第3問 オーソドックスな試算表作成問題。T勘定を使ってサクッと解きましょう。
第3問は【残高試算表】の作成問題です。
ややボリュームが大きいものの、ひとつひとつの処理は難しくないので、きちんと時間をかけて丁寧に解答すれば高得点が狙える問題です。
難易度アンケートでも、約70%の受験生が「かなり簡単だった」「やや簡単だった」と回答しています。初見でも8割以上(24点以上)は取りたい問題です。
解答方法について
試算表の解答方法は「①全仕訳を下書きしたうえで集計するオーソドックスな方法」と「②下書用紙にT勘定を設定して解く方法」の2種類があります。
本問は、問題資料2が日付別で与えられているため、二重仕訳を考慮する必要がありません。よって、②のT勘定を使って解くことをおすすめします。
- T勘定を使って解く方法のメリット
- マスターすれば早く解ける
- 集計もれが減る(=ケアレスミスが減る)
- なんかカッコいい(意外と大事)
- T勘定を使って解く方法のデメリット
- 慣れるまでは逆に時間がかかる
T勘定を使って解く方法は、頭の中で仕訳を考えて各勘定に直接金額を入れていく形になるので、慣れるまでは時間がかかってしまいますが、一度マスターすれば大きな武器になります。
これから勉強される方はぜひ「仕訳を書かずにT勘定を使って解く方法」をマスターしてください。
たまに、仕訳を全て下書きしたうえでT勘定を作って解いている方がいます。T勘定に慣れるまではこの方法でも構いませんが、最終的には頭の中で仕訳を考えて各勘定に直接金額を入れていく形に切り替えてください。
T勘定を使って解く方法の解答手順
頻出する8勘定(現金・当座預金・受取手形・クレジット売掛金・売上・支払手形・買掛金・仕入)についてT勘定を設定して集計しましょう。その他の勘定科目は「その他」勘定に記入・集計します。
各勘定の位置に決まりはありませんが、下書きを定型化するために毎回同じ場所に書くことをおすすめします。私の場合、下書き用紙を横向きにして4等分し、以下のように書くと決めています。
- 一番左の列:現金・当座預金・普通預金
- 左から2番めの列:受取手形・(クレジット)売掛金・売上
- 右から2番めの列:支払手形・買掛金・仕入
- 一番右の列:その他

次に、前月末(×1年8月31日)時点の各勘定の「借方に計上されている金額」または「貸方に計上されている金額」を記入します。金額自体は、問題資料1の残高試算表からひっぱってくるだけです。

前月末=当月初の金額を記入したら、問題資料2の各日の取引を頭の中で仕訳して、8つの勘定+その他勘定に記入していきます(※難しい処理は一度、仕訳を下書きしてから記入してもOKです)。
なお、「その他」勘定に勘定科目を記入するさいは、うり(受取利息)やして(支払手数料)のように勘定科目を可能なかぎり省略してスピードアップを図りましょう。
簿記検定ナビでは、勘定科目の省略パターン一覧表ページで勘定科目の短縮例などをまとめています。興味のある方は一度ご確認ください。

最後に8つの勘定を締め切って、その他勘定の金額とともに答案用紙に記入します。
本問は残高試算表を作成する問題なので、各勘定を締め切るさいには借方残高または貸方残高のみを計算しましょう(※借方合計・貸方合計は不要です)。
なお、「その他」勘定は締め切り不要です。問題資料1の残高試算表の金額に、「その他」勘定に計上した9月中の取引の金額を加減算して、9月30日の金額を求めましょう。

参考・×1年9月中の取引の仕訳
(貸)貸付金 300,000
(貸)受取利息 3,000 ※1
※1 300,000円×4%×3か月/12か月=3,000円
※2 300,000円+3,000円=303,000円(貸借差額)
問題の指示に従って、貸し付けにかかる利息を月割りで計算しましょう。
(貸)前払金 75,000
(貸)買掛金 165,000 ※3
※3 240,000円-75,000円=165,000円(貸借差額)
(借)支払手数料 24,000 ※4
(貸)売上 600,000
※4 600,000円×4%=24,000円
※5 600,000円-24,000円=576,000円(貸借差額)
クレジット販売は先に信販会社に支払う手数料の金額を計算し、貸借差額でクレジット売掛金の金額を求めましょう。
(貸)支払手形 180,000
(貸)現金 20,000
(借)支払手数料 160,000
(貸)当座預金 480,000
賃貸借契約にかかる保証金(敷金)は差入保証金で、不動産会社に対する仲介手数料は支払手数料で処理します。
(貸)支払手形 390,000
(貸)売上 200,000
(貸)当座預金 250,000
(貸)クレジット売掛金 780,000
(貸)所得税預り金 15,000
(貸)当座預金 285,000 ※6
※6 300,000円-15,000円=285,000円(貸借差額)
(貸)受取手形 470,000
(借)支払家賃 360,000
(貸)当座預金 437,000 ※7
※7 77,000円+360,000円=437,000円(貸借差額)
(貸)当座預金 220,000
(貸)現金 40,000
参考・合計試算表&合計残高試算表の場合の下書き
仮に、本問の解答要求が合計試算表・合計残高試算表の場合は、以下のように締め切ると分かりやすいです。上で紹介している残高試算表の締め切り方とあわせて押さえておきましょう。
合計試算表の下書き

合計試算表を作成する場合、借方合計および貸方合計のみを計算しましょう(※残高の計算は不要です)。
合計残高試算表の下書き

合計残高試算表を作成する場合、いったん借方合計および貸方合計を計算したうえで、その下に貸借差額を記入しましょう。