第151回日商簿記2級 予想問題「簿記ナビ模試」第2問(株主資本等変動計算書)の解説

第2問 「剰余金の配当」と「その他有価証券の評価替え」がポイントです!

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第2問(株主資本等変動計算書)の解説

問1 株主資本等変動計算書の作成

完成した株主資本等変動計算書
完成形

平成29年6月26日の取引(剰余金の配当)

平成29年6月26日の仕訳
(借)その他資本剰余金 425,000 ※4
(借)繰越利益剰余金 1,275,000 ※1
 (貸)未払配当金 1,600,000 ※1
 (貸)資本準備金 25,000 ※2
 (貸)利益準備金 75,000 ※3

※1 400,000円+1,200,000円=1,600,000円

※2 100,000円×400,000円/1,600,000円=25,000円

※3 100,000円×1,200,000円/1,600,000円=75,000円

※4 400,000円+25,000円=425,000円

※5 1,200,000円+75,000円=1,275,000円

 剰余金の配当を行う場合、資本準備金と利益準備金の合計額が資本金の4分の1に達するまで、配当額の10分の1を準備金として積み立てる必要があります。

 問題を解くさいには以下の2つの金額(積立限度額と要積立額)を計算したうえで、どちらか小さいほうの金額を準備金として積み立てます。

  • 4分の1規定(積立限度額):資本金÷4-(資本準備金+利益準備金)
  • 10分の1規定(要積立額):配当額÷10
  • 4分の1規定(積立限度額):10,000,000円÷4-(1,400,000円+1,000,000円)=100,000円
  • 10分の1規定(要積立額):(400,000円+1,200,000円)÷10=160,000円

 本問の場合、4分の1規定(積立限度額)が100,000円、10分の1規定(要積立額)が160,000円になるので、小さいほうの100,000円を準備金として積み立てます。

準備金100,000円の内訳は?

 配当する金額の割合を計算したうえで、その他資本剰余金の割合分だけ資本準備金を、繰越利益剰余金の割合分だけ利益準備金を積み立てます。

  • その他資本剰余金を財源とする配当400,000円:400,000円÷1,600,000円=25%
  • 利益剰余金を財源とする配当1,200,000円:1,200,000円÷1,600,000円=75%
  • 資本準備金の積立額:100,000円×25%=25,000円
  • 利益準備金の積立額:100,000円×75%=75,000円

解答時の注意点

 問1の問題文に「減少については金額の前に△マークを付すこと」という指示があるので、その他資本剰余金・資本剰余金合計・繰越利益剰余金・利益剰余金合計・株主資本合計・純資産合計の金額の前には△マークを付けましょう。

6月26日の取引を記入した株主資本等変動計算書
6月26日の取引を記入した株主資本等変動計算書

平成29年10月22日の取引(新株の発行)

平成29年10月22日の仕訳
(借)普通預金 980,000 ※6
 (貸)資本金 490,000 ※7
 (貸)資本準備金 490,000 ※7

※6 @490円×2,000株=980,000円

※7 980,000円÷2=490,000円

 問題文に「資本金は会社法が定める最低額を計上した」とあるので、払込金の50%を資本金、残りの50%を資本準備金で処理します。

  • 会社法の規定
    • 第445条第2項:払い込まれた金額の2分の1までは、資本金として計上しなくてもよい。
    • 第445条第3項:資本金として計上しない場合は、資本準備金として計上すること。
10月22日の取引を記入した株主資本等変動計算書
10月22日の取引を記入した株主資本等変動計算書

平成30年1月19日の取引(吸収合併)

平成30年1月19日の仕訳
(借)諸資産 5,100,000
(借)のれん 400,000 ※9
 (貸)諸負債 3,000,000
 (貸)資本金 1,800,000
 (貸)資本準備金 500,000
 (貸)その他資本剰余金 200,000 ※8

※8 @500円×5,000株-1,800,000円-500,000円=200,000円

※9 @500円×5,000株-(5,100,000円-3,000,000円)=400,000円

 他の企業を吸収合併する場合、被合併会社の資産・負債を時価で引き継ぎ、その対価として株式を交付したうえで、被合併会社の純資産(資産-負債)の額と交付した株式の額を比較して、差額を「のれん」または「負ののれん発生益」で処理します。

  • 被合併会社の純資産の額<交付した株式の額:のれん(固定資産)を計上
  • 被合併会社の純資産の額>交付した株式の額:負ののれん発生益(特別利益)を計上

 本問の場合、問題資料に「諸資産:時価 ¥ 5,100,000」「諸負債:時価 ¥ 3,000,000」とあるので、被合併会社の純資産の額は2,100,000円(=5,100,000円-3,000,000円)になります。

 一方、交付した株式の額は、問題文の「合併の対価として上杉製塩所の株主に当社の株式5,000株(1株あたりの時価 ¥ 500 )を交付した」から、2,500,000円(=@500円×5,000株)ということが分かります。

 よって、差額の400,000円(=2,500,000円-2,100,000円)をのれんで処理します。

 なお、新たに交付した株式に関しては、問題文に「新株の発行にともなう純資産(株主資本)の増加額のうち、¥ 1,800,000は資本金、¥ 500,000は資本準備金とし、残額はその他資本剰余金として計上した」とあるので、指示に従って資本金・資本準備金・その他資本剰余金を計上します。

