第152回日商簿記3級 予想問題「簿記ナビ模試」第5問(精算表)の解説

第5問 当座借越・貯蔵品は今回から新たに試験範囲に追加された論点です!

 精算表の作成問題です。

 本問は、貸倒引当金や売上原価の計算がやや難度が高いです。1回目は点数を気にせずに、2回目で30点満点が取れるようにきちんと復習しておきましょう。

簿記ナビ模試3級の「各問題の難度」と「解答時間の目安」
準備 第1問 第2問 第3問 第4問 第5問 見直し
簡単 普通 難しい 普通 難しい
5分 10分 20分 35分 10分 30分 10分

簿記3級の出題予想のご案内

 簿記検定ナビでは、2019年6月9日に行われる第152回日商簿記3級の出題予想を公開しています。

 過去の出題状況や最近の出題傾向を独自の視点で分析し、大問ごとの予想はもちろんのこと、各論点の重要ポイントや絶対に押さえておくべき過去問などもあわせてご紹介しています。

第5問(精算表)の解説

1.現金過不足

 現金過不足として処理していた5,000円(貸方残)のうち、広告宣伝費と受取手数料については原因が判明したので適切な勘定科目に振り替えます。原因が判明しなかった残額は雑益で処理します。

 現金過不足の仕訳は、①現金過不足の残高をゼロにする→②原因が判明したものを計上する→③貸借差額を雑損または雑益で処理するの3ステップで考えると分かりやすいです。

ステップ1・現金過不足の残高をゼロにする
(借)現金過不足 5,000
ステップ2・原因が判明したものを計上する
(借)現金過不足 5,000
(借)広告宣伝費 3,200
 (貸)受取手数料 6,800
ステップ3・貸借差額を雑損または雑益で処理する
(借)現金過不足 5,000
(借)広告宣伝費 3,200
 (貸)受取手数料 6,800
 (貸)雑益 1,400 ※1

※1 5,000円+3,200円-6,800円=1,400円(貸借差額)

解答仕訳①
(借)現金過不足 5,000
(借)広告宣伝費 3,200
 (貸)受取手数料 6,800
 (貸)雑益 1,400

2.当座借越

 問題文の「当座預金の貸方残高全額を借入金に振り替える」という指示に従って、当座預金の貸方残を借入金に振り替えます。

 なお、本問では借入金に振り替えていますが、当座預金の貸方残を当座借越に振り替えるパターンもあります。問題の指示に従って適切に処理しましょう。

解答仕訳②
(借)当座預金 188,000
 (貸)借入金 188,000

3.債権の貸倒れ(未記帳)

 前期に発生した売掛金は(前期末において)貸倒引当金の設定対象となっているので、貸倒引当金を取り崩して処理します。

解答仕訳③-1
(借)貸倒引当金 8,500
 (貸)売掛金 8,500

 一方、当期に発生した売掛金は(前期末において)貸倒引当金の設定対象になっていないので、貸倒引当金を取り崩して処理することはできません。全額を貸倒損失で費用処理します。

解答仕訳③-2
(借)貸倒損失 4,900
 (貸)売掛金 4,900

4.売上戻り(未記帳)

 問題資料では売価(12,000円)と原価(10,000円)が与えられていますが、売上高の調整に使うのは売価です。原価のデータは次の売上原価の計算の仕訳で使います。

解答仕訳④
(借)売上 12,000
 (貸)売掛金 12,000

5.売上原価の計算

 問題文に「期末商品棚卸高は ¥ 200,000 である。なお、この期末商品棚卸高には上記の返品分は含まれていない」とあるので、期末商品棚卸高の金額は「4.売上戻り」の原価を含めた210,000円(=200,000円+10,000円)になります。

  • 期首商品棚卸高:245,000円(答案用紙の残高試算表欄より)
  • 当期商品仕入高:1,792,800円(答案用紙の残高試算表欄より)
  • 期末商品棚卸高:210,000円(=200,000円+10,000円
    • 売上原価:245,000円+1,792,800-210,000円=1,827,800円

