荷為替手形の基本的な流れを理解しましょう!
荷為替手形とは、遠隔地に商品を販売し、商品の運送を運送業者に委託した際に、売主が代金の早期回収を実現させるために、商品と引き換えに運送業者から受け取った貨物代表証券(商品の引換券)を担保にして、銀行を受取人・買主を名宛人として振り出す為替手形をいいます。
荷為替手形の取引の基本的な流れをまとめると以下のようになります。4人の登場人物(売主・買主・銀行・運送業者)がそれぞれどんな取引を行っているのか確認してください。

- 売主が運送業者に商品の発送を依頼し、商品と引き換えに運送業者から貨物代表証券(商品の引換券のようなもの)を受け取る。(→①の説明へジャンプする)
- 売主は代金の早期回収を目的として、貨物代表証券を担保に、銀行を受取人・買主を名宛人とする為替手形を振り出して、そのまま割り引く。銀行は回収業務の危険回避のために売上代金の全額ではなく、70%~80%程度の金額を売主が指定する口座に振り込む(残額は売掛金として処理されることが多い)(→②の説明へジャンプする)
- 銀行は買主に対して手形引き受けの呈示を行い、買主から引き受けがなされた際に売主から担保として受け取っていた貨物代表証券を買主に引き渡す。(→③の説明へジャンプする)
- 買主は銀行から受け取った貨物代表証券と引き換えに運送業者から商品を受け取る。(→④の説明へジャンプする)
①~④の各取引については、以下の例題を前提として仕訳を切っていきます。
- 売主は買主へ商品500,000円を販売し、当該商品の船積みを完了した。
- 船積みと並行して、売主は400,000円の荷為替を取り組み、割引手数料50,000円を差し引いた残額を当座預金とした。
- 買主は銀行から手形引受けを呈示されたので、これを引受け、貨物代表証券を受け取った。
- 買主は貨物代表証券と引き換えに、運送業者から商品を受け取った。
①【商品の引渡し】と【貨物代表証券の引渡し】
それでは時系列順に仕訳を考えていきましょう。まずは画像の左上部分の取引である、商品の引渡しと貨物代表証券の引渡しです。売主が運送業者に商品の発送を依頼すると、商品と引き換えに運送業者から貨物代表証券(商品の引換券のようなもの)を受け取ることになります。
- 売主「運送業者さん、こんにちは~。」
- 運送業者「どうも~。シロネコ運輸です。今日はどうされました?」
- 売主「買主さんと商品売買契約を結んだから、その商品を送ろうと思ってさ。」
- 運送業者「毎度ありがとうございます。送る商品はこれですか?」
- 売主「そうそう。よろしくお願いね~。」
- 運送業者「かしこまりました。それでは・・・こちらが例のアレになります。」
- 売主「あ、この例のアレっていうのが貨物代表証券ってやつなんだね。」
- 運送業者「そうです。まー簡単に言いますと商品の引換券みたいなものですね。」
- 売主「じゃあ最終的には買主さん持っておいてもらわなきゃいけないんだね。」
- 運送業者「そうですね。商品と引き換えに貨物代表証券を回収しますので。」
- 売主「了解です。じゃあ商品のほう、よろしくお願いしますね~」
- 運送業者「はい。かしこかしこまりかしこ~(ハイキングウォーキング・Qちゃん風に)」
②【荷為替の取り組み】と【手形代金の振込み】
次に、画像左下部分の取引である、荷為替の取り組みと手形代金の振込みについて考えていきます。売主は代金の早期回収を目的として、貨物代表証券を担保に、銀行を受取人・買主を名宛人とする為替手形を振り出して、そのまま割り引きます。
一方、銀行は回収業務のリスクヘッジのために売上代金の全額ではなく、70%~80%程度の金額を売主が指定する口座に振り込みます(残額は売掛金として処理されることが多いです)
- 売主「銀行さん、こんにちは~。」
- 銀行「どうも、ハゲタカ銀行・鷲津支店です。今日は何のご用ですか?」
- 売主「今日は、この貨物代表証券を担保にして手形を・・・ねっ。」
- 銀行「銀行を受取人とする為替手形を振り出して、すぐに割り引きたい、と。」
- 売主「そうそう、ちょっとまとまったお金が必要になっちゃってね。大丈夫かな?」
- 銀行「私どもも代金回収のリスクを負うことになりますので、全額というのは厳しいです。」
- 売主「じゃあ売上金額の80%くらいの金額でいいから。それなら大丈夫?」
- 銀行「分かりました。まず銀行を受取人・買主を名宛人とする為替手形を振り出してください。」
- 売主「で、その手形を貨物代表証券を担保にしてすぐに割り引けばいいんだよね?」
- 銀行「そうですね。割引手数料(手形売却損)を差し引いた残額を売主さんの口座にお振込します。」
- 売主「じゃあまずは為替手形を振り出して・・・担保となる貨物代表証券も渡しておきます。」
- 銀行「はい。貨物代表証券のほうも確かにお預かりしました。」
- 売主「とりあえずこんな感じでOKなのかな?」