  • 資本金:1,800,000円
  • 資本準備金:500,000円
  • その他資本剰余金:@500円×5,000株-1,800,000円-500,000円=200,000円
1月19日の取引を記入した株主資本等変動計算書
1月19日の取引を記入した株主資本等変動計算書

平成30年3月31日の取引1(その他有価証券の評価替え)

平成30年3月31日(1)の仕訳
(借)その他有価証券 200,000 ※10
 (貸)その他有価証券評価差額金 140,000 ※12
 (貸)繰延税金負債 60,000 ※11
(借)その他有価証券評価差額金 70,000 ※15
(借)繰延税金資産 30,000 ※14
 (貸)その他有価証券 100,000 ※13

※10 1,500,000円-1,300,000円=200,000円

※11 200,000円×30%=60,000円

※12 200,000円-60,000円=140,000円

※13 1,150,000円-1,050,000円=100,000円

※14 100,000円×30%=30,000円

※15 100,000円-30,000円=70,000円

 問題文に「その他有価証券の評価替えは全部純資産直入法によることとし、法定実効税率を30%として税効果会計を適用する」とあるので、決算においてその他有価証券を時価評価するさいに税効果会計を適用します。

 なお、その他有価証券の税効果会計の決算整理仕訳は、以下の順番で機械的に処理することができます。参考までに処理の流れをご確認ください。

  1. 取得原価と期末時価を比較し、評価益なら借方、評価損なら貸方に「その他有価証券」を計上する。
  2. 1.の金額に法人税の実効税率を乗じた金額を1.と反対側に書く。勘定科目は借方なら「繰延税金資産」、貸方なら「繰延税金負債」。
  3. 貸借差額を「その他有価証券評価差額金」で処理する。
  • 諏訪商事の株式
    1. 借方に「その他有価証券」を200,000円(=1,500,000円-1,300,000円)計上する
    2. 貸方に「繰延税金負債」を60,000円(=200,000円×30%)計上する
    3. 貸方に「その他有価証券評価差額金」を140,000円(=200,000円-60,000円)計上する
  • 真田商会の株式
    1. 貸方に「その他有価証券」を100,000円(=1,150,000円-1,050,000円)計上する
    2. 借方に「繰延税金資産」を30,000円(=100,000円×30%)計上する
    3. 借方に「その他有価証券評価差額金」を70,000円(=100,000円-30,000円)計上する

解答時の注意点

 答案用紙は「株主資本以外の項目の当期変動額(純額)」になっているので、その他有価証券評価差額金の純額70,000円(=140,000円-70,000円)を記入します。

3月31日の取引(1)を記入した株主資本等変動計算書
3月31日の取引(1)を記入した株主資本等変動計算書

平成30年3月31日の取引2(当期純利益の振り替え&のれんの償却)

平成30年3月31日(2)の仕訳
(借)損益 3,600,000
 (貸)繰越利益剰余金 3,600,000
(借)のれん償却 10,000 ※16
 (貸)のれん 10,000

※16 400,000円×3か月/120か月=10,000円

 1つめの仕訳の「当期純利益の振り替え」は、損益を繰越利益剰余金に振り替えるだけです。

 2つめの仕訳の「のれんの償却」は、問題文に「のれんは定額法(償却期間10年)により月割りで償却する」とあるので、平成30年1月から3月までの3か月分を月割りで償却します。

3月31日の取引(2)を記入した株主資本等変動計算書
3月31日の取引(2)を記入した株主資本等変動計算書

問2 貸借対照表の金額

のれん

平成30年1月19日の仕訳
(借)諸資産 5,100,000
(借)のれん 400,000
 (貸)諸負債 3,000,000
 (貸)資本金 1,800,000
 (貸)資本準備金 500,000
 (貸)その他資本剰余金 200,000
平成30年3月31日(2)の仕訳
(借)損益 3,600,000
 (貸)繰越利益剰余金 3,600,000
(借)のれん償却 10,000
 (貸)のれん 10,000

 1月19日に400,000円を計上し、3月31日に10,000円を償却しているので、貸借対照表には390,000円(=400,000円-10,000円)が計上されます。

繰延税金負債

平成30年3月31日(1)の仕訳
(借)その他有価証券 200,000
 (貸)その他有価証券評価差額金 140,000
 (貸)繰延税金負債 60,000
(借)その他有価証券評価差額金 70,000
(借)繰延税金資産 30,000
 (貸)その他有価証券 100,000

 繰延税金資産の金額は30,000円、繰延税金負債の金額は60,000円なので、貸借対照表には両者を相殺した純額30,000円(=60,000円-30,000円)の繰延税金負債を計上します。

  • 繰延税金資産・繰延税金負債の貸借対照表の表示方法
    • 「繰延税金資産>繰延税金負債」の場合:純額を固定資産の繰延税金資産に表示
    • 「繰延税金資産<繰延税金負債」の場合:純額を固定負債の繰延税金負債に表示

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