 また、問題文に「売上原価は「売上原価」の行で計算すること」という指示があるので、「仕入」の行で算定するさいの「仕入・繰越商品・繰越商品・仕入(しーくりくりしー)」ではなく、「売上原価・繰越商品・売上原価・仕入・繰越商品・売上原価」という仕訳を切ります。

 売上原価勘定で売上原価を算定する場合の仕訳は、6個の勘定科目の頭文字をとった「浮く牛食う(うくうしくう)」という語呂で覚えてしまいましょう。

解答仕訳⑤
(借)売上原価 245,000 ※2
 (貸)繰越商品 245,000
(借)売上原価 1,792,800 ※3
 (貸)仕入 1,792,800
(借)繰越商品 210,000 ※4
 (貸)売上原価 210,000

※2 期首商品棚卸高:245,000円

※3 当期商品仕入高:1,792,800円

※4 期末商品棚卸高:200,000円+10,000円=210,000円

6.貸倒引当金の設定

 貸倒引当金の設定にあたって、まず売掛金・貸倒引当金の期末残高を把握しましょう。

 計算するさいには、決算整理事項等3の「売掛金・貸倒引当金の減少」と、決算整理事項等4の「売掛金の減少」を考慮し忘れないように気をつけてください。

  • 売掛金:1,005,400円-13,400円-12,000円980,000円
  • 貸倒引当金:30,000円-8,500円21,500円

 次に、売掛金の期末残高980,000円に3%を乗じて貸倒引当金要設定額29,400円を算定し、期末残高21,500円との差額7,900円(=29,400円-21,500円)を貸倒引当金繰入で処理します。

  • 期末残高<要設定額:貸倒引当金繰入を計上→貸倒引当金を増やす
  • 期末残高>要設定額:貸倒引当金戻入を計上→貸倒引当金を減らす

 受験簿記では通常、「期末残高<要設定額」となるため差額を貸倒引当金繰入で処理しますが、ごく稀に「期末残高>要設定額」になるケースがあり、その場合は差額を貸倒引当金戻入で処理します。保険的な位置づけで構いませんので、頭の片隅に入れておきましょう。

解答仕訳⑥
(借)貸倒引当金繰入 7,900 ※5
 (貸)貸倒引当金 7,900

※5 29,400円-21,500円=7,900円

 なお、貸倒引当金の設定に関しては、下の画像のように「売掛金の期末残高を把握 → 貸倒引当金要設定額の計算 → 貸倒引当金の調整」まで一気にやってしまうと効率的です。

貸倒引当金の設定手順

7.固定資産の減価償却

 建物・備品ともに1年分の減価償却費を計算するだけです。

解答仕訳⑦
(借)減価償却費 290,000
 (貸)建物減価償却累計額 90,000 ※6
 (貸)備品減価償却累計額 200,000 ※7

※6 2,700,000円÷30年=90,000円

※7 800,000円÷4年=200,000円

8.貯蔵品への振り替え

 購入時に費用処理した切手・収入印紙の未使用分は、決算期末において貯蔵品に振り替えます。

  • 切手:購入時に通信費で処理→未使用分を通信費から貯蔵品に振り替える
  • 収入印紙:購入時に租税公課で処理→未使用分を租税公課から貯蔵品に振り替える
解答仕訳⑧
(借)貯蔵品 14,200
 (貸)通信費 8,200
 (貸)租税公課 6,000

9.費用の未払い

 給料の未払分49,000円を未払計上します。

解答仕訳⑨
(借)給料 49,000
 (貸)未払給料 49,000

10.費用の前払い

 本問のように、毎年同じ金額の保険料を支払っている場合は、前期末の費用の前払いの仕訳から順番に考えていくと分かりやすいです。

参考:(前期末の)費用の前払いの仕訳
(借)前払保険料 6か月分の保険料
 (貸)保険料 6か月分の保険料

 上記仕訳の金額部分の「6か月分の保険料」というのは、当期の4月1日から9月30日までの6か月分の保険料を意味します。この時点では具体的な金額が分からないので、暫定的に「6か月分の保険料」としています。

