賃・前受家賃に関する一連の処理を問う問題ですが、物件が2種類あって期中に家賃が10%値上げされていたり、多くの受験生が苦手とする再振替仕訳や決算振替仕訳が絡んでいたので、やや難しく感じた方が多かったようです。
難易度アンケートでも、50%以上の方が「やや難しかった」「難しかった」と回答しています。
模範解答
問題資料の2つの勘定
×7年4月1日の仕訳
×7年8月1日の仕訳
×7年9月1日の仕訳
×8年2月1日の仕訳
×8年3月31日の仕訳(決算整理仕訳)
×8年3月31日の仕訳(決算振替仕訳&勘定の締め切り)
模範解答
① | ② | ③ | ④ | ⑤ |
---|---|---|---|---|
受取 | 400,000 | 1,560,000 | 次期繰越 | 1,090,000 |
問題資料の2つの勘定
本問は、問題資料の2つの勘定の科目名が空欄になっているため、解答にあたってまず科目名を記入する必要があります。
受取家賃・前受家賃のうち、前期から繰り越されてくるのは前受家賃なので、「4/1 前期繰越」が記入されている方が前受家賃の勘定であると判断します。
- 前期末の処理
- 受取家賃(収益):P/L科目なので貸借差額を損益に振り替える(=次期に繰り越さない)
- 前受家賃(負債):B/S科目なので貸借差額を次期に繰り越す
×7年4月1日の仕訳
問題文の「前期決算日に物件Aに対する今年度4月から7月までの前受家賃を計上していた」から、前期末(×6年3月31日)において物件Aの4か月分の家賃を受取家賃から前受家賃に振り替えたことが分かります。
4か月分の家賃=@100,000円×4か月=400,000円
(貸)前受家賃 400,000
上記の仕訳を踏まえたうえで、問題文に「再振替仕訳を行った」とあるので、前期末の決算整理仕訳の逆仕訳を切ります。
(貸)受取家賃 400,000
×7年8月1日の仕訳
物件Aの半年分の家賃を収益計上します。
6か月分の家賃=@100,000円×6か月=600,000円
(貸)受取家賃 600,000
×7年9月1日の仕訳
物件Bの1年分(12か月分)の家賃を収益計上します。
1年分の家賃=@130,000円×12か月=1,560,000円
(貸)受取家賃 1,560,000
×8年2月1日の仕訳
物件Aのの半年分の家賃を収益計上します。なお、問題文の「今回から1か月分の家賃は ¥ 110,000 に値上げしている」という指示を読み落とさないように気をつけましょう。
6か月分の家賃=@110,000円×6か月=660,000円
(貸)受取家賃 660,000
×8年3月31日の仕訳(決算整理仕訳)
×8年2月1日に受け取った物件Aの向こう半年分の家賃のうち、×8年4月から7月までの4か月分は次期に計上すべき収益なので、決算において4か月分を受取家賃から前受家賃に振り替えます。
- 2月分~3月分(2か月分):当期に計上すべき収益→受取家賃のままでOK
- 4月分~7月分(4か月分):次期に計上すべき収益→受取家賃を前受家賃に振り替える
4か月分の家賃=@110,000円×4か月=440,000円
同様に、×7年9月1日に受け取った物件Bの向こう1年分の家賃のうち、×8年4月から8月までの5か月分は次期に計上すべき収益なので、決算において5か月分を受取家賃から前受家賃に振り替えます。
- 9月分~3月分(7か月分):当期に計上すべき収益→受取家賃のままでOK
- 4月分~8月分(5か月分):次期に計上すべき収益→受取家賃を前受家賃に振り替える
5か月分の家賃=@130,000円×5か月=650,000円
(貸)前受家賃 1,090,000
※1 440,000円+650,000円=1,090,000円
×8年3月31日の仕訳(決算振替仕訳&帳簿の締め切り)
受取家賃勘定の貸借差額を損益に振り替え、勘定を締め切ります。
また、前受家賃勘定の貸借差額は、勘定内の「4/1 前期繰越 400,000」にあわせて「3/31 次期繰越 1,090,000」と記入して帳簿を締め切りましょう。
(貸)損益 2,130,000