- 銀行「そうですね。後は口座にお金が振り込まれるのをお待ちください。」
- 売主「了解っす。じゃあよろしくお願いしますね~。」
上記の①②の取引を考慮して仕訳を切ることになりますが、売主は商品の売上を認識するとともに、荷為替取り組み分(通常は70%~80%になることが多い)については割引手数料を差し引いた残額を受け取り、荷為替を取り組まなかった分に関しては売掛金として処理します。
一方、買主に関してはこの時点では仕訳を切らないのでご注意ください。銀行に手形引受の呈示を受けて、当該手形を引き受けた時に初めて仕訳を切ることになります。
| ①②の取引の売主の仕訳 | |||
|---|---|---|---|
| (借)当座預金 (借)売掛金 (借)手形売却損 |
350,000 100,000 50,000 |
(貸)売上 | 500,000 |
| ①②の取引の買主の仕訳 | |||
| 仕訳なし | |||
③【手形引受けの呈示】と【手形の引受け】と【貨物代表証券の引渡し】
次に、画像右下部分の取引である、手形引受けの呈示と手形の引受けと貨物代表証券の引渡しについて考えていきます。具体的には、銀行は買主に対して手形引受けの呈示を行い、買主から引受けがなされた際に売主から担保として受け取っていた貨物代表証券を買主に引き渡すことになります。
- 銀行「どうも~。ハゲタカ銀行・芝野支店です。」
- 買主「あら、どうもハゲタカ銀行さん。今日は何のご用で?」
- 銀行「今日は売主さんが振り出された手形の引受けをお願いしに参りました。」
- 買主「あ、話しは聞いてますわ。それではその手形を引き受ければいいのかしら?」
- 銀行「話しが早くて助かります。それでは手形を引き受けていただいたので例のアレを・・・。」
- 買主「例のアレ・・・?あ、商品の引換券のことかしら?」
- 銀行「そうです。正しくは貨物代表証券といいます。ではこちらをお受け取りください。」
- 買主「これはどうやって使えばいいのかしら?」
- 銀行「運送業者が商品を持ってきたときに、運送業者にお渡しいただければ結構です。」
- 買主「あら、結構簡単なのね。それじゃあ後は商品の到着を待つだけなのね?」
- 銀行「そうですね、もうしばらくお待ちください。今日はありがとうございました。」
ここで、上記の③の取引を考慮して仕訳を切ることになりますが、売主に関しては仕訳なしです。この取引は銀行と買主との間のものですから、売主には関係ありません。
一方、買主に関しては、手形引受け分に関しては支払手形の増加を、それ以外の債務に関しては買掛金の増加を認識すると同時に、借方に仕入勘定・・・といきたいところですが、商品がまだ手元に届いていませんので、未着品勘定を使って仕訳を切ることになります。
| ③の取引の売主の仕訳 | |||
|---|---|---|---|
| 仕訳なし | |||
| ③の取引の買主の仕訳 | |||
| (借)未着品 | 500,000 | (貸)支払手形 (貸)買掛金 |
400,000 100,000 |
④【商品の引渡し】と【貨物代表証券の引渡し】
最後に、画像右上部分の取引である、商品の引渡しと貨物代表証券の引渡しについて考えていきます。具体的には、買主は銀行から受け取った貨物代表証券と引き換えに運送業者から商品を受け取ることになります。
- 運送業者「どうも~。シロネコ運輸です~。」
- 買主「はいはい、お待ちしてました~。」
- 運送業者「売主様からの商品なんですが、貨物代表証券お持ちですか?」
- 買主「あ、商品の引換券ね。これでいいのかしら?」
- 運送業者「はい、こちらの貨物代表証券で結構です。それでは引き換えに商品をお渡しします。」
- 買主「はい、確かに受け取りました。いつもご苦労様です。」
- 運送業者「それではまたよろしくお願いします~。」
ここで、上記の④の取引を考慮して仕訳を切ることになりますが、売主に関しては③と同様に仕訳なしです。この取引は運送業者と買主との間のものですから、売主には関係ありません。
一方、買主に関しては、③で計上した未着品勘定を仕入勘定に振り替える仕訳を切ることになります。これに関しては簡単なので特に問題ないと思います。
| ④の取引の売主の仕訳 | |||
|---|---|---|---|
| 仕訳なし | |||
| ④の取引の買主の仕訳 | |||
| (借)仕入 | 500,000 | (貸)未着品 | 500,000 |
以上が、荷為替手形の一連の基本的な流れになります。冒頭の画像と照らし合わせて①~④までの各取引をご覧いただくと分かりやすいと思います。なお、委託販売が絡んだ荷為替手形に関しては、【委託販売が絡んだ荷為替手形を徹底解説!】ページをご覧ください。
また、荷為替手形に関する問題は、仕訳問題対策の第122回の問2で出題されていますので、併せて確認しておいてください。