 次に、当期首の再振替仕訳を考えますが、前期末の仕訳の逆仕訳をするだけです。

参考:当期首(4月1日)の再振替仕訳
(借)保険料 6か月分の保険料
 (貸)前払保険料 6か月分の保険料

 次に、10月1日(保険料支払日)の仕訳を考えます。1年分(12か月分)の保険料を計上しますが、この時点でも具体的な金額が分からないので、金額部分は「12か月分の保険料」としています。

参考:10月1日に1年分の保険料を支払った時の仕訳
(借)保険料 12か月分の保険料
 (貸)現金など 12か月分の保険料

 この結果、答案用紙の残高試算表欄に計上されている「保険料 81,000」というのは、期首に計上した6か月分の保険料+期中に計上した12か月分の保険料=18か月分の保険料になるので、81,000を18で割って、1か月あたりの保険料4,500円を算定します。

  • 4月1日に計上した保険料:6か月分の保険料
  • 10月1日に計上した保険料:12か月分の保険料
  • 当期中に計上した保険料:18か月分の保険料(=6か月分の保険料+12か月分の保険料)
  • 答案用紙の残高試算表欄に計上されている保険料:81,000円
  • 1か月あたりの保険料:4,500円(=81,000円÷18か月分の保険料)

 1か月あたりの保険料を算定できたら、最後に、本問で問われている費用の前払いの仕訳を考えます。この仕訳の金額については今までのように「~か月分の保険料」という形ではなくて、1か月あたりの保険料を元に計算した金額を記入しましょう。

 具体的には、6か月分の費用の前払処理を行うので、1か月あたりの保険料4,500円×6か月=27,000円と計算します。

解答仕訳⑩
(借)前払保険料 27,000 ※8
 (貸)保険料 27,000

※8 @4,500円×6か月=27,000円

 決算整理においてこの仕訳を切ることにより、答案用紙の残高試算表欄に計上されていた18か月分の保険料が12か月分に訂正され、損益計算書に正しい金額54,000円(=@4,500円×12か月)が記載されます。

11.収益の前受け

 問題文の「偶数月の月末にむこう2か月分として ¥ 18,000 を受け取っている」から、2月末に3月分・4月分の家賃を受け取ったことが分かります。

 よって、決算において4月分の家賃を前受処理します。

解答仕訳⑪
(借)受取家賃 9,000 ※9
 (貸)前受家賃 9,000

※9 18,000円÷2か月=9,000円

奇数月ではなく偶数月の月末に受け取っていたら?

 参考までに、偶数月ではなく奇数月の月末に、むこう2か月分として ¥ 18,000 を受け取っていた場合の仕訳も考えておきましょう。

 奇数月の月末ということは、3月末に4月分・5月分の家賃を受け取ることになるので、決算において2か月分(4月分+5月分)の家賃を前受処理します。

参考:奇数月の月末に家賃を受け取っていた場合の仕訳
(借)受取家賃 18,000 ※10
 (貸)前受家賃 18,000

※10 @9,000円×2か月=18,000円

当期純利益・当期純損失の計算

 当期純利益・当期純損失は、損益計算書欄の借方合計(費用)と貸方合計(収益)の差額、または、貸借対照表欄の借方合計(資産)と貸方合計(負債および純資産)の差額で計算します。

  • 損益計算書欄の借方の合計額:3,102,800円
  • 損益計算書欄の貸方の合計額:3,090,500円
  • 差額=3,102,800円-3,090,500円=△12,300円(当期純損失)
  • 貸借対照表欄の借方の合計額:6,044,100円
  • 貸借対照表欄の貸方の合計額:6,056,400円
  • 差額=6,056,400円-6,044,100円=△12,300円(当期純損失)

 精算表・財務諸表の作成問題では当期純利益が発生することが多いですが、ここ最近は当期純損失が発生する問題もちょくちょく出題されています(※第142回・第145回)。純損失になっても慌てず冷静に対応しましょう。

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