第5問 資料が多いやっかいな問題。標準原価計算の本質的な理解が問われています。
第5問は【標準原価計算】に関する問題です。
問題全体の難度は普通~やや難しいぐらいだと思いますが、問題資料の量が多く、どの数字・金額を使っていいのか判断に迷うところがいくつかありました。一般的な標準原価計算の問題と比べると、難しく感じた方が多かったかもしれません。
また、問1・問2については製品Xの金額が問われていますが、問3では製品Yの金額のみが問われています。よって、問3では製品Xの差異を分析する必要はありませんので、解答時間を浪費しないように気をつけてください。
受験生アンケートでは、「かなり難しかった」「やや難しかった」という回答が多かったですが、合格するためには最低でも6割(12点)は取らなければいけない問題です。
問1・問2 製品Xの標準原価
問1・問2では製品Xの標準原価が問われています。
問題資料1から製品Xの原価標準(製品1個あたりの標準原価)が1,200円ということが分かるので、予算生産量(2,000個)と実際生産量(2,200個)を乗じて各標準原価を求めましょう。
- 予算生産量にもとづく製品Xの標準原価(予算原価)
- @1,200円×2,000個=2,400,000円
- 実際生産量にもとづく製品Xの標準原価
- @1,200円×2,200個=2,640,000円
問3 標準原価差異
原料費差異
- 製品Yの実際単価:1,759,400円÷231,500g=7.60円
- 製品Yの標準単価:8.00円(問題資料1より)
- 製品Yの実際消費量:231,500g(問題資料3より)
- 製品Yの標準消費量:@150g×1,500個=225,000g
- 製品Yの標準原価:@1,200円×1,500個=1,800,000円
- 製品Yの実際原価:1,759,400円(問題資料3より)
- 製品Yの原料費総差異:1,800,000円-1,759,400円=40,600円(有利差異)
- 製品Yの原料費総差異の分析
- 製品Yの価格差異:(8.00円-7.60円)×231,500g=+92,600円(有利差異)
- 製品Yの数量差異:(225,000g-231,500g)×8.00円=▲52,000円(不利差異)
加工費差異
問題資料1・2から、加工費の標準配賦率が@1,500円、変動費率が@400円ということが分かるので、差額で固定比率を求めることができます。
- 製品Yの標準配賦率:@1,500円(問題資料1より)
- 製品Yの変動費率:@400円(問題資料2より)
- 製品Yの数量差異:@1,500円-@400円=@1,100円
あとは、標準操業度と基準操業度を求めたうえで、毎度おなじみのシュラッター図で各差異を計算するだけです。
なお、本問は「能率差異は変動費と固定費の両方からなる」という指示があるので、変動費能率差異と固定費能率差異の合計額を能率差異として処理します。
- 製品Yの各操業度
- 製品Yの標準操業度:@0.6時間×1,500個=900時間
- 製品Yの実際操業度:920時間(問題資料3より)
- 製品Yの基準操業度:990,000円÷@1,100円=900時間
- 製品Yの標準原価:@900円×1,500個=1,350,000円
- 製品Yの実際原価:1,372,000円(問題資料3より)
- 製品Yの加工費総差異:1,350,000円-1,372,000円=22,000円(不利差異)
- 製品Yの加工費総差異の分析
- 製品Yの予算差異:@400円×920時間+990,000円-1,372,000円=▲14,000円(不利差異)
- 製品Yの変動費能率差異:(900時間-920時間)×@400円=▲8,000円(不利差異)
- 製品Yの固定費能率差異:(900時間-920時間)×@1,100円=▲22,000円(不利差異)
- 製品Yの操業度差異:(920時間-900時間)×@1,100円=+22,000円(有利差異)