第153回日商簿記検定3級 第1問(仕訳問題)の過去問分析

第1問 簡単な仕訳問題。ケアレスミスに気をつけて20点満点を狙いましょう!

第1問の難度アンケート結果

 第1問は今回も【仕訳問題】でした。

 問1の「貯蔵品の決算処理」と問2の「社会保険料の納付」が新論点からの出題でした。また、問5の「固定資産の購入」では、証ひょうの読み取り形式の問題が初めて出題されました。

 いずれの問題にも丁寧な指示が入っていたので、初見でもじゅうぶん対応できたと思います。難易度アンケートでも、50%以上の受験生が「かなり簡単だった」「やや簡単だった」と回答しています。

問1 貯蔵品の決算処理

模範解答
(借)貯蔵品 10,820 ※1
 (貸)租税公課 10,000
 (貸)通信費 820

※1 10,000円+820円=10,820円(貸借差額)

 貯蔵品の決算処理に関する問題です。

 収入印紙を購入した場合は、購入代金の全額を租税公課で処理します。また、郵便切手やハガキを購入した場合は、購入代金の全額を通信費で処理します。

 本問は、問題文に「収入印紙 ¥ 30,000、郵便切手 ¥ 3,000 を購入し、いずれも費用として処理していた」とあるので、まず購入時の仕訳をイメージしてみましょう。

参考:購入時の仕訳
(借)租税公課 30,000
(借)通信費 3,000
 (貸)現金など 33,000

 上記の仕訳を踏まえたうえで、期末において未使用分があることが判明したため、未使用分の租税公課(10,000円)および通信費(820円)を貯蔵品に振り替えます。

解答:決算整理仕訳
(借)貯蔵品 10,820
 (貸)租税公課 10,000
 (貸)通信費 820

 なお、期末において未使用分を貯蔵品に振り替えた場合、翌年度の期首において再振替仕訳(決算整理仕訳の逆仕訳)を行います。参考までに仕訳をご確認ください。

参考:翌年度の再振替仕訳
(借)租税公課 10,000
(借)通信費 820
 (貸)貯蔵品 10,820

問2 社会保険料の納付

模範解答
(借)社会保険料預り金 45,000
(借)法定福利費 45,000 ※2
 (貸)普通預金 90,000

※2 90,000円-45,000円=45,000円(貸借差額)

 社会保険料の納付に関する問題です。

 従業員の給料から天引きした健康保険や厚生年金などの社会保険料を納付するさいには、従業員負担額だけでなく同額の会社負担額もあわせて納付します。いわゆる「労使折半」です。

  • 広義の社会保険
    • 狭義の社会保険(健康保険や厚生年金、介護保険)←労使折半
    • 労働保険(雇用保険や労災保険)

 本問ではこの仕組みの処理が問われていますが、社会保険の詳しい仕組みや細かいルールなどを覚える必要はありません。

 健康保険や厚生年金などの社会保険料を納付するさいに従業員負担分を(社会保険料)預り金の減少として処理するとともに、同額の会社負担分を法定福利費で処理することを押さえておきましょう。

  • 社会保険料の納付時の仕訳
    • 従業員負担分(50%):(社会保険料)預り金の減少として処理
    • 会社負担分(50%):法定福利費で処理

 なお、本問は問題に列挙されている勘定科目の中に社会保険料預り金がある(預り金がない)ので、社会保険料預り金で処理すると判断します。うっかり預り金で処理しないように気をつけましょう。

参考:給料支給時の仕訳
(借)給料 -
 (貸)社会保険料預り金 45,000
 (貸)普通預金など -
解答:納付時の仕訳
(借)社会保険料預り金 45,000
(借)法定福利費 45,000
 (貸)普通預金 90,000

問3 売上取引

模範解答
(借)前受金 600,000
(借)売掛金 2,420,000 ※3
 (貸)売上 3,000,000
 (貸)現金 20,000

※3 (3,000,000円-600,000円)+20,000円=2,420,000円

 売上取引に関する問題です。

 本問は、取引を【売上に関する取引】【先方負担の発送費に関する取引】の2つに分けて考えましょう。

 問題文に「商品 ¥ 3,000,000 を引き渡し、受注したときに手付金として受け取っていた ¥ 600,000 を差し引いた金額を掛けとした」とあるので、手付金受取時に貸方に計上した前受金売上に振り替えるとともに、残額を売掛金の増加として処理します。

参考:手付金受取時の仕訳
(借)現金など 600,000
 (貸)前受金 600,000
解答①(売上に関する取引)
(借)前受金 600,000
(借)売掛金 2,400,000
 (貸)売上 3,000,000

 商品の発送費や配送費用など、商品を売り上げたさいに発生する費用(付随費用)を売上諸掛りといいます。

 本問は、問題文の「先方負担の発送費 ¥ 20,000 を現金で支払い」から、先方(得意先)負担の売上諸掛りを立て替えて支払ったことが分かります。

 なお、得意先負担の売上諸掛りには「立替金で処理」と「売掛金に含めて処理」の2パターンの処理方法がありますが、問題文に「これを掛代金に含めることとした」とあるので、売掛金に含めて処理します。

  • 仕入諸掛り
    • 当社負担:仕入原価に含めて処理
    • 仕入先負担:立替金で処理or買掛金から差し引いて処理
  • 売上諸掛り
    • 当社負担:発送費などで費用処理
    • 得意先負担:立替金で処理or売掛金に含めて処理
解答②(先方負担の発送費に関する取引)
(借)売掛金 20,000
 (貸)現金 20,000

 以上、①②の仕訳をまとめると解答仕訳になります。

問4 借入金の返済

模範解答
(借)借入金 2,000,000
(借)支払利息 18,000 ※4
 (貸)当座預金 2,018,000 ※5

※4 2,000,000円×2.19%×150日/365日=18,000円

※5 2,000,000円+18,000円=2,018,000円

 借入金の返済に関する問題です。

 本問は、取引を【元本に関する取引】【利息に関する取引】の2つに分けて考えましょう。

 問題文に「取引銀行から借り入れていた ¥ 2,000,000 を…当座預金口座から返済した」とあるので、当座預金の減少および借入金の減少として処理します。

解答①(元本に関する取引)
(借)借入金 2,000,000
 (貸)当座預金 2,000,000

 問題文に「借入期間は150日であった」「利率は年2.19%」「利息は1年を365日として日割計算する」とあるので、借入期間にかかる利息を日割りで計算して支払利息で処理します。

支払利息:2,000,000円×2.19%×150日/365日=18,000円

解答②(利息に関する取引)
(借)支払利息 18,000
 (貸)当座預金 18,000

 以上、①②の仕訳をまとめると解答仕訳になります。

問5 固定資産の購入

模範解答
(借)備品 2,130,000 ※6
 (貸)未払金 2,130,000

※6 2,000,000円+30,000円+100,000円=2,130,000円

 固定資産の購入に関する問題です。

 本問は、取引を【備品の購入に関する取引】【配送料・据付費に関する取引】の2つに分けて考えましょう。

 問題資料に「オフィスデスクセット、数量:1、金額:¥ 2,000,000」「代金は後日支払うこととした」とあるので、購入代価2,000,000円を備品の増加および未払金の増加として処理します。

解答①(備品の購入に関する取引)
(借)備品 2,000,000
 (貸)未払金 2,000,000

 配送料や据付費(設置費用)、売買手数料など、固定資産を購入するさいに発生する費用(付随費用)は取得原価に含めて処理します。

固定資産の取得原価:購入代価+付随費用

 本問は、問題資料に「配送料 ¥ 30,000」「据付費 ¥ 100,000」とあるので、配送料と据付費を備品の取得原価に含めて処理します。

付随費用=30,000円+100,000円=130,000円

解答②(配送料・据付費に関する取引)
(借)備品 130,000
 (貸)未払金 130,000

 以上、①②の仕訳をまとめると解答仕訳になります。